渡米後の9ヶ月を振り返って

留学してはやくも9ヶ月がたち、自分なりに現在の仕事や生活を客観的に見ることができるようになってきました。今回がレポートの最終回ということもあり、私が現在自分の留学生活に感じているよい点とそうでない点をまとめてみたいと思います。
よかったこと
1. 部下思いの上司と魅力あふれる同僚に恵まれたこと
留学生活が楽しいものになるかどうかは、やはり職場の人間関係に大きく左右されるのではないかと思います。私の場合、幸いにも上司の先生方が部下にたいへんな思いやりをもって接してくださるので、とても楽しく、また安心して仕事ができています。上司が自分のチームに愛情を持っているので、チーム内での結束力も強いですし、聡明で人間的にも魅力あふれる同僚に支えられ、居心地のよい雰囲気で毎日勉強できていることをとても幸せに感じています。言葉によるコミュニケーションが完璧でなくても、ほぼ100%、自分の気持ちを表現したり相手の愛情を感じたりすることができるということを、学ぶことができてよかったと思っています。
2. 興味のあることに没頭できる時間を持てたこと
これは、私が単身で留学しているから得られたものかもしれません。当初は、私も家族での留学を考えておりましたが、諸事情でそれを叶えることができませんでした。家族で外国で暮らす困難を乗り越える経験をしてこそ留学、のように感じていたところもあったので、単身留学には、孤独で寒々しいイメージがありました。ところが、いざ渡米してしまうと、単身留学ならではのよいことがたくさんありました。渡米時の生活のセットアップにはほとんど時間がかからず、以後も生活面での苦労はほとんどない、好きなだけ仕事に没頭できる、夜は遅くまで友達とお酒を楽しむことができる、などです。特に、仕事に没頭できるというメリットは大きいように思います。30歳を過ぎたよい大人が、何の社会的な生産活動(診療によって病院の経営に貢献する等)も行わずに、興味のあることに好きなだけ時間を費やすことが許されるということは、人生の中でも相当に限られた状況ではないかと思います。渡米前はさびしくて暗い部屋で膝を抱えて泣いている自分もちょっと想像していたのですが、こちらに来てみたら全くそんな状況ではありませんでした。もちろん家族の理解があってこそですが、長い人生のうち、少しだけ家族から離れる時間があってもいい…のかもしれません。
我慢していること
1. 家族に会えないこと
これは、よかったこと 2.の裏返しかもしれませんが、家族に何かあったときにすぐに駆けつけることのできない距離には、不安を感じます。が、最近はインターネットを介した無料通話サービスが発達しているので、普段暮らしている分には、思ったより不便を感じないかもしれません (と、私は夫に告白されてちょっとショックを受けました)。
2. 無給であること、(日本で働いている場合と比べて)薄給であること
これも、よかったこと 2.の代償かもしれませんが、留学が期間限定であることを考えれば、長い目でみるとそれほど大きな問題ではないのかもしれません。個人的な感覚としては、よい点2.のメリットが大きすぎて、このメリットをお金で買うことができるのなら安いものだと感じています。
留学は、行った先で学べることはもちろん、留学先の上司や同僚、施設、街の雰囲気、家族の帯同の有無などで、ひとりひとりの満足度が全く異なる、非常に個人的な体験だと思います。
SUNRISE lab.には、資金面だけでなく留学生のネットワークを通じた情報提供など、多岐にわたり支援をいただいております。
留学を志す先生方が、SUNRISE lab.を通して自分に合った留学先と巡り合う機会を得られますよう、心より祈っております。

a_fujino
a_fujino
藤野 明子(New York, USA)