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川上大志(Melbourne, Australia)

川上大志(Melbourne, Australia)

Baker Heart and Diabetes Institute

2019年03月09日

【テーマ】2018-2019

ハードルだらけの毎日ですが・・・

皆さんこんにちは。

メルボルンは夏らしくなってきました!毎日強烈な紫外線が降り注いでおり、日焼けで体力がどんどん削られていきます。このような些細なハードルは枚挙にいとまがありませんが、今回は主に仕事に関するハードルを取り上げました。

【コミュニケーション】

これが全てと言っても過言ではありません。難しくしている原因は主に2つあります。それは英語と感情表現です。

まず英語ですが、半年以上住んでいますがなかなか上達しません。特に「聞く」と「話す」が思うように行きません。本当に単純な日常英会話ができませんので、些細な会話でどっと疲れます。逆に、書くことに関しては意外と褒められたりします。なぜなら文法的にきっちりした英語を書くから。その書き方しかできないだけなのですが・・・。おそらく当地の方からすると相当ヘンテコな生き物に見えていると思います。「なんでこれだけ難しい英語が読めて書けるのに、幼稚園レベルの英会話が全くダメなのだ???」と・・・。ただ、最近ではそれが私のキャラクターだと認知されつつあり、私が話している時は我慢強く待ってくれるようになりました。異なるものを受け入れる文化が根付いている証拠だと思います。この点は本当に見習わなければなりません。

もう一つの原因は感情表現です。オージーは感情をダイレクトに表現します。表情、口調、声の大きさなど、言葉の中身以上に重視します。一方、典型的な日本人気質である私は感情を表に出すのが苦手です。しかも会話の際は頭をフル回転させながら必死で英語を構築しているため、とても表現にまで意識が回りません。私がハッピーと言っても、表情がハッピーそうに見えなければ「本当に?」みたいな顔をされることもよくあります。こんな事がありました。私をボスに紹介してくださった先輩がミュンヘンで開催されたESC2018でボスに出会った際、次のように質問されたそうです。「Hiroshiはよくやっている。しかし、彼は本当にハッピーなのだろうか?君にもハッピーと言っていたかい?」。感情表現が乏しい私の様子を心配して下さっていたようです。仕事がダメと言われなくて良かったのですが、これには少し落ち込み反省しました。以降、ミーティングで本題に入る前には必ず先週末にあったイベント等を全力でお伝えし、家族含めて今の生活が充実していることをアピールするようにしています。

【お金】

私の立場は”Visiting Researcher”であり、Baker Instituteから給与は支給されていません。定期的な収入が無くなる恐ろしさを経験しております。医師免許とビザの関係で病院情報に直接アクセスできない身分ですので当然といえば当然ですが、精神衛生上絶対に良くありません。また、これまで稼ぐことで維持してきた家庭内での地位が完全に崩壊しました(笑)。仕事を言訳に疎かにしていた家事や育児にも積極的に参加するようにしています。

ちなみに、もし私が当地で給与をもらうためには越えねばならないハードルがたくさんあります。医療従事者向けの英語試験を突破し、ビザを書き換え、当地の医師登録を完了させる必要があります。医師登録が終わってもすぐに臨床はできませんが、患者情報に直接アクセスできる立場になれます。挑戦して出来ないことはないのでしょうが、自分に与えられた時間(2年)を考えた場合、ようやく登録が終わったら即帰国という状況になりかねません。そのため、お金に関しては完全に割り切っています。給与が発生しない分、雑用めいた仕事は一切なく、本当に純粋に研究だけに専念させてくれています。研究内容は自分が求めていた通りのものですし、帰国後のキャリアに直結するものです。仕事というよりは学生に戻って授業を受けている感覚でしょうか?「留学」とは言い得て妙だとしみじみ感じています。また、無給とはいえ、ボスの研究費から家族全員分の健康保険代(年間60万円強)をカバーしてもらっていますし、今の環境には十分満足しています。

【仕事の進め方】

前述の通り、私は直接患者情報にアクセスできません。それ故、臨床研究を行うためには誰かにデータをもらわなければなりません。幸いボスが沢山のデータベースを持っているため研究材料には事欠きませんが、新しいプロジェクトを立ち上げる時は本当に苦労します。私の代わりに情報収集してもらう協力者を得なければなりません。もちろんボスの鶴の一声ですぐに協力者は得られるのですが、全てがオージー速度といいますか、のーーーんびりしたレスポンスであることが多く、遅々として進みません(ボスは例外中の例外です)。お願いする立場ですので文句は言えませんが、やはり焦れてしまいます。しかしながら、この辺りは私にとって決して悪いことばかりではありません。周囲のスピードが遅いため、私にとっては普通の仕事スピードが彼らにはとても速く見えるようです。仕事に関しては結果が全ての世界です。やればやるだけ新しいネタが貰えるため、他人に任せなければならない仕事はひとまず置いておき、自分でできることをどんどん進めるようにしています。英語のハンデを背負っている私にとって正に存在感の見せ所です!

【最大のハードルは・・・】

渡豪から約8ヶ月が経ちますが未だに1日が終わる頃にはどっと疲れが襲ってきます。おそらく日本と同じ感覚で生活できるようになることは無いでしょう。今後もハードルだらけの留学生活だと思います。ただ、私にとっての最大のハードルは「留学を実現する」ということでした。すでに最大のハードルを乗り越えてきているのですから、少々のハードルなんて大したことないと本気で思っています!・・・少し強がってますが(笑)。

 

番外編: 夫もしくは父のわがままに振り回された家族の留学奮闘記

第7話「靴の文化」

生活面のハードルを1つ。オーストラリアは靴を履いたまま家に上がる文化です。もちろん我が家は日本式であり、室内では靴を脱ぎます。お客様も話せば分かってくれます。問題は大型家電の修理や買い換えのために現地の業者さんが入る場合です。懇願すれば脱いでくれるかもしれませんが、無理に脱がせて作業中に怪我でもされたら大変ですので靴のまま入ってもらわざるを得ません。そこで業者さんの予想通路に事前に段ボールを敷き詰めます(写真)。皆さん直ぐに意図をくみ取ってくれますが、それでも作業後は土だらけになってしまうことも・・・。結構へこみます。本当に些細なことがボディーブローのように効いてくるのが海外生活です。

写真

写真: 入り口から風呂場に続く段ボールロード。洗濯機の買い換えの時でした。

つづく