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from Overseas

植島大輔(Padova, Italy)

植島大輔(Padova, Italy)

Padova University Hospital, Padova, Italy

2017年02月18日

【テーマ】2016-2017

はじめの3ヶ月にいいことはない。

1. 気候


 

留学開始時期はぜひ滞在先の気候も考慮することをおすすめする。

ヨーロッパの冬はとにかく寒く日が短い。サマータイムが終わった10月には明るい朝を迎えてひと時の幸せを感じたが、1月にもなると再びまだ夜が明けないうちに家を出ることになる。

イタリアはヨーロッパでは南部に位置するし、出身大学は北海道なので寒さに慣れているつもりでいたが、留学初期の落ち込みがちな時期に暗い空は相当堪えた。

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写真1,2 Parato Della Valleと自宅前の写真 冬は霧が多くて気が滅入った。霧がひどい時には100 m先も見づらい。

 

2. 金銭問題


 

これは誰しも直面する問題だと思うが、イタリアでは給料は出ないものだと考えた方が良い。先のレポーターの方々も書かれているが、ただでさえ職のないイタリアで、研究しかしていない日本人が給料を得るのは不可能だと思う。日本の物価を100とするとイアリアは93と大差ないらしいが、4人家族の我が家の生活費は私立幼稚園の月謝を含め月35万円ほどで想定に収まっている。

パドヴァは街がコンパクトにまとまっているため車がなくても不便に感じないが、場所によっては車が必要で出費はかさむだろうし、家賃もミラノなど都市部では東京23区と同等かそれ以上かかるので地域によってかなりの変動があるだろう。ただ、他の国の人と比べると恵まれていることは間違いない。

 

3. 食事


 

”食のイタリア”と言われている通り、食事に関しては大変恵まれている。外食は日本と同等の価格帯だが、スーパーの食材は断然安いし、リゾットやライスサラダなど米を食べる習慣があり、日本食ブームも手伝って日本食材は大抵手に入る。当初、米は日本米を購入していたが、その半値近い現地米(約1.5ユーロ/kg)を買って試行錯誤したところ、ペットボトルの軟水で炊くと日本米と同等の炊きあがりになった。

ドイツでは夕飯は火を使わず冷たいと言うし、イギリスで食事に関して良い話題を聞いたことがないのに比べると、イタリアはどこに行っても大外れはなく日本人にとって貴重な国の一つだと思う。

 

4. 言葉


 

英語が堪能であれば本気で(一日2時間ぐらい)勉強すれば1年である程度イタリア語はできるようになるらしい。アメリカ外務職員局が英語を母語とする者が習得するのにかかる期間を元に各言語の習得難易度をまとめている。それによると英語を母国語とする人がイタリア語をマスターするのにかかる時間は575-600時間。もちろんこの機関の対象者はそうとう優秀な人に限られるので一概には言えないが、365日1日2時間勉強すればまあ行けるんじゃないだろうか。ちなみに日本語はその4倍近く勉強しなくてはならず、さらにそのカテゴリの中でも最も難しいらしい。逆も真とは言い切れないがある程度当てはまるだろう。

ヨーロッパにはヨーロッパ言語共通参照枠 https://ja.wikipedia.org/wiki/ヨーロッパ言語共通参照枠 というのがあって、ドイツの医師免許に必要な言語能力はC1(最近B2からC1になった)らしい。今の私のイタリア語は多分A1-2の間ぐらい。英語は贔屓目にみてB1-2ぐらい。残念ながら日本にいる時は英語を勉強するのに必死でイタリア語はせいぜい50時間ぐらいしか勉強できなかった。多分イタリア語は1,000時間ぐらい勉強したらB1-2ぐらいになるんじゃないかなと思って気長に取り組んでいる。何が言いたいかというと、よほどの語学的バックグラウンドがない限りすぐに言語を習得できるとは思ってはいけない。その国ではじめから現地語で戦おうと思ったら500時間は勉強してから来ることを勧める。

 

5. 仕事面


 

この項目を書くにあたって過去のレポーターの方たちの文書を読み直したところ、塩野先生のレポートに大変共感した。多分留学してからレポートを書くまでの時期が大きく関係していて、塩野先生も秋から留学されたので留学の割と前半(半年以内)でレポートを書かれているからだと思っている。留学初期は種まきの段階で自分の立場をどこに置いたら良いか分からず、またこの留学先でどこまでのことができるのかもわからない。自分ですぐに十分な数のデータを集められるわけではないし、来たばかりの奴に施設のデータを自由に使わせてoutputさせてくれるなんてそうそうはないのではないだろうか。うちのボスももちろん気遣ってくれて、”Next week you’ll get more involved.”なんてよく言ってくれるが、言い方を変えるとまだ溶け込みきってないとも言えるのだろう。施設側も外国人フェローを扱うのは初めてなので3ヶ月たった今もまだ手続きも終わっていない。放射線防護手続きは今週中に終わるらしいので(フェロー仲間情報)そうするとようやくカテ室内に入れることになる。ただし、イタリア医師資格を持っていないので直接の治療はできない。じゃあどこまでできるのか、というのは先になってみないとわからない。

話に出たので医師免許についてお伝えしておこう。他の国の事情は分からないが、イタリアで日本の国家資格を使ってイタリアの国家資格を取ることは不可能ではないがイタリア語での医師国家試験を受ける必要がある。4,5年こちらにいるのならばこの試験を2,3年かけて通って、というのもありかもしれないが、たかだか2年の留学のためにこの試験の勉強をするのは、、、と思って今は手を付けていない。先に留学者がいれば状況は違うが初めての施設に行く場合はそれこそ博打で、施設側も自分もどうなっていくのかお互いに手探りの状態が続いている。

 

6. とりあえず3ヶ月


 

はじめの3ヶ月にほとんどいいことはなく、現に10月12月1月の三ヶ月はあまり思い出したくない(11月は家族を連れに日本にいた)。体は使ってないのに毎日疲れ果てて異常に眠くて7時間以上は寝ていた(歳のせいかもしれないけど)。今ようやく3ヶ月を終えて比べてみると、まあ確実に進歩はしていて、スタッフは気遣ってくれるし、必ず話しかけてくれるようになった。もし今から留学する人や、まさに留学を始めた人がこの文章を読んでいるのであれば、とりあえず3ヶ月と思って耐え忍んで欲しい。

留学半年以内にダークサイドを書くと、書くことが多すぎて。。。読まれる方は是非留学から半年以上たった他のレポータの方々と比較してもらうと面白いと思う。「半年以上経ったら辛かった思い出が風化して前向きに考えられるといいな」と妄想しながらこの文書を書いている。

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写真3,4 晴れた日のParato Della Valle イベントのときには移動式観覧車が登場する。