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奥野泰史(Bern, Switzerland)

奥野泰史(Bern, Switzerland)

University of Bern

2019年03月21日

【テーマ】2018-2019

一流を目指して

留学開始から約5ヶ月が経過したところになります。今回のお題は帰国後のビジョンです。留学開始が遅れましたので、この時点でこのトピックに辿り着いてしまいました。今の自分には少しむずかしいお題になりますが、現時点でのことを書いていこうと思います。

 

1. 帰国後の目標、自分のウリは?

帰国後のビジョンは、今の所全くないといって良い状況ですが、一つだけ言えることは、帰国しても私は引き続きトレーニングの身であるということだと思います。私は比較的早い段階で留学のチャンスを頂いており、日本の医師としてはまだ循環器専門医の取得年数にも達していません。

日本での6年半は、全力で臨床に取り組みましたし、相応以上の機会も与えて頂いてきたので、その時点でできるべきことはすべてできるようになってきたと思っています。当初の目標であった、「自分一人で目の前の命を繋げる医者」に関しては達成できたと思います(そういえばつい先日、初めて機内でのドクターコールを経験しました)。それでも、外部の研究会に行けば、自分ひとりでは解決できない症例が沢山あることを思い知らされましたし、その中で素晴らしい発言をされる経験豊かな循環器内科医の姿も多く目にしてきました。インターベンションに関しても、一般的な治療であればなんの問題もありませんが、一方で上司の助けなしではベストな結果を出せなかったであろう症例も経験しました。臨床のトレーニングはまだまだ必要ですし、そしてそれは一生涯続いていくのだということも、ようやく本当の意味で理解ができてきたような気がします。ですので、帰国後の目標を一つ挙げるとすれば、やはり変わらず、一流の医師になるべく引き続き臨床経験を積みつつ、様々な研究会、学会で自分の知識、理解を深めていくことだと思います。

自分のウリというのは、今の私には非常に難しい質問です。現在はSHDの領域で留学をしていますが、すでに日本では海外でSHDの経験を積んだ優秀な先生方が沢山活躍されています。今のヨーロッパの新しいデバイスの経験などは私が持ち帰れるお土産のひとつかも知れませんが、同時期に志を同じくした先生達が沢山留学されているので、これも私個人のウリにはならないと思います。臨床医としてはようやく一人前、研究者としてはまだまだ駆け出しといったところの自分にとっては、これからまさに自分のウリを探していく段階かと思っています。

 

2. 将来の方向性

一流の臨床医になりたいというところは最初から常に変わらない目標ですが、この2-3年の間で、最初は見よう見まねで始めた臨床研究も少しずつ形になり始め、臨床研究の面白さにも徐々に取りつかれつつあります。始めた当初は、何が形にできるアイデアなのかわからず、データの集め方も、解析ソフトの使い方も、データの提示の仕方も、論文の書き方も、なにもわからないという状況で、そもそも目の前の臨床業務で手一杯と、かなり辛かった記憶があります。どちらかといえば周りがやっているからやむを得ずやっている、という感覚が強かったように思います。その後、いくつか学会で発表し、論文化する過程の中で、自分の仮説を科学的に証明し、それを自分の言葉で説明し、世界に向けて発表するということの面白さに徐々に気付かされ、いつの間にか日常診療の中で常にKnown/Unknownを意識するようになり、その中で自分が追加できる知見はないかと考えるようになっていました。今の生活はどちらかといえば研究活動に重心をおいた生活ですが、思いの外楽しく、もはや一つの趣味のようなものになりつつあります。ですので、帰国後も臨床研究はできるだけ継続していきたいと思います。

こちらで研究を進める中で改めて気付かされることは、臨床研究における施設規模と発言力の重要性です。こちらでは、日本での100例前後のデータベースではとても形にできなかったような研究が沢山できますし、他の施設からの研究の協力依頼も多数あり、prospective studyへのモチベーションも大きくなります。施設規模だけでなく、統計チームだったり、study nurseがいたり、協力してくれる学生がいたりと、マンパワーもあり、さらに臨床研究そのものに割く時間もしっかりあって、研究する環境として非常に優れていると感じます。以前いた三井記念病院は、様々な臨床研究にも参加しており、日本の市中病院としては非常に恵まれた環境であったと思いますが、やはり現状のままではこちらと同じようなパフォーマンスで研究を継続していくのは困難だと思います。日本の他の施設の現状は知りませんが、ベルン大学と同等の環境というのは、探してもなかなか無いのではないかと思います。第6回のreportでも書かせて頂いた通り、そもそもの医療システムや根底にある文化、思想が異なっているため、こちらと同じ環境をそのまま日本でも作っていくことは難しいと思いますが、次の自分の施設にうまく合わせた形で、よい研究環境を作っていくということは、こちらで色々と経験させていただいている自分にとって重要な仕事の一つではないかなと思います。

 

3. 帰国後働くならどんな場所?

今のところ帰国後に働く場所は決まっていませんが、現在SHDの臨床と研究の経験を積んでいるので、SHDインターベンションができる施設というのが絶対条件になってくるのかなと思います。そうなるとある程度の規模の施設ということになりますし、その上で、前述の通り臨床経験を積みながら、研究活動も続けていきたいので、自ずと希望する施設は限られてくるのかなと思います。そういった施設で必要とされるような人材になるべく、引き続きこちらで経験を重ねていきたいと思います。

 

4. 帰国後、SUNRISEでやりたいことがあれば

今の所、具体的なイメージは無いのですが、ものすごいエネルギーが集まったこのネットワークの中で、是非とも何かやりたいなという気持ちはあります。何をどうやってやるのかは、これからじっくり学んで考えていきたいと思います。

 

色々と書かせて頂きましたが、結局のところ、最初のYIAの発表の時点でもそうであったように、具体的な将来像、ビジョンというのは現在でもないというのが実際のところです。常に理想通りの環境が手に入るわけではないと思いますし、ある程度柔軟に、与えられた環境にうまく適応しつつ、その中で自分のやりたいこと、やるべきことをしっかりこなしていくというスタンスは、常に私の中で変えずにいきたい思います。今回の留学で少し方向性がつけられれば良いとは思いますが、そこにあまりこだわらず、とにかくその時々の自分の興味と直感に従って引き続き頑張っていきたいと思います。