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from Overseas

伊集院駿(Jena, Germany)

伊集院駿(Jena, Germany)

University Hospital Jena

2018年12月08日

【テーマ】2018-2019

まず日本人としての誇りを捨てる、次に頑張る、そして取り戻す

11月になりドイツはかなり寒くなってきました。北海道とほぼ同緯度で、冬場の平均気温は2℃、氷点下を下回る日もしばしばです。暖流と冷えた大陸との温度差で雨雲が発生し、冬場は曇りか雨の日がほとんど。日没も16時台と早く、悶々とした日々が続きますが、家族と一緒に楽しく過ごしています。

未だにドイツ語は堪能ではありませんが、上司や同僚と少しずつ打ち解けてきた気がします。正規のスタッフではない私は、仕事上のことであまり話しかけられることはありませんが、私から話しかけると基本的に皆笑顔で対応してくれます(来たばかりのときは「時間がないから、また後で」と言われることがほとんでした(笑))。

私のボスは大変寛容な方で、外国人研究者がほとんどいない自施設に来た日本人である私を快く受け入れてくれました。ただ、いまだに無給状態です(笑)。ドイツの他の施設で働いている日本人研究者とたまに話をする機会がありますが、ほとんどの研究者が給料をもらっていません。ドイツは資格社会なので、そもそもドイツで通用する医師免許を持っていない私の研究ビザでは、ドイツで収入を得ることもできません。そして研究ビザでは働いてはいけない決まりなので、飲食店のアルバイトすらできません。給料をもらっている研究者の友人もいますが、以前そこで働いていた日本人が貢献をし続けたなど、何か特別な交渉があったのだと思います。十分な奨学金や日本の施設からの給与がなければ、日本人研究者のドイツでの留学は難しいです。特殊な業績のない日本人がドイツで活躍できるのは、日本語が発揮できる日系企業だけです。日本は世界に誇れる先進国であると思っていた私の誇りは既に消え去っています。

資格をもたない日本人研究者がボスや同僚に認めてもらうには、まず与えられたタスクをしっかりとこなし、120%で返す、そして自分にしかできない一定の業績を上げ続けることだと思います。私はデバイス挿入前後の患者データを与えられ、解析しましたが、そこからたまたま今までにない結果が出て、上司たちはとても喜んでいました。循環器領域において、日本のレベルは高いですが、まだ日本から新しく発信できるような最新技術は少なく、欧米において日本人が尊敬されるまでには至っていないと感じます。そこで日本人が認めてもらうためには、何か特別なことをしなければダメなのだと思います。それはとても困難なことですが、歯をくいしばって地道に頑張っていくしかないです。

ただ、ドイツの至る所に、日本は浸透しています。車はTOYOTA、日産、SUZUKI、SUBARU、様々な日本車が走っていますし、パソコンのキーボードは富士通製をよく見ます。巻きずしはいまや、ドイツのたいていのスーパーで買うことができます。夏にドイツ人学生とバーベキューパーティーをしたときに、おにぎりを作っていったのですが、20個作ったおにぎりは一瞬で食べられ、なくなりました。それからというもの、様々な手作り日本料理を作り、どれがドイツ人に受け入れられるか実験をしています。必ずどこかに日本人が入っていく隙間はありそうです。

ドイツに放たれた刺客として、日本人の研究の底力、日本料理の良さ(?)を粘り強く見せて、日本人としての誇りを取り戻そうと思います。

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自宅で発酵させて作った納豆。自分的には大成功だったが、ドイツ人には受け入れられなかった(笑)。