1. 日常業務スケジュール
朝6時前に起床し1日が始まります。
自宅から徒歩5分のColombus Hospitalの前で、朝6時半にColombo先生と待ち合わせをし、もう一人の日本人fellowである川本先生と一緒に、Colombo先生お抱えドライバーの運転で、San Raffaele Hospitalに向かいます。
到着するまでの約30分の間に、症例のスライドや、まとめたデータ、論文のDraftなどを見ていただくのが日課となっています。非常に多忙な先生なので、一番落ち着いてDiscussionができるのがこの車の中なので、大変貴重な時間です。そのため、毎日何か提示できるものを用意するようにしています。少し荒目の運転の車中で画面を見るのは、最初は酔いましたが、少しずつ慣れてきました。
そして7時からMorning meetingという名の抄読会が約1時間行われます。日頃からColombo先生が気になる論文を頻繁に一斉メールしてくださるので、多くはその中からFellowが交代で発表します。その内容を踏まえ、実際の現場でどうしていくかなどのDiscussionが行われます。
それが終わり8時を過ぎると、カフェの時間です。
(Colombo先生が不在の時は朝meetingが無く、ここから始まります。)
こんな感じで混雑しており、(店員さんを含め)みんなが思い思いに大声で会話をしています(典型的なイタリアでの光景でしょうか)。朝はカプチーノ、昼はエスプレッソが定番です。
1日3回くらいは来るでしょうか。
エスプレッソは0.8ユーロです。
8時半〜9時頃から実際の症例が開始になります。カテ室は3室で、その中でPCI、CAG、SHDインターベンションなどが並行して進行していきます。
複雑な治療並びにSHDは術者が一部スタッフに限定されていますが、その他は主にMaster fellow(主に欧州内から手技を主目的としたコースを選択したfellow;要授業料)、後期研修医のようなイタリア人fellowが指導を受けながら行っています。(写真:Colombo先生は今でも誰よりも手技をこなされています。)
我々日本人fellowは実際の術者にはならず、カテ室ではIVUS, OCTなどのImagingが仕事となっています。
欧州ではImagingの使用率は一般的に低いと思いますが、San Raffaele Hospitalでは、術者にもよりますが、特にBioresorbable Scaffold (BRS) 症例、LMT症例などでは積極的にImagingが使用されています。
症例の合間などに、Studyに関するデータ収集、解析、症例を含めたスライド作り、論文作成などを行います。カテ室での業務と、そういった研究業務は大体3:7くらいでしょうか。作業の部屋は、カテ室がある地下フロアの窓も無い狭い部屋です。上の階(地上)にあるきれいな不整脈部門のフロアを見ると、少し羨ましくなります。
写真左: 不整脈フロア(床がきれい、部屋も広い)
写真中:そこから古い階段を降りると
写真右:Interventional Cardiology Unit
(写真) 作業をしている部屋:
最近大きなロッカーが搬入され空間はさらに侵食されています。なんとか写真の端の一部の自分の空間をキープしています。
症例は大体18時頃までには終わることが多いですが、20時頃まで部屋で作業をしてから帰ります。帰りはColombo先生とは別々で、地下鉄を乗り継いで帰りますが、約50分程度要します。
Private病院であるColumbus Hospitalで症例がある際(週に1,2回)は、そちらに行きます。こちらは基本的にはすべてColombo先生が術者で、CAG、PCI、時にStructureの治療が行われます。そこでもSanRaffaele Hospitalと大体同じような流れですが、こちらではより高率にImagingが使用されます。
(写真:左)
同じように症例の合間に作業をする部屋
こちらもスペースは狭目です。
(写真:右)
カテ室の廊下に1990年代の論文などが飾ってあります。
2. 業務・研究内容
まず、カテ室での症例に関わる仕事ですが、Imaging業務以外に、適当な症例があるとすぐにスライドにします。それも車の中でColombo先生に見てもらい検討しますが、その中からCase reportにしようとなったり、またColombo先生の発表スライドとして使用いただいたりしています。
Studyの面では、一番主としてはBRSの臨床データについての管理、ならびに解析、Outputになります。元のPCIデータが不十分な部分も多いので、このデータ収集などにはかなりの時間を要しています。当施設の特徴としては、他の施設よりもBRS初期から複雑病変にComplexな治療を行ってきたという背景があり、そこがOutputの際の強みではあると思います。
また様々なテーマ(インターベンション領域)での多施設研究への参加も多く、時に担当させてもらうことができます。他施設の先生方ともやりとりをしながら、データ管理、解析、論文化、Sub-studyなどが進められていきます。私はまだ半年で数少ないので、これからもっとチャンスがもらえるように頑張り中です。
いずれのテーマにおいても、ある程度データをまとめたらその都度スライドを作成し、Colombo先生とも相談しながら、論文にするかなどを決めていきます。
当施設の特徴としては、論文のAuthorshipなどを含め、頑張った分だけチャンスがもらえることでしょうか。そのために自分のアイデアも積極的に提示していけば、その分だけ広がっていくことになります。
ということを書きながら、まだまだ不十分な自分に発破をかけています。。