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尹誠漢 (Seoul, Korea)

尹誠漢 (Seoul, Korea)

Asan Medical Center (Seoul, Korea)
Clinical Fellow

2015年01月19日

【テーマ】第6回:最近注目の論文

Bicuspid ASに対するTAVR。

現在わたしが携わっている分野で、興味深かった論文を2つ取り上げたいと思います。

まずは、現在最もhotな領域であるTAVRの論文からBicuspid ASに対する最初の大規模な論文です。
Mylotte D, Lefevre T, Søndergaard L, et al. Transcatheter Aortic Valve Replacement in Bicuspid Aortic Valve Disease. J Am Coll Cardiol 2014;64(22):2330–9. Doi: 10.1016/j.jacc.2014.09.039
TAVRが世界的な標準治療となったlandmark trialであるPARTNERでは、bicuspid ASは除外されています。最も頻度の多いType 1 bicuspid ASでは、rapheがデバイス開大不全を起こし、結果的に術後のARを来す可能性が高いというのがその理由です。一方で、ヨーロッパに限らず米国でもbicuspid ASに対するTAVRは現実治療として既に行われてきましたが、tricuspid ASと比較して稀であるため単施設での症例数には限界がありました。
本研究では合計139名(SAPIEN/XT 48名、CoreValve 91名)のbicuspid ASが対象となっています。STS scoreが4.9%(確実にintermediate risk!しかもoff-labelのbicuspid AS)に対してoverall 1-year mortalityが17.5%と、これまでに報告されているintermediate risk groupのTAVR患者のデータ(STS 3-8%, 1-year mortality 16.5%)とほぼ同等でした。Device間の比較では、1-year mortalityでは有意差がなく、AR(grade 2以上)はCoreValveに多い傾向があったものの、術前CT施行率に差があり(77% vs. 51%とCoreValve群で少ない)、multivariate analysisではMale sex, STS scoreとならび術前CTの施行が予測因子として同定されました。Tricuspid ASにおけるTAVR術後のARはSAPIENよりCoreValveの方が多い傾向にあることにはconsensusが得られていますが、bicuspidにおいてはその差がありませんでした(少なくともCT施行例では)。SAPIEN群におけるannulus rupture、開胸術への移行率がそれぞれ2.1%, 4.2%とやや高率であることを考慮すると、高度石灰化例、rapheに石灰化がある例などでは安全性を優先してCoreValve,それ以外ではSAPIENといったdevice選択が導き出されます。

2つめはCoronary CTの論文で、CABG後の患者の新規CTO発生率を解析したものです。
Pereg, D. et al. Native coronary artery patency after coronary artery bypass surgery. JACC Cardiovasc Interv 7, 761–7 (2014).
グラフトに対する報告はこれまでに数多くありましたが、native vesselに対する研究は少なく、興味を引きました。CABG術後の長期予後はgraft開存率に依存しておりますが、graft failure時のre-CABGもしくはre-PCIはどちらもNon-CABG患者に比べハイリスクです。PCIに限定すれば、graftに対するPCIはハイリスクかつ、時としてdiffuse lesionのため不可能で、native vesselに対するPCIが必要になります。Native vesselがCTOの場合、当然ながらopen vesselより成功率は低く、non-CABG患者よりもCABG患者のCTO成功率が低いことも報告されています。したがって、CABG術後のCTO発生に関する知見は有用と考えます。この論文では、CABG 1年後のCTO発生率がLAD 27.4%, LCX 34.0%, RCA 38.6%と予想以上に高いことが報告されています。また当然ながら、CABG術前のtarget vesselの狭窄度が高度であるほどCTO発生率が高度になることも報告されています。グラフトに関してはIMA吻合されたLADが最もCTO発生率が低いですが、saphenous veinとradial artery間では有意差がありませんでした。またグラフトの開存度との関連も興味深かったのですが、これにも相関がありませんでした。本研究における解析は淡泊で非常にあっさりしています。Baselineの狭窄度以外の予測因子は?予後との関連は?などについては明らかにされておりません。これらの疑問に応えるべく、目下解析を進めております。