留学先業績

①留学先のラボの今までの業績

常にラボといわれると困ってしまいますが、自分の勉強させていただいてる先の施設におけるデータはこちらになります。

Nudge Unit:https://nudgeunit.upenn.edu/portfolio

多分みても何が何かよくわからないと思うのですが、いくつかに分類されます。

  1. 疾患・病態別: 例えば糖尿病というような介入です
  2. 介入方法論: Active choice、Goal-setting, Active rewardといった方法論の話です
  3. 研究タイトル型: Behavioral Economics Framingham Incentive Trial (BE FIT)などは研究の名称です(このFraminghamはフラミンガム研究とのコラボということです)

まぁ色々な研究テーマが立ち上がっていて、非常に興味深いと思いました。
ただ、このNudge unitで実践している研究は比較的通常の臨床研究と違いはないなということは感じています。

CHIBE:https://chibe.upenn.edu/research/

こちらでは同様にそれぞれの分野に分類されています。それぞれのグループに分類されていますので、例えばEnd-of-lifeであればScott Halpernらが中心となってこの研究を推進しています。

CHIBEのKevin Volppで一番有名なのは、Financial incentive (金銭的なインセンティブ)を用いた禁煙の研究だと思います(https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMsa0806819)

このあたりから、Pennsylvania大学が行動経済学的介入のメッカとなってきたわけです。

(しつこいですが、ペンシルバニア大学がメッカです 笑)

このあたりの研究もEpidemiology&Health policyと近く、実際に医療における行動経済学としての確立した領域はないというのが実際のところかもしれません。
まぁ、確かに学問領域として確立してゆくこと自体は本質ではなく、
よりよい実践や政策立案のための手段として考えてゆくというのがリアルなところだということはどの世界においても同じだなということが感じられます。

 

面白いですが、研究の内容は挙げたらきりがありません。

基本は方法論から行くつかの視点を得てゆくのが正しい方策かとは考えております。

 

②同分野の現在のトレンド

この領域でのトレンドは大きく2つではないでしょうか? 基本は医療であること。もう一つは現場解決型。

行動経済学は医療を含めた政策の誘導型に用いられる文脈が多く、これまでも多く患者側へのアプローチが実践されてきていたように感じられます。
そこから、最近は医療に特化した介入をペンシルバニア大学や他の一部のところでも実践していたり、
より小さい規模の研究を早く回転させる方向に向かっているように思います。
あと、理論の実践を主眼に置いていることが多く、Principle approachという形でこれがこちらにこないとあまりニュアンスが理解できないところでした。

自分の予測としては、より今後は理論の証明(科学的見地)を含めた介入試験がもう少し多く実施されてくると思います。
特に、IoTと絡めた形で理論を実践するという流れがあり、行動経済学という特定の用語が適切かどうかは今後変わってくるかもしれないなと思っています。
理論に関しては、生半可な知識では多分到底戦えないと思うわけです。
経済学の理論派と同じような理論派が出現し、その時点で自分が実証実験側としての実行能力を持っておきたいと考えています。

現場解決の様子としては、一般的によく言われているのは、
介入が患者側であったということのみから医療者側への介入がより明確化してきているということかもしれません。
医療の質とここは相性がいいので、この形でしばらく進むことは間違いないでしょう。

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水野 篤 (Philadelphia, USA)