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藤野明子(New York, USA)

藤野明子(New York, USA)

Intravascular Imaging Core Lab of CRF, New York, USA

2016年07月30日

【テーマ】第1回:留学の動機および留学までの道のり

Follow Your Passion!

はじめまして、2016年7月よりCardiovascular Research Foundation(CRF)/Columbia University Medical Centerに留学中の、藤野明子と申します。私は現在医師10年目ですが、大学の医局には所属しておらず、学位も取得しておりません。留学を目指すにあたり、私はこのことに引け目を感じ、長い間最初の一歩を踏み出せずにおりました。ですから、現在臨床を中心に仕事をされている、私と同じような「留学に不利」な状況にある先生にも、十分に留学のチャンスがあることをお伝えしたくて、この第一回レポートを書いています。どうぞよろしくお願いいたします。

■なぜ留学しようと思ったのか
自分の専門性を高め、臨床研究をより深く学びたいと思ったからです。まずは一人前の循環器内科医になりたいという気持ちでこれまで臨床を続けてきましたが、年々自分の成長曲線が緩やかになり、伸びしろが少なくなってきていることを自覚するようになりました。10年後も高いモチベーションを保って仕事を続けるためには、自分の専門性を高めることが不可欠であると感じ、最も興味のある冠動脈疾患領域での臨床研究留学を考えるようになりました。

■なぜ現在の留学先を選んだのか
日常臨床の疑問をダイレクトに解決できる臨床研究に面白さを感じていたので、その手法を発展的に学べる施設を探しました。いくつかの施設で迷っていたとき、ちょうどCRFで「PROSPECT ABSORB」という不安定プラークをBVSでシールすることでACS発症を予防する、というユニークな研究が計画されていること知り、現在のPCI適応を根本から変えうるような大胆なコンセプトに惹かれ、アプライすることを決めました。またワインをいただきながらの面接(!)の際に感じた、ボスの人間的な魅力も、最終的にCRFに決めた大きな要素であったように思います。

■留学するにあたって困難であった点、どのように解決したか
私にとって、唯一にして最大の困難は、「アカデミックなバックグラウンドを持たない自分にとって、留学はハードルが高すぎる」という思い込みからなかなか脱却できなかったことです。が、よくよく留学中の先生方に話を伺ってみると、医局や学位とは無関係に、自分自身で希望する施設と直接交渉して留学を決めた先生は意外に多く、この方法なら自分にもチャンスがあるのではないかと思い、真剣に留学を考えるようになりました。たくさんの先生方から留学実現のための貴重なヒントいただきましたが、そのうち特に心に響いたいくつかを、以下にご紹介させていただきたいと思います。

1.「いちばん大切なことは、どんな施設に留学したいのかを自分自身で考えること」
実際に留学生活が始まった今、心の底からこれが最も重要なことだと実感しています。一口に留学といっても、行き先によってその内容は全く異なるからです。その施設が持つ研究素材、業務内容、上司との相性等を吟味し、自分の望む環境であるかどうかを確認することが大切だと思います。受け入れ許可を得られるかどうかはもちろん気になるところではありますが、まずは「お見合い」に臨むような気持ちで、自分の人生の数年間を預けるに足る施設かどうかを、冷静に見極めるのがよいと思います。この過程で十分な情報収集をし、自分が留学に何を望むのかが明確になれば、実際の受け入れ交渉は案外スムーズだと思います。

2.「アメリカは、情熱が通じる国」
渡米してみてますますこのことを強く感じますが、アメリカ人は、こちらの強い思いや粘り強い交渉に対して、予想以上に理解を示したり譲歩してくれる傾向があるように思います。ですから、こちらの熱意をうまく相手に伝えることができれば、英語が拙くても、CVの内容が少々物足りないものであっても、多めに見てくれる可能性はあると思います。どう情熱を伝えるかというのは難しい問題ですが、自己紹介、これまでに行った研究の要点、志望動機等を簡潔に英語で述べる練習を重ねることで内容をブラッシュアップできると思います。とはいえ、私はこれらをすべて口頭で伝えきる自信がなかったので、CVやこれまでの研究をまとめたスライドをプリントアウトして、自分の希望する留学先候補の先生が参加する学会や本番の面接の際には持参するようにしていました。

3.「面接前にボスに“面通し”をしておくことは、必須」
第一志望の施設には、アプライの前に、ぜひ直接見学に行くことを強く勧めます。その際には、施設のボスと確実に現地で会える日程でスケジュールを組み、何とかして直接会話する機会を作るのがいいと思います。こちらの熱意が伝わりますし、そのボスの人となりを知るチャンスでもあるからです。また見学のもうひとつのよい点は、メールのやり取りでは知りえない留学生の本音が聞けることです。マイナス面も含めて、その施設の実際を知るいちばんよい方法だと思います。もし見学が難しい状況であれば、国際学会等の機会を利用してもよいと思いますが、本命施設の面接前に、その施設のボスとの人間関係ができていると、受け入れ許可をもらえる可能性は高まると思います。

3人の先生からいただいたこれらのアドバイスは、結局のところどれも、「留学には、熱意が大切」というメッセージであるように思います。逆に、熱意さえあれば、特別なコネクションやさしたる実績がなくても、今の時代、留学すること自体はそれほど難しくないのだと思います。私が幸運だったのは、一見すると留学に不利な私の状況をよく理解し、それでも留学の可能性を示唆してくださった先生が、周りにいらっしゃったことです。これらの先生方の助言なしに留学の実現はありえなかったことを考えると、情報収集は本当に大切だと思います。SUNRISE研究会は様々な施設の情報収集に格好のネットワークですので、これから留学を考えていらっしゃる先生はぜひ積極的に活用されるのがよいと思います。そのような情報提供を厭わない先生方が集まっている会です。また先日大阪大学の原先生がSUNRISE研究会のフェイスブックで紹介されていた本が、私たち留学を志す若手医師のよき指南書となっているように思いますので再掲させてください。誰もがなんとなく感じているあろう大切なことが、はっきり活字に起こしてあり、前に進む力を与えてくれます。

『若手医師のためのキャリアパス論―あなたの医師人生を10倍輝かせる方法』
岡西 徹 著

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留学を志す先生方が、ご自身にとってベストな留学先を見つけられますことを、心より願っております。

 

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