早期からの情報収集を

留学を開始するまでに多くの情報を多方面からいただきました。流れはそれぞれ違うとは思うので、偏ってしまうかもしれませんが、少し細かく書いてみたいと思います。
①   留学までの国内での書類の流れ
時期として大きく分けると下記の3つの段階でしょうか
1.      留学先を決めるまで
2.      海外留学助成金への応募など
3.      実際に入国の準備
1と2の段階については大学の留学経験の先輩方より、3の段階は特に留学中の先生方より、本当に一から十まで教えていただき大変恵まれていたと思います。
1. まず最初の段階はCVを作成し常にupdateしておくことでした。留学先へのapplyや助成金応募の際など必要となる場面があり、Sampleをいくつかいただき早めに作成しました。またその中で、特に2.の際に業績(論文)が重要になってくるため、学会発表するような内容は日頃から一つでも多く論文化しておく事の重要性を実感しました。
2. 海外留学助成金の獲得は留学資金の負担軽減にもなり、またイタリアでもビザや滞在許可取得の際、貯金以外の資金源の証明として役立ちました。具体的な応募情報としては、まずは先輩方に聞くところから始まり、さらにWeb上でも海外留学助成金で検索すると多くの財団のものが出てきました。また私の大学では、推薦枠を得るため学内選考があるものもあるため事務課で情報がまとまっており、それらの中から応募条件(年齢、分野、博士号の有無など)を満たすものをリストアップしていきました。ただ応募が早いものでは4月頃から順に始まっており、どの助成金にも留学先からの招聘状が必要なため、応募のチャンスを増やすには留学先をできるだけ早く決める必要がありました。私の場合は招聘状を受けたのが6月末だったので、すでにいくつかの応募は終わっていましたが、学内推薦を経て8月応募の助成金を得ることができました。
3. この段階での問題は主にビザでした。国によってその内容は全く違ってくると思いますが、欧州全体で大なり小なり年々ビザ取得は困難な方向に向いているようです。特に現在イタリアでは、臨床に関わる留学に対してのビザは、通常の流れでは取得困難で、少なくとも臨床留学のfellowという立場に正式に当てはまるビザの枠は無いようで、大使館がWeb上で公表している書類を集めたのみではまず受理されません。私の場合約半年前から情報を集め始め、イタリア留学中の先生方、留学先のColombo先生、国内でも多くの助けを得て何とか取得に至りました(それでも予定より1ヶ月以上取得は遅れました)。さらに状況は刻々と変化しているので、留学先の国のできる限り直近の情報を得ることが今後はより重要かと思います。
②   引越しについて
イタリアではビザ取得のためには住居証明が必要であり、事前に借りておく必要がありました。私の場合は、以前留学されていた先生が住んでいたマンスリータイプのアパートを日本から予約しました。家具や食器、ネット環境など一通り揃っており、生活のセットアップはほとんど不要でした。唯一の問題は家賃がかなり高いことです(月2440ユーロ→現在2200ユーロ:長期滞在のため徐々にディスカウント交渉)。すでにビザ、滞在許可証は取得済みなので、別物件を探すことは可能ではあるのですが、引越しに伴う各種手続きが面倒でもあり、踏み切れずに今もそこに住んでいます。日本からの引越しは、便で送るとそれなりに値段がすることと、イタリア国内のどこかで荷物が止まってしまうこともあるとのことで、スーツケース2個一杯にものを詰め込んで済ませました。
③   入国後の書類の流れ
イタリアでは、入国後8日以内に滞在許可証の申請が必要でした。非常に煩雑な書類や、警察署の中の無秩序な空間で、指定時間を超えて3時間待たされるなど色々ありましたが、郵便局への書類提出1回、警察署に申請1回、受け取り1回の合計2ヶ月半程度で無事に受け取ることができました。ビザさえ取得できていれば、滞在許可の申請は概ね問題ないことが多い様です。
④   生活のセットアップ
②で記載したように、生活用品のほとんど揃った状態のアパートに入ったこともあり、必要なものを適宜買い足す程度でそれほど困ることはありませんでした。日用品もほとんど近場で手に入ります。
日本で新たに準備していったものとしてはSIMフリーの携帯、国際キャッシュカードを兼ねたデビットカード、薬くらいでしょうか。
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写真1:中華街で買った炊飯器 約30ユーロ
ローマ米 2kg 約3ユーロ
イタリアで手に入らないものの一つが日本のような優れた炊飯器です。可能であれば海外対応可能な炊飯器を日本の空港で買ってくるようにと助言を受けていましたが、手荷物が多く断念しました。とにかく炊ければ良いと思い中華街で買った昭和初期感漂う炊飯器。炊飯の時に押すボタン一つだけ。悪くはないです。

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田中 哲人(Italy)