第6回 “世界に出てから見つめ直す日本の医療、どこへ向かっていくべきか”

①外の世界を見たからこそわかる日本の問題点もしくは誇るべき点 

 

これはおそらく多くのこれまでの先生方と同じような意見になってしまうかと思いますので少しだけ偏った意見を書いておきます。

日本の問題点としては、革新的な事が実行されにくい点。日本の良い点はそもそもの全体としての質が高い点だと思います。
後者から入ると、まずコロナウイルス感染症の対応が良い例で、基本日本は安全です。そして医療水準が高いと思います。(反論はあることは重々承知です)一方米国は治安も、医療もはっきり言って全くよくないと思います。日本人コミュニティとして中国・韓国などと比較してずっと永住する人が少なめなのもそれを反映している部分は一部あるかと思います。そもそも米国は平等の感覚が違うので、ばらつきがかなり大きいと思います。この背景があるので、研究などにおいてもいくつかの母集団、グループにおいて実装して、実験して改善してゆこうというモチベーションが高いと思います。むしろ実験しないと実装しにくいのではないでしょうか。逆に日本はベースラインの医療水準が高く、現場ではうまくやりくりしてしまっているので、介入試験での改善点が正直見えにくいところがあると思います。多分コロナウイルス対策も海外からみたら何やってるのかよくわからないかもしれないのですが、現場最適化が激しいです。これは米国なども実は最終的にPaymentも含めて現場最適化しているのですが、その過程はほとんど無視する傾向も強医と感じてます。あくまで仮説Driven。この違いは大きくて、今の感じだと今後も日本におけるイノベーションを導入するのはなんとなくいつの間にかキャズムを超えているって感じで進んでいくでしょう。どちらがよいとか、悪いとかはないような気がしますが、日本にどっぷりつかっているので、日本の医療は誇ってよいシステムだと思ってます。

 

②ディベート/プレゼンテーション能力についての比較 

これはどうでしょうか。別に英語プレゼンテーションが特別うまいとはまだお世辞にも言えないのですが、個人的感覚としては日本のプレゼンテーションは別に欧米にそん色するようなものではないと思ってます。こちらのプレゼンテーションスライドを例にあげれば、ほとんど味気ないスライドで、日本人のエンターテインメントにおける、こだわりの高さは誇ってよいかと思います。逆にそこにはこちらで力を入れている人は少ないような気がします。

 

ただ、ディベートに関しては大分違うと思います。まず日本人がプレゼンテーション中に寝ているのをよくみていると、海外にでてほとんどの人が寝ない、眠くならないというのは多分みんな感じてるのではないでしょうか?プレゼン途中での議論がより積極的に実施されること、そしてどんな偉いプロフェッサーでもWork in progressの発表の際にはメモってるというのが結構印象的です。科学に対する姿勢の違いかなと思います

 

③日本(人)はどう見られているか 

 

日本人はまぁ良い人と思われてますが、基本米国にいる人からみて全く興味ないかと思います。真面目にやるということは分かっていると思いますし、これはどこも一緒かなと。むしろやはりアジア人としての一つのアイデンティティはあってもよいかなとこちらで強く感じました。

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水野 篤 (Philadelphia, USA)