SUNRISE研究会

SUpporting youNg caRdiologISts projEct

from Overseas

塩野泰紹(UK)

塩野泰紹(UK)

Imperial College London (London, UK)
Clinical fellow

2016年04月10日

【テーマ】第10回:留学生活; 今年を終えて

多くの出会いに感謝

留学を開始して6ヶ月が経過した。あっという間に留学予定の4分の1が終わってしまったというのが率直な感想である。それは仕事面での進捗具合から残る期間で何をインプットしてアウトプットできるのかという焦燥感と、この半年間の経験がこれまでにないものであるためにこの貴重な時間を少しでも長く味わっていたいという気持ち両方から来るものである。
留学先の仕事面に関しては、正直言って様々な面で苦い思いをしている。そして多くが自身の力ではどうにもできないことも分かってきて、日本にいる時はいかに周りに支えられ恵まれた環境で仕事ができていたかを改めて認識した。しかしそういう状況だからこそ自分にとって何が足りないのか、伸ばすべきところはどこか、短期・中期・長期の方向性を具体化するなど今一度自身を冷静に見つめなおす良いきっかけになった。またSUNRISEのレポートの題目の多くがそれらに関連していたため考えを言語化することでより深く考えさせられた。さすが海外留学の先輩方の考えられたプロジェクトである。
しかし制限があることは必ずしもマイナス面のみではなく色々挑戦する気持ちにもしてくれた。日本にいた時には臨床・研究ともに過去に成功した方法を踏襲してしまう傾向にあった。きっとどこかで安定志向に陥ったり日常業務に飽和したりしていたのだと思う。こちらでは食わず嫌いせずに新しいことでもまず自身でやってみるように心がけている。残された1年半もあっという間であろうが何もしないには長すぎる。できるだけたくさんのことに挑戦し一つ一つ粘り強くやっていきたい。そしてそのうち何か1つでもものにできればと思う。
またこの6ヶ月間に日本にとどまっていては出会えなかったであろう方々とたくさん交流する機会に恵まれた。ロンドン以外の街を訪ねてみればより明確に実感できるのであるが、ロンドンの人種は極めて多様である。職場、住宅周辺、(娘の)学校など至る所で多種多様な背景を持つ人と交わる機会が多い。そのためカルチャーショックを受けることもあるが、知りもしなかった文化や習慣を学ぶ機会が多い。またこれらを日本と対比することで自身の文化や習慣に関しても新しい気づきや理解を深めることもある。これに関しては自分だけでなく家族にも言えることで、何年も英語を使っていなかった妻が母親友達から必死に情報収集したり、現地校に通う娘がイベントに参加したり現地の子供たちと遊んでいるのを見ると、今回の留学は自身のみでなく家族にとって貴重な学びの場になっていることが実感される。
さらにはロンドンやヨーロッパでそれぞれ異なる環境に置かれた日本人と出会えたことも大きな経験である。例えば循環器の領域でも自分とは異なる専門分野の医師、循環器以外の医師、さらには医療とは関係の無い他業種の方々との出会いである。当初はロンドン滞在中にはできるだけ日本人よりも現地人との交流を心がけようと思っていたが、一定期間日本を離れて生活すると自分の国籍を強く意識したり、母国に対する望郷の念が強くなる。その折に異国における日本人との交流は癒しとなるだけでなく自身への励みにもなる。自分とは分野や環境は異なっても異国で何か成果をあげようとしている日本人たちとの出会いによって自身は医療および科学の領域で日本に対して貢献したいと思う気持ちを強くしてくれる。
最後に、SUNRISEでの出会いや経験も留学に踏み切らなければ得られなかったものである。YIAやレポートを通して様々な気づきや新たな出会いがあったことに感謝している。残る留学期間でさらなる出会いに期待するとともに、これまでに得られた出会いを発展させられればと思う。