SUNRISE研究会

SUpporting youNg caRdiologISts projEct

from Overseas

梅本朋幸(Italy)

梅本朋幸(Italy)

Ospedale Civile Mirano (Mirano, Italy)
Clinical fellow

2016年04月10日

【テーマ】第10回:留学生活; 今年を終えて

『すべての出逢いは“偶然”ではなく“必然”』

この1年間を振り返ってみると,月並みな感想であるが,本当にあっという間だった.これまでの自分の人生の中でも,特に変化や刺激に富んだ時間を過ごしたので,余計にそのように感じるのだと思う.それでも,ひとつひとつの出来事を思い出すと,この1年間は無限にも感じられる.イタリア入国当初,右も左も分からない状況での膨大な事務手続きは本当に苦労した.今思い出しても本当に綱渡り状態であった.イタリア留学経験者の方々がしきりに言われていた“イタリアの洗礼”なのだろうが,前もってある程度覚悟をしていたにも関わらず心身ともに疲れきってしまった.また,職場に馴染むのにも苦労した.国民性の違いや言葉の問題で,考えや思いをスムーズに伝えられないことが大変もどかしかった.同僚たちとの関係を深めるために,自分なりに様々な努力をしていたことが,今となっては懐かしく感じられる.日常の生活や仕事にある程度慣れてきてからも,ときおり不思議な感覚に襲われることがあった.特に,自宅から病院へ向かう路を,黙々と歩いている時に多かった.イタリア特有の石畳の歩道,遠くに見える教会の塔,すれ違う地元のイタリア人夫婦の会話,,,そういった環境に包まれている時に,突然『どうして自分は今ここに居るのだろう?』という疑問が湧き上がってくるのだ.当然,自分が留学することを決めたのでここに居るわけなのだが,あまりに環境が変わりすぎたため,自分自身が適応しきれていない状態だったのかもしれない.たいていの場合,留学に至った経緯を思い出すことで,その不思議な感覚は落ち着いていくのだが,その経過で,『何かを思わなければ何も始まらないし,行動しなければ何も動き出さない』ということを認識することが出来た.一方で,自分の努力や気持ちだけではどうにもならない場面もあるということにも,改めて気付かされた.事務手続きだけではなく,日常生活や職場でも自分の無力さを感じることが多々合った.やはりこれまでと違う環境に居ることで,より強く感じることが出来たのだと思うが,この1年間で容易には屈しない強い心を手に入れることができた.また,この1年間で新しい人々と出会うことが出来た.偶然としか思えないような出会いから,様々な人との繋がりが生まれていった.このような出会いと人脈は,本当に大切な財産であると思う.目標に向かって一直線に生き急ぐだけではなく,ちょっと立ち止まって,いろいろなものを楽しむ余裕もまた,人生において必要なものであると感じさせてくれることが多い.この1年間を振り返って確信したことは,日本とイタリアにいるたくさんの人達に支えられて,今の自分があるということだった.これらの人たちへの感謝を忘れず,少しでも恩返しになるようなことを行っていきたいと思う.4月以降も私の留学生活は続いていく.今後の目標は,“これまで通りやっていく”ことである.同じ環境に居るとどうしても慣れが出てきて,ともすれば守りに入ってしまう傾向がある.常に挑戦し続ける姿勢を保ち続けながら,その中で目に見える形での結果を出して行きたいと思っている.

“最高傑作は次回作”

― チャールズ・チャップリン ―