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2020年01月19日

Seike's

Lithoplasty: Shockwave治療

みなさんこんにちは、CRFの清家です。
論文レビューの第二回、今回は冠動脈に対するShockwave治療に関して取り上げさせていただきます。

 

(1) Ali ZA, et al. Safety and Effectiveness of Coronary Intravascular Lithotripsy for Treatment of Severely Calcified Coronary Stenoses: The Disrupt CAD II Study. Circ Cardiovasc Interv. 2019;12:e008434.

 

Shockwave治療はLithotripsyと表され、特に血管に対してはLithoplastyと表記されます。Shockwaveによる治療は約30年の歴史があり、もともとは1980年代より腎・尿道結石の治療に用いられました。そして、末梢血管の治療にはすでに導入され、現在冠動脈治療に対して用いられ始めています。日本でも治験がはじまったところだと伺っています。
figure1
Shockwave Medical Lithoplasty system

 

このようなイメージ画像で表され、石灰化病変に経カテーテル的に挿入され、バルーンを低圧拡張し、shockwaveが発せられます。1秒に1回のパルスが出て、1クールは30秒30パルスとなります。これが最大6クール、最大180パルスを出すことが出来ます。
カテーテルの部屋では、ピッピッという音が聞こえ、有効なfractureが得られた時には、パルスのタイミングでポンっとバルーンが拡張するので、見ていてワクワクするような画像を見ることが出来ます。

カテーテル自体は6Frで使用することが可能であり、ワイヤーも一般的な0.014Guidewireで使用することが可能です。

今回は、BackgroundやDiscussion及び関連の論文にある冠動脈の石灰化の治療に対する一般的な事を最初にまとめて、MethodとResultを記載し私見を述べさせていただきたいと思います。

 

【冠動脈石灰化に対する一般的な内容】
冠動脈の石灰化はPCIの成功率を低下させ、合併症を多くする主要な要因です(2, 3)。その原因としてステントが通過しにくい事 (4)、ドラッグのコーティング及び薬剤にダメージを与える事(5, 6)、ステントのAppositionとExpansionが悪化すること(7)が原因と報告されています。
これらに高圧バルーン(NCバルーン)が用いられますが、十分な拡張力がなく、また非石灰化部位がある場合にはその部位に力が逃げるため、十分な拡張が得られないこともあります。Scoring balloonやCutting balloonが有効なことも経験されますが、4つのランダマイズ研究のMeta-analysisではその効果は証明されませんでした(8)。

 

ロータブレーターとOrbital Atherectomy(商品名:ダイアモンドバック)が重度の石灰化に用いられることが多いと思います。重度石灰化に対してこれらの治療が有効であることは疑いようはありませんが、ROTAXUS試験(9)とPREPARE-CALC試験(10)では共にデバイスの通過には有用であったと考えられたもの、Long term outcomeの改善は証明できず、Peri-procedural MIなどの合併症は増えると報告されました。

このような中で、石灰化の治療に対する新たなデバイスとしてshockwave治療が期待され、今回の試験がなされましたなされました。

 

【方法】
PCIが必要な冠動脈高度石灰化を有する120症例をを対象とした、血管内砕石術(IVL)の安全性と有効性の評価を目的とした9か国15施設の前向き多施設協同単群承認後臨床試験 (Disrupt CAD II trial)。
主要評価項目は、院内MACE(Major adverse cardiac event, Cardiac death, Myocardial infarction, Target vessel revascularization)。
OCT(Optical coherence tomography)によるsub-studyが施行され、IVL治療後の石灰化の評価が行われました。
【結果】
Picture1
120症例が登録され、重度石灰化が94.2%に認められ、IVLカテーテルは全症例で病変部まで通過可能でした。
この研究でのSuccessの定義は、アンギオで50%DSが得られかつ、perforation, slow flow, no reflow, or type D, E, or F dissectionがないものと定義されています。
また、石灰化の重症度判定ですが、冠動脈造影で冠動脈の両側に石灰化が見えるものとなっています。私の知る限り、石灰化の論文はこの定義を用いている事が多いですが、私たちがカテーテル室で重度の石灰化の病変と呼んでいるものより、論文で記載される石灰化の程度は軽度であることが多いと思われ、石灰化治療に対する論文を読む際に注意しなければならないと思います。
CRFで行われているQCAはかなり時間をかけて正確に行われています。その解析でResidual diameter stenosisが9.4%というのは素晴らしいと思います。
余談になりますがCRFでのQCAのコアラボ解析は本研究でおおよそ1病変1時間程度かかる(!)ようです(治療前と後)。今話題になっているIschemia研究などのようにすべての病変に対してQCAを行う研究だと、一日に一人2症例程度しか解析できないほど時間をかけ、正確で詳細な評価が行われています。
Picture2
MIが5.8%とやや多く感じますが、いわゆるPeri-procedural MIで、peak creatine kinase-MB >3× the upper limit of normalというものです。
ROTAXUS Trial 1.7% (9), PREPARE-CALC Trial 2% (10) となっており、やや高いのかもしれませんが、母数が小さく現時点では判断できないと思います。
Stent thrombosisは重度石灰化の症例の登録であり、許容範囲内でしょうか。

OCTでは、78.7%の病変に下記のようなcalcium fractureが平均3.4±2.6 個, measuring 5.5±5.0 mmの長さで観察されました。
figure2

 

【考察】
本研究はRandomized研究ではなく、他の治療との直接比較は出来ません。しかしながら、現在までの報告と著変なく安全かつ有効な石灰化に対する治療方法であると結論付けられています。

また、ロータブレーターなどと違いワイヤーバイアスの影響を受けないことが良いとされ、バルーン拡張と比較しても、一部非比石灰化部位があったとしても、石灰化部位に十分な力を与えることが可能、Atherectomyデバイスと違い側枝の保護も容易と述べられています。

 

【私見】

手技としては比較的容易にできる事、ロータブレーターなどでまれに経験される重篤な合併症は、手技の特徴として起こりにくいと思います。

また考察にも書かれていましたが、デリバリーさえできれば、ロータブレーターなどと違い特に特別な訓練は必要ないというのもメリットです。
近年薬物治療の進化もあり、さらに現在のステントは第一世代のDESと比較するとステントは薄く、ポリマーや薬剤の状態も改善し、治療後の冠動脈イベントが少なくなってきています。その中で、現在までのAtherectomyデバイスとは全く違った機序で、原理的に安全に治療を行うことが出来るデバイスですので、今後の発展に期待しています。

カテーテル室でみた感想になりますが、ローターとは違い、デバイスは通過しないほどの病変ではなく、ステントは中程度ほど拡張するが、もう少し拡張しておきたいような病変に有用であるのではと感じております。

 

(1) Ali ZA, et al. Circ Cardiovasc Interv. 2019;12:e008434.
(2) Généreux P, et al. J Am Coll Cardiol. 2014;63:1845–1854.
(3) Li J, et al. Interv Cardiol Clin. 2017;6:197–216.
(4) Mori S, et al. Circ J. 2009;73:1856–1863.
(5) Wiemer M, et al. Catheter Cardiovasc Interv. 2010;75:905–911.
(6) Tzafriri AR, et al. J Control Release. 2017;264:203–210.
(7) Kini AS, et al. Catheter Cardiovasc Interv. 2015;86:1024–1032.
(8) Bittl JA, et al. J Am Coll Cardiol. 2004;43:936–942.
(9) Abdel-Wahab M, et al. JACC Cardiovasc Interv. 2013;6:10–19.
(10) Abdel-Wahab M, et al. Circ Cardiovasc Interv. 2018;11:e007415.