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from Overseas

奥野泰史(Bern, Switzerland)

奥野泰史(Bern, Switzerland)

University of Bern

2019年03月09日

【テーマ】from Overseas

Registry研究

引き続き駆け足でアップしていきます。ついに自転車を購入しました。こちらでもOnline shoppingの時代がやってきており、格安で手に入れることに成功しました。今回のお題は、留学先で現在取り組んでいるトピックです。

 

1. 自分の論文になりそうなネタ

現在私が取り組んでいるのは、主にTAVIのレジストリー解析をもとにした研究です。施設としてはSCOPE-Ⅰ,Ⅱ試験というSymetis ACURATE neoとSapien 3、Evolut RのガチンコRCTが大詰めを迎えていますが、こちらはスタートに乗り遅れているので、少なくともメインのstudyには入り込めなさそうです。

使用しているレジストリーは、以前にもご紹介したBern TAVI registryという院内レジストリーが中心で、2018年末までに2,000例以上の患者がenrollされ、うち2017年6月までの1,811例は1年のevent adjudicationまで完了しています。単施設のTAVIレジストリーとしては世界最大規模のものであり、これを使って調べるべきことは無数にあると思っています。詳細な画像解析データを追加する等、multicenterでは中々難しいような内容で色々と形にしていければと思っています。現在は3つのprojectを同時進行させており、1つは前任の阿佐美先生の論文を発展させた内容になっています。こちらはmanuscriptをほぼ書き終わった段階でESCにもsubmitしました。残り2つのうち1つはProsthesis-patient mismatchの内容で、現在最初の解析結果が返ってきたところです。少し自分の想定した解析とズレが生じているので解析方法の修正を依頼しています。もう1つは術前のCT解析についての内容で、こちらは少し大掛かりなので、まだ始めたばかりの段階です。それぞれの詳細な内容はぜひpublishまでお待ち頂ければと思います。

TAVI領域では、low-risk, younger patientsなどへの適応拡大と、そのための長期のdurabilityの証明、術後の抗血小板、抗凝固療法等で大きなstudyがどんどん動いていますが、自分のトピックとしては相変わらず、①予後や合併症の予測因子を明らかにした上で、介入方法やリスク層別化など、今後の治療に活かせるようにしていくこと、②数多くのdevice、techniqueが出てきている中で、治療選択の基準を明確にしていくこと、の主に2つと考えています。多くの人が興味を持って調べている領域だと思いますが、このデータベースでしかできないこと、すべきことは何かを常に考えてやっていきたいと思います。

ベルンでの研究は、画像解析、データエントリーなどを行う研究者(私)はイベントデータからは完全に隔離されており(これは非常に重要なポイントだと思います)、基本的に統計解析はCTUというチームに完全に依頼する形になっています。そのため、常にチームの全体的な負荷を意識して、バランスを取りながら進めていく必要があります。また優先的に解析に進めてもらうためには、研究の意義と実現可能性をしっかりアピールして認めてもらう必要もあります。

 

2. 今後の注目しているトピック

現在は、前述のレジストリーを使った研究を任されていますので、まずはこれでいくつか結果を出していく必要があると思っています。やりたいこと自体は沢山ありますので、これだけでも十分に楽しめそうですが、これが落ち着いたらMitraClipや三尖弁領域、LAA closureなど他のトピックの研究も是非やっていきたいと思っています。トピックのこともそうなのですが、研究の手法に関してももう少し幅を広げていければと思っています。

Retrospectiveの研究は、日本でも色々とやって論文化もしてきましたので、特別に新しいことを学んでいるという感覚はあまりありません。勿論その中でも、世界中が信用するに足るデータが実際にどうやって作られ、管理されているのかを実際に体験していることや、理想的な統計解析の方法について専門家と相談しながら進められることは、非常に良い経験になっています。ただ一方で、せっかく素晴らしい環境とチームで研究する機会を与えていただいているので、その間にもっと幅広く臨床研究について学びたいという思いもあります。ProspectiveやMulti-centerができれば一番ですが、Systematic review, Meta-analysisや、Cost-effectiveness analysis、なんでもいいので、今の自分にはない研究手法にも触れる機会を探していきたいと思います。

臨床面では引き続き、様々なnew device、new techniqueを経験していきたいです。ちょうど今週からまたSAPIEN3 Ultraが入ってくるのでとても楽しみです。

 

色々とやりたいことを考えればキリが無いですし、全く見通しもない状況ですが、基本姿勢は常に変えず、引き続き自分に求められること、やるべきことをしっかりこなしていこうと思います。