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from Overseas

末永祐哉(Groningen, Netherland)

末永祐哉(Groningen, Netherland)

University of Groningen (Groningen, Netherland)
Research Fellow

2015年02月11日

【テーマ】第8回:留学のダークサイド

解決できることとできない事。

“留学のダークサイド”

今回はなかなかテーマですが、まあ正直いくらでもあります(笑)

まずお金。これは避けられません。

私は完全に私費で留学中なのでとにかくこれが問題です。どういうことかというと、毎日確実に貯金が目減りしていっているわけです。この不安は結構なもので、結果として(当たり前ですが)欧州にせっかくいるのにもかかわらず、どこか好きなところに行く、というのも財布との相談になります。時間はあるのに、って感じです。おそらくこのままいくと、帰国時にはめでたく文字通り「すっからかん」になる予定です。すっからかん太郎です。後悔しているわけではないのですが、はやり私のように「完全私費留学」は人様にはお勧めできません。というか、ふつうは家族の了承が得られない気もしますが。。

次に食事。外食が高い!わりにおいしくない。B級グルメ的なものは安くて(とも言えない気もしますが)おいしいので気に入っていますが、たとえば誰かが遊びに来た時に「ここはおいしいからおすすめ」とまでは言えるところはありません。魚もなかなか手に入りづらく(あっても高い)、自然と肉中心の生活になります。別に肉が嫌なわけではありませんが、当然毎日肉食べていると飽きます。

あとは気候です。雨が多く、たとえ朝が雲一つない快晴だったしても雨が降ります。すごい勢いで変わっていきます。「雲一つない快晴 → 曇り → すごい風と雨 → 雲一つない快晴」というのが1日の日中だけでも起こりえます。そして風も強いので、本気で雨が”horizontal”に降ります。また、曇りの日が多く、特に冬は日照時間が短く(このせいでオランダは自殺率が高い、と言われています)、朝8:30くらいに出勤して17時くらいに帰宅するとしたら、冬だと「真っ暗な中出勤して真っ暗な中帰宅する」ことになるのですが、これが本当に滅入ります。特に朝、出勤時はただでさえ冬は寒いので嫌になるのですが、この上真っ暗だったりすると嫌気がさします(Picture 1)。私は夏から秋の間は8時前に着くように職場に行っていたのですが、この「真っ暗な中出勤する事」が嫌で冬の間は明るくなってから家を出るようにしました。「決められた勤務時間」がないからできることですが。

第8回 Picture 1

Picture 1 これで8時くらいです。真っ暗。

仕事をしている中で、特に最初の頃、一番ストレスだったのはディスカッションでした。オランダ人は議論好きで有名です。英語の問題というよりも、どちらかというとディスカッションスキル、といえるかもしれません。どんな質問や鋭い突っ込みにもどうにかしてしゃべりながら考え、上手に切り抜けますし、逆に人に質問をするときには徹底的に議論します。自分はどちらかというとじっくりと考えたいタイプなので、質問に対してすぐにその場で何らかの返答を求められるのがとてもストレスフルでした。学会の質疑応答はまあせいぜい5分前後なのでそんなに問題になることは少ないかと思いますが、ミーティングでのディスカッションはそうはいきません。時間がある限りひたすら議論します。でも毎週それをやっているとまあまあ慣れてきますので、これも自分の鍛錬だと思って頑張っています。

言語の問題と言えば、オランダ人は医師に限らず95%以上が英語を十分に話せますが、ちょっとしたときにオランダ人同士は当然オランダ語でしゃべります。自分が所属する循環器内科は自分以外にオランダ人以外は20人以上働いている中で2、3人しかいないので、周りは基本オランダ語で、あまり何を言っているのかがわかりません。また、たまに英語からオランダ語交じりの英語にシフトする時もあります。ただ、これは自分がオランダ語を習得すれば済む話なので、今本気でオランダ語を勉強する事を考えています。その一方で帰国後にオランダ語を話す機会なんてそうないでしょうし、その時間論文書いた方がいいのかな、といった思いもあってまだ悩み中です。

上司に関しては全く文句がありません。研究者としても、人格的にもとても優れていると思いますし、いつも自分や自分の家族が大丈夫か気にかけてくれています。これまで論文でしか名前を知らなかった心不全のauthoritiesと非常に良い関係を築いており、そのようないわゆるエライ先生方が集まる場によく連れて行ってくれますし、私が研究者としてより良いステージに行けるように考えてくれているのを感じます。一度も実際にこの街や大学に来ることなく、2回ほど直接上司と会っただけで決めた留学先でしたが、これに関しては自分の直観を信じて間違っていなかったと思っています。

まあ、ストレスフルなことならまだまだありますが、「ストレスのない仕事にやりがいも充実もない」と思って頑張る、というのが海外留学には必須の姿勢でしょうね。

ただ、お金だけはなあ(笑)。。