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荒井隆秀(Paris, France)

荒井隆秀(Paris, France)

Institut Cardiovasculaire Paris Sud (Paris, France)
Clinical Fellow

2015年01月18日

【テーマ】第6回:最近注目の論文

SAPIEN3 vs. SAPIEN XT

SAPIEN 3とSAPIEN XTの比較

 

SAPIEN 3 (S3)は第一世代デバイスにおける術後ARの問題、血管合併症の問題、coronary occlusionの問題などを克服すべく開発された第二世代デバイスである。現在急速にその使用数が増加しており、SAPIEN XT (SXT)との比較検討をした報告もされている。当院での状況を含めて現時点でのS3とSXTの比較に関してまとめたいと思う。

 

最近の報告

 

①Comparison of hemodynamic performance of the balloon-expandable SAPIEN 3 versus SAPIEN XT transcatheter valve.

(Am J Cardiol. 2014 Oct 1;114(7):1075-82) 1

S3 26 mmを留置した27例とannulus area、mean diameter、EF、BSA、BMIをmatchさせたSXT 26 mmを留置した50例を比較検討した報告である。Baseline characteristicsは両者で有意差はなく、procedural characteristicsではSXT群でpost dilatationを施行した割合が有意に高かった(20 vs. 4%, p = 0.047). エコー所見では、留置後のpressure gradientおよびeffective orfice areaは両者で有意差はなかった。Paravalvular aortic regurgitationに関しては頻度、重症度ともS3群で有意に低かった(SXT; ≥mild: 42%, moderate 8%, S3; ≥mild: 7%, moderate 0%, p = 0.002). Vascular complicationに関しては、有意ではないがS3群でその頻度が低い傾向にあった(14 vs. 0%, p = 0.542).

 

②Unravelling the (arte)fact of increased pacemaker rate with the Edwards SAPIEN 3 valve.

(EuroIntervention. 2014 Nov 19) 2

S3 を留置した29例とSXTを留置した160例を比較検討した報告である。Propensity matchも施行し、S3 29例とSXT 29例の比較も行っている。その結果、術後ペースメーカー留置(PMI)の頻度がS3群で有意に高いという結果となった(overall: 20.7 vs. 10.0%,  p = 0.009; propensity matched: 20.7 vs. 3.4%, p < 0.001)。更にlow implantation(valve implantation depth ≥8mm)が術後PMIのriskになり得ることを示した。この報告はS3留置後にPMIの必要性が高まる可能性を示唆したものとして注目すべき報告である。

 

当院での成績

 

S3 51例、SXT 89例の比較検討を行った。患者背景としてはAge 84.5 vs. 83.0 yrs (p = 0.221) およびlogistic EuroSCORE 18.5 vs. 15.5% (p = 0.132)であり、有意差は認められなかった。計測値としてはAVA mean PG, EF, PAなどについて有意差はなく、CTによるmean diameter of aortic annulusも有意差を認めなかった。しかしながら、選択されたvalve sizeは26.2±2.2 vs. 25.0±2.4 mm (p = 0.008)とS3群で有意に小さく、Valve/CAAD比も1.09±0.5 vs. 1.06±0.5 (p = 0.002)でありS3群で有意に低値であった。これはS3群において、SXT群と比較して小径のValveが選択されていることを示唆している。シースサイズは18.1±1.3 vs. 14.4±0.9 Fr. (p < 0.001)であり、S3群でdownsizingしていることがわかる。Outcomeとしては、major vascular complication 6 vs. 12% (p = 0.163)であり、有意差はなかったが、S3群でその頻度が低い傾向にあった。Perivalvular leakage (PVL)の頻度は4 vs 9% (p=0.219)であり、これも同様であった。30-day mortalityは0 vs 5% (p=0.045)であり、S3群で有意に低かった。より小さめなvalveが選択されているにも関わらず、PVLの頻度が低いことはS3の特徴であり、outer skirtが効果的に機能していることを示唆している。当院の成績を見るとS3の初期成績はかなり良好であると思われる。S3の良好な成績を考慮すると今後intermediate risk症例などへも積極的に適応拡大できる可能性がある。