私の生きる道

そもそも循環器内科医をバックグラウンドとして、日本で通常小児科医が携わることが多い先天性心疾患のインターベンションを学んだ後、どこでどう生きるか、それは重大なテーマです。
UKの当施設では、先天性心疾患インターベンション医として、小児科医4人に対して成人循環器内科をバックグラウンドとする医師が2人、コンサルタントとして働いています。その医師達は小児病院をメインな職場としつつ、小児施設、成人施設それぞれで外来をもち、インターベンションは先天性心疾患に特化し小児病院のカテーテル室で行なっています。その他、成人施設に成人先天性心疾患(ACHD)を専門とする医師5名前後(主に循環器内科医がバックグラウンド)が外来、入院治療や画像診断を行なっています。当施設では年齢により明確に成人施設、小児施設と入院場所が決まっており、16歳以上に関してはACHD医が入院を担当し、ACHD治療(手術、カテーテル治療)に関してはACHD医、先天性心疾患インターベンション医、小児心臓外科医のチームで方針決定を行っています。
一方、こちらで出会ったフェローの中にはSHD (構造的心疾患)治療医として、子供から大人まで、虚血、不整脈のカテーテル以外は全てカバーする医師もいます。帰国後、日本においてどの立ち位置で、どこまで手を出し、どこに特化するかは、帰国後の病院側の要求との兼ね合いもありますので状況次第というのが実際です。
日本で所属の東京女子医大の留学前の状況では、小児科の先生方と非常に良い距離感で仕事ができていましたので、今後も協力関係を続けていきつつ、小児、成人という枠組みでは無く先天性心疾患治療医(インターベンション医)という大きな枠で治療を行っていきたいと思っています。
 
具体的には、以下を考えています。

  1. 成人先天性心疾患部門の発展、循環器内科医の参画促進
  2. 経カテーテル肺動脈弁置換術

 
成人先天性心疾患部門の発展、循環器内科医の参画促進
現在日本でもACHD医の必要性が叫ばれ、循環器内科をバックグラウンドとする医師が治療にあたり始めていますが、まだまだ垣根は高く、数は限られます。また知識や経験の面で小児科の先生方に及ばない面が多々あるかと思います。まず自施設からACHD診療への循環器内科医の参画を促し、最終的にUK施設の様に小児科医、循環器内科医に関わらずACDH治療医の枠組みを構築できればと思います。
 
経カテーテル肺動脈弁置換術
先天性心疾患治療のゴールは以前までの、小児期の手術を乗りきり成人に達するという目標から、成人期の生活をどれだけ充実させ、どこまで健常者に近い予後が得られるかという目標に変わっています。一方で構造的心疾患である、先天性心疾患分野において、薬物治療の限界も感じています。日本での診療で40代から50代という比較的若い患者さんを失う苦しみを味わい、また繰り返す再手術に怯える患者さんを目の当たりにしており、カテーテル治療にかかる期待を感じます。日本の先天性心疾患カテーテル治療を世界で行われているレベルまで引き上げるため、まずは経カテーテル肺動脈弁置換術の導入や発展に関わりたいと思っています。現在日本で治験が計画されており、その後の工程で関わることが出来ればと思っております。

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小暮 智仁(London, UK)