最近注目の論文ということで、少し循環器と違うのですが多分関係してくる内容なので、こちらを紹介したいと思います。
こちらはいわゆるBad newsを伝える、またはアドバンスケアプラニングを実施するという、Serious illness conversations (SICs)の話題です
仮説としては、医療従事者にメールを送付することで、これらの実施率が上昇するということです。
対象はペンシルバニア大学関連の9つのがん関連のクリニックの患者。クラスターランダム化比較試験なので医師および看護師などを含めた78名をクリニック毎にナッジメッセージを送付したことでどう変わるか?ということになります。
結果としてはSICが全体として1%→5%と上昇し、より死亡予測確率が高いとされる患者では4%→15%と上昇したということです。
ちなみにSupplement fileにありますが、Stepped Wedge cluster RCTでこんな感じで介入しています
SWCRCTに関しては医学界新聞などでも取り上げられていたと思いますので是非そちらもご覧ください。
今回の介入はメールといっても、次の3つのポイントを含んでいます
が送付されることになります。
これまでのSUNRISEの記事を見る限りあまり長く記載しすぎない方がよさそうなので、このぐらいにしておきますが、結構面白いと思いますのでご興味ある方は是非どうぞご覧ください。ちなみにメールの文面はこんな感じです
なぜこれを紹介したかといいますと、大きく2点です
メールでのリマインドを含めた介入に関しては、少ないながらも明らかに効果があると思います。おそらく、臨床現場でのAlarm fatigueとの関連はずっと議論されていますが、おそらく今後このリマインド関連の機能はどんどん日本でも充実してくることと思います。
さらに予後予測ですが、この論文には事前の研究があります。今回の予後予測は機械学習を実装しており、内容はJAMA network Openに掲載されています。180日死亡予測をこのように毎週アップデートされる機械学習モデルで予測するというのは、ようやく予後予測モデルを少しは意識しはじめた(と信じたい)日本の臨床医の一歩先を行くものだと思います。
先日の日本循環器学会で鍵山先生もおっしゃってましたが、Mayoでは心電図のAI診断がカルテに実装されたと。今後この流れは加速することは間違いないと思います。わくわくしますね。