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堀内優 (San Diego, USA)

堀内優 (San Diego, USA)

University of California, San Diego (San Diego, USA)
visiting scholar

2017年10月17日

【テーマ】2017-2018

UCSDとVA Hospital、二つの特徴的な病院

1. UCSDとVA Hospital

私のボスであるAlan Maisel教授はカリフォルニア大学サンディエゴ校 (University of California, San Diego [UCSD]) 循環器内科の教授とサンディエゴ退役軍人病院(Veterans Affairs [VA] Hospital)のCCU室長を兼任している。二つの施設は同じ敷地内にあり、VA hospitalのスタッフはほとんどがUCSDからの派遣もしくは兼任となっている。また、UCSDの循環器内科フェローや研修医もVA Hospitalに派遣されて研修を行っている。Maisel教授のオフィスと研究室はVA Hospitalにあり、私もVAに付属する研究所(Veterans Medical Research Foundation)で業務を行っている。

VA Hospitalはその名の通り退役軍人を対象とした病院である。サンディエゴは3つのアメリカ軍基地がある基地の町としての側面を持ち、トムクルーズの出世作である「トップガン」(1984年)の撮影場所としても有名である。現在でも軍関係者11万人、退役軍人24万人が暮らしている。退役軍人の診療を一手に引き受けているのがVA Hospitalである。診療内容は日本の市中病院に近く、ハイリスクなPCI症例や移植を念頭にいれた心不全症例などはハイウェイを隔てたUCSDに転送されている。

UCSDはJACCのEditor in chiefを長年務められたAnthony DeMaria教授が在籍してしる。年間30-50症例程度の心臓移植や、各種臨床試験に積極的に取り組んでおり、こちらはいわゆる大学病院である。所属の関係でわたしは主にVAのみで仕事をしているが、UCSDで行われるカンファレンス(シネカンファレンスや勉強会など)にはなるべく参加するようにしている。せっかくなのでUCSD本院の様子も詳しく知りたいと思っており、現在書類手続き中である。これが終われば、主に心不全移植プログラムを中心に見学してみたいと思っている。

 

2. ボスや同僚の紹介

Alan Maisel教授は急性心不全の診断におけるBNPの有用性を確立した人物である。その後もBNPを中心に各種バイオマーカーによる診断やリスク評価などにおいて数多の業績がある。直近では急性腎障害におけるNeutrophil Gelatinase-Associated Lipocalinの有用性を検討したAKINESISなど、数多くの多施設臨床試験のPIを務められている。非常に多忙で、頻繁に海外・国内に出張している。このレポートを書くために写真を、と思っていたのだが、また半月ほど出張してしまった。人柄は非常に気さくで、誰に対してもフレンドリーである。また、これまでに2つのmedical thrillerを執筆しており、小説家としての一面も併せ持っている。

彼がCCUを回診するときに一緒に回らせてもらっているが、常に冗談を言いながら回診している。また、独立記念日に家族を自宅に招いて下さったり、妻の様子や子供が英語を話せるようになっているかなど、家族のことを非常に気にかけてくださる。息子に水泳を習わせろ、レゴランドに連れていけ、など家族を大事にするように指導されている。

ラボのメンバーは、Alan Maisel教授とマネージャー(MDでなはい)、あとは出入りしているUCSDのフェロー、レジデント、そしてUCSDの大学生やその卒業生達である。フェローやレジデントは臨床業務が主な仕事であり、それと並行してラボに出入りして研究を進めている。大学生や卒業生は日ごとに分担して臨床試験への患者の登録を行っている。彼らは臨床試験を通して医学について学びながら、医学部入試への準備を行っている。

 

3. 日常業務スケジュール

一日の流れとしては、6時に起床し子供の保育園と小学校の準備をし、7時前には家を出て次男を保育園に送っていく。長男は妻が小学校へ。その後VA Hospitalへ到着し、7時30分からCCUの回診。9時くらいには終了する。CCU回診はVAのstaff doctorで持ち回りであり、教授が回診する日は同席している。その後は自分の仕事を進めるのだが、主なものは教授のもつデータベースのサブ解析である。1週間に一回程度面談し、データベースからテーマをいくつかプレゼンし、OKがでればFigure, Tableを再度プレゼン、これもOKが出れば論文化、という流れである。前回の面談で一気に5-6個テーマをもらい、日本でsubmitした論文のreviseなどもあいまって現在手一杯である。この他にラボで取り組むテーマがあれば、カルテからのデータ収集や、データのまとめなどを10人弱のメンバーで一斉に取り組むこともある。

私のような立場のラボメンバーは他におらず、カンファなどがなければ一日中PCのデータとにらめっこという状況になる。仕事は進むのだが、孤独に苛まされることがしばしばある。そんな時はラボの部屋を共有している心不全チームの専任看護師とランチを共にして一方的な英会話の練習に勤しんでいる。退役軍人や現役の軍人が多いため日本に駐在したことがある看護師が何人もいて、昔話に花を咲かせている。

 

4. 休日の過ごし方

先輩方の留学体験記からは、土日も関係なく稼働するラボが多いと思っていたが、そのようなことはない。土日はラボ自体が閉まっている。CCUの回診はあるので参加していたのだが、教授から「子供のために家にいろ」と言われて以来、完全に家族と過ごす時間に充てている。限られた留学生活の中で焦る気持ちもあるが、これも留学の大きなメリットと思い、5歳と3歳になる息子の成長を日々楽しんでいる。