SUNRISE研究会

SUpporting youNg caRdiologISts projEct

from Overseas

田中哲人(Italy)

田中哲人(Italy)

San Raffaele Hospital (Milan, Italy)
Clinical fellow

2015年12月15日

【テーマ】2015-2016

Next Generation

Next generation Bioresorbable scaffold

今回、Next-generation Bioresorbable scaffold (BRS)について取り上げてみたいと思います。

[1] Amaranth Fortitude BRS: Differentiating Features and Clinical Update
Juan F. Granada et al. at TCT 2015

上記は今年10月サンフランシスコで行われたTCT2015において、次世代BRSの一つであるAmaranthが取り上げられていた発表です(内容はTCT homepageからも見ることができます)。開発が進んでいる数ある次世代BRSの中で、特にこれを特別にというわけではなく、方向性がわかりやすく示されていた発表だったので、一つの例として取りあげさせていただきました。(特にCOIはありません)

Current BRSといえば、ほぼABSORB BVSになると思いますが、ここ1年でもABSORB III、ABSORB Japan、ABSORB China [2-4]と、続けてRandomized trialが発表され、EESに対するその非劣性が証明されてきました。また、複雑病変を含むReal-worldのRegistryデータでも、まだ比較的短期のものがほとんどですが、acceptableな成績が報告されてきています。Current BRSにおいても、既に多くの病変に適応できるのではと思われますが、同時に、今後改良が期待される点も明らかになってきています。

# Strutの厚さ、幅、Radial force
現行のABSORBはその厚さが157 μmあります。MetalではXienceやUltimasterが約80 μm、(日本未発売ですが)Synergy stentが74 μmであることを考えると、その約2倍であり、かつての第一世代DESのCypher(152 μm)よりも厚いことになります。さらに厚さの方がよくfocusされていますが、その幅についてもLink部(140 μm)、Hoop部(2.5/3.0 mm Absorb:191 μm、 3.5 mm Absorb: 216 μm)と、Xience (81 μm)と比べてみてもかなり大きいことがわかります。

このBulkyなStrutに伴い、Deliveryの問題や、さらに留置後のイベントリスクについても、特に小血管や、Overlapping部、Double stentingなどの複雑な手技後で、より高くなりうることが想定されます。実際に、EESと比較した際の血栓症のリスクについては最近のMeta-analysisでも指摘されています[5]。
さらにstrutの幅が大きいと、血管の表面を占有する率が高くなり(Xienceの2-3倍)、未だ議論のあるところではありますが、急性期に小さな分枝を潰しやすくなることなども懸念されます[6,7]。特に将来的に生体吸収の恩恵を最も受けうるようなLAD long lesionなどにおいては、多くの分枝が関わりうるので、その急性期リスクとのバランスも考える必要があるかもしれません。

今後はStrutも薄くなっていくことが期待されますが、そのためにはRadial forceのより強い素材が必要になってきます。 Current BRSは、今のstrutの厚さと幅をもってしても、まだMetalには及ばないのが現状のようです。最近のRandomized trialでも、EESと比較してAcute gainがどれも少ないことが見てとれます。比較的単純病変でもそれが有意に出ていますが、臨床現場において複雑病変ではより多くの場面で実感する気がします。

次世代BRSに期待される方向性の一つとしては、Radial forceの向上ならびにそれを維持した上で、strutの厚さ、幅を減らすことが挙げられると思います。この発表ではABSORBで使用されているCurrent PLLAとAmaranth PLLAの違い、そこからScaffold productの出来るまでが示されています。その構造の違いにより、Amaranth polymerは、引き延ばしに対してCurrent PLLA polymerの約10倍の強度を持つようです。現状のABSORBでは過剰な拡張により、その強度も弱まりかつ比較的容易にFractureを起こしますが、Amaranthではその部分もかなり克服しているようです。その技術により、Radial forceを維持した上でstrutの縮小が可能になり、元々のAmaranth 150 μmから、120 μm、さらに90 μmの厚さのscaffoldまでが作られています。動物実験において、150 μmと比較して90 μmでは短期のStrut coverageが著明に高いことも示されています。またAmaranthは、血管壁の占有率も現状のABSORBと比較して小さくなっているようです。

臨床治験としては、150 μmを使用したものが終了し、さらに現在では120 μmを使用した RENASCENT II studyが始まり、先日当施設(San Raffaele Hospital)で一例目が行われました。まだ印象はわかりませんが、Radial forceを保った状態でのstrutの縮小がこのまま順調に進むことが期待されます。

# 吸収時間
もう一点、吸収時間に関してですが、ABSORBに関しては約3年でその吸収過程が終了すると言われています。既に当施設でも実臨床で使用が開始され3年半が経過し、3年越えのケースをIVUSやOCTなどで観察することも時にありますが、ある程度の構造物は3年ではまだ観察されることが多いと思います。製品技術的な問題もあるとは思いますが、吸収時間としてはもう少し早くなって欲しいのが正直なところでしょうか。当然早く消えすぎて早々にRadial forceを失ってしまうと血管内腔を一定期間Scaffoldingするという本来の目的を達せられないことにはなりますが、消えるまでの時間の中でRadial forceをいかに長く保ち、かつそれを失ってから消えるまでの期間が短いのが理想になると思います。Amaranthでは、Molecular weightが1/3程度になる10カ月頃までRadial forceが保たれ1-2年で吸収が終了するとされています。

Current BRSはEESに対する非劣性が証明されて来ていると同時に、複雑病変を含む実臨床において広くMetalと同程度の短中期成績を得るためには、(性能としてほぼ成熟しているMetalと比較して)より手間をかけた適切な手技が必要ということも指摘されています(適切なLesion preparation, Post-dilatation, Imaging etc.)[8]。かつ複雑病変においては一定期間のより積極的な抗血小板療法の考慮も必要かと思われます。

こういったMetalとの差が徐々に埋まっていく時が、BRSの生体吸収という長期の魅力が、より前面に出せる時かと考えられます。

今回、Amaranthの発表を次世代BRSの一例として取り上げましたが、その他にも、strutの形状についてなど細かい点での違いや、さらにはMagnesium・その他の素材など、多くのメーカーで様々な形で開発が進んでいると思います。DESの成熟にもある程度の時間を要したように、BRSに関してもまだしばらく要するとは思われますが、予想以上に早く進むのでは、と期待しています。

 

References
[1]Amaranth Fortitude BRS: Differentiating Features and Clinical Update. Juan F. Granada et al. at TCT 2015
[2] N Engl J Med. 2015 Nov 12;373(20):1905-15.
[3] Eur Heart J. 2015 Sep1. pii: ehv435
[4] J Am Coll Cardiol. 2015 Dec 1;66(21):2298-309
[5] Lancet.2015 Nov16. pii: S0140-6736(15)00979-4. doi: 10.1016/S0140-6736(15)00979-4.
[6] JACC Cardiovasc Interv. 2015 Jun;8(7):900-9.
[7] JACC Cardiovasc Interv. 2015 Jun;8(7):910-3.
[8]Eurointervention 2015;11:45-52