SUNRISE研究会

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from Overseas

平澤憲祐(Kensuke HIRASAWA, Leiden, the Netherlands)

平澤憲祐(Kensuke HIRASAWA, Leiden, the Netherlands)

Leiden University Medical Center
Research fellow

2020年03月22日

【テーマ】2019-2020

今年を終えて: 留学って思ったよりも…

早いもので、SUNRISEのレポート業務も今回で最後となりました。世界中がコロナウイルスの話題で持ちきりのようですがオランダはなんだかのんびりしてて、あまり危機感ないように感じます(2020年2月25日現在)。

追記:結局オランダも御多分にもれずコロナウイルスのパンデミックの影響で学校など閉鎖になりました。飲食店なども軒並み閉店なので時々公園などに遊びに行く他は自宅で家族とずーっと過ごしているような状態です。(2020年3月16日現在) 私も臨床に携わっていないため病院への当院を制限されましたが、幸いにも自宅から病院システムへアクセスできるように設定してもらえたので自宅から解析を続けています。この辺りの対応は日本より優れているなあと感じました。

というわけで最後のレポートです。

 

今年一年をふりかえって…

激動の一年だったなあと思います。自分で言うのもなんですが、2,3年くらい前まで自分が留学するとは思っておらず、今になってみればよく決断したなあと思います。4月に渡蘭したのですが、そこから独身時代以来の一人暮らしを3ヶ月近くしました。東京から出たことのなかった私がなんとオランダで一人暮らし。。。なかなか刺激的でした。大変なことももちろんありましたがそれ以上に留学先の手厚いフォローに助けられ、本当に留学してよかったと心から思いました。7月に一時帰国し引っ越し、それからは家族でのオランダ生活が始まりました。家族が生活に慣れ、移住の手続きなどですぐに時間は過ぎ、9月からは子供の小学校が始まりました。最初は子供が毎日泣くので家族で心配していたのですが、今ではすっかり慣れました。医師になってからこれだけ色々な経験をした一年はなかったと思います。もしかしたら生まれてから一番充実した一年だったかもしれません。

 

留学して変わったこと

自分自身は特に変わっておりません。ただ、様々な点で視野が広がりました。

[1] 世界の研究に対する考え方

幸いなことに、LUMCは様々な国からのfellowを受け入れており、最近モンゴル人と中国人が新たに加わり一気にアジア色が強くなりました。彼らと会話する中で感じたことは日本人と他の人々の研究に対する態度の差でした。他の国では自分のpositionを得るためにみんな必死で研究をしています。自分のCV (履歴書)が日本よりも直接的にキャリアに関わってくるので、研究に対する姿勢は日本と比べてかなり積極的です。もちろん研究をしたくて集まっている人たちですので、かなりバイアスがかかっているかもしれません。ただ、漫然と学会に出すためだけに研究をしていた日本にいた頃の私からすれば、そのモチベーションの差はかなり大きいものだったと思います。なかなか日本にいて実感することができない研究の一面だと感じました。

[2] 世界に対する理解

日本にいた時は自身の仕事にかまけて全く世界のことに興味がなかった自分ですが、世界で何が今トレンドなのかを考えるようになりました。これは研究の面でも、社会的な面でも同じです。日本は島国であるためかなかなか他国に興味を持つのが難しいし、音楽や映画などの面からもかなりガラパゴス化が進んでいることに気づかされました(ただ、日本のアニメはみんな知っているので、ヨーロッパに来て改めて尊敬しました)。

[3] とにかく言いたいこといった方がいい

日本の文化として、慎ましいこと、空気を読むことなどは重要ですし、「沈黙は金」なんてコトワザもあります。私も多分それなりに空気を読みながら生活していたと思います。ただ、基本的に海外で他人にそれを期待するのは困難です。そのため、カンファレンスなどでは拙い英語ながらかなり意識的に発言をするようにしています。それでもまだまだ足りない方です。こういった発言や発表に対する姿勢は留学しなければ文化の壁に阻まれてなかなか改善できない部分だったと思います。

[4] 習うより慣れろ

結局なんだかんだ言っても、とにかくやってみることって大事だなと実感しました。以前は英語での発表が決まろうものなら2ヶ月前からスライド準備し、2週間くらい発表の練習をし、本番に臨む(そして結局対してうまくいかない)といった感じでした。留学後は発表しないと自分のプロジェクトが前に進まないシステムになっているため、とにかく何か結果が出たら発表するといったサイクルなので、クオリティはともかくとして必然的に発表には慣れました。留学すると必然的にそういった機会が増え、英語でのinteractiveな議論の機会が多くなることは自身の成長に繋がる事かなと思います。最近LUMCのHeart lung center内勉強会で発表する機会もあり、貴重な経験でした。

図1(院内勉強会での発表。同僚が撮ってくれました)

 

これから留学を目指す先生方へ

私の経験から申し上げますと、当初留学を志した際には留学先を決める時点から、不確定な要素が多く精神的にもかなり参っていました。ただ、実際に留学先を決めてそれに向かって動いてみると意外にもスムーズに物事は進み、留学後の生活も思ったよりもずっと快適なものでした。最近同僚とも結構打ち解けてきて、時々食事に行ったりしています。(写真) International fellowで行ったので一人もオランダ人がいません…。

図2(病院裏のカフェにて)

図3(ライデンのラーメン屋にて)

留学は留学先や選んだ分野、自身のこれまでの経験、家族の有無などによりかなり人それぞれの経験をすることになります(これが留学の醍醐味でもあるのですが)。そのため、私の経験がどれだけ他の人に役立つかはわかりません。ただ少なくとも私にとっては今の留学先は望んだもの以上に刺激的ですし、非常にsupportiveです。今後留学を考えている方に何かアドバイスすべきことがあるとすれば、まずは留学先で何をしたいか、自分が求めているものが何かについて明確にすることをお勧めします。もちろんそれがただ外国暮らしを経験したいとか、語学を向上させたいなどの目標でも構わないと思います。それが明確にならないうちに留学先を選んでしまうと自分の理想とするものが得られない可能性があるからです。SUNRISEのYIAに挑戦すると必然的にそれを再考することになるので、お勧めです!

総じて、私の留学生活は思っていたよりも順調に経過していると思いますし、楽しい経験が多く満足しています。もちろん全ての人が同じ経験をするわけではないので一概には言えませんが、違った環境に身を置くことはそれだけで貴重な経験を得ることができるはずです。

 

今後の抱負

この一年は非常に時の流れが早く感じました。大変だったことも楽しかったことも多く、ゆっくりする暇はあまりなかったですが自分が前に進んでいる実感を得られた気がします。一方でうまくいかなかったこと、もっとこうしておけばよかったと思うこともありました。もちろん全て良い経験だったと今は思えていますし、反省から学ぶことも多かったです。

まだ留学開始から丸一年も経っておらず前半戦です。今年の目標: ①現在やっているプロジェクト(多分4つくらい)を完成(論文化)まできちんと持っていく事。②自発的にプロジェクトを提案し、機会があれば多施設共同研究などにも主体的な立場で参加する事。③一つ一つの発表のクオリティを上げ、質疑応答まで完遂できるようなレベルに達する事。

①については放っておいてもボスから逐一確認され急かされるので前に進める気力さえあればいつかは達成できる…と願っています。②は自分次第ですので、チャンスを虎視眈々と狙いたいと思います。③は最近改善したいと思っている事です。発表の機会は多いのですが一つ一つが雑になりつつあるので、もう一度初心に戻り貴重な発表の機会を成長のチャンスに変えられるようにしたいと思っています。

 

最後になりますが、これまで1年間私の拙いレポートを読んでくださった方々、ありがとうございました。ぜひどこかであったら感想教えてください。

また、レポーターとして貴重な発信の機会を与えてくださったSUNRISE labの関係者の皆様方にも大変感謝しております。このレポートが誰かの助けになることを願っています。これまで1年間、ありがとうございました!