臨床と研究の両立

①   施設規模(症例数や特徴など)
San Raffaele Hospitalは、ミラノのやや郊外にある私立の大学病院(1350床)になります。所属先のInterventional Cardiology Unitだけでなく、不整脈部門や、循環器以外でも多くの科で著名な施設のようです。
P_20150828_180410OSR病院側
写真:San Raffaele Hospital (左:大学側、右:病院側)
イタリア新聞社いい病院ランキング のコピー
写真:イタリア新聞社の国内いい病院ランキングで一位に入っていました(基準は良くわかりませんが)。
Interventional Cardiology Unitでは、PCI、SHD interventionともに多く施行されています。PCIは年間約2000例、TAVIが年間約200例、MitraClipが年約100例、またASD閉鎖、LAA閉鎖、人工弁周囲逆流閉鎖、その他も多岐にわたり積極的に行われています。
欧州全体に言える事かとは思いますが(おそらくその中でも)新しいデバイスや技術に対しての敷居は低く、新しいものがかなり早期に入って来る事と、それに対する技術的な工夫も積極的に行われています。
Antonio Colombo先生がOperatorとして、毎月のように世界各国へのLiveが当施設から発信されています。また同時に多くのstudyも行われ、様々な施設(欧州、北米、南米)と絡んだ多施設研究なども多く進行しています。
Columbus hospital
写真3:Colombus Hospital
Colombo先生のPrivate Hospitalで、こちらでも週に1,2回症例があります。設備、熟練したスタッフも揃っており、PCIや時にSHDインターベンションも行われています。
 
②   ボスや同僚の紹介
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・Antonio Colombo先生
世界的な先生で、DAPT、IVUS下PCI、後拡張、その他Crush、TAP stentingなどの分岐部テクニックも開発された事で有名です。上の20年前の論文(写真右)は、PCIの歴史が語られる中で良く出てくるものの一つと言えるかと思いますが、Columbus Hospitalのカテ室にも飾られています。また最近ではBioresorbable Scaffoldを最も早くから複雑病変に積極的に使って来られた先生かと思います。
60代にして信じられない程アクティブで、今でも第一線でカテをされ、PCIだけで無く、SHDへの治療を含め新しい事も何でもされています。同時に数多くのstudyに携わり、Colombo先生のPublicationは優に4ケタに達します。月に3分の1程度は海外へ行かれており、定期的なアメリカでの仕事や、世界中の学会や会議にも飛び回られています。今年の博多でのCVITにも行かれていましたが、日本には半日滞在でサンフランシスコに行き、さらに1日でミラノに帰ってこられました。4日で世界一周されたわけですが、移動中も仕事をしつつ、帰国直後も全く疲れた様子もなく平然とカテをされていました。夜も休日も、今年取られた夏の休暇の最中でも、仕事関連のメールをやり取りされ(返信も速く)、いつ休まれているのかよくわかりません。
Colombo先生の前では、忙しい、とは口が裂けても言えません。。
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また、ワイナリーを所有されており、Colomboとラベルされたワインが(写真)あります。今年の11月にそこでResearch Meetingと称した会があり、楽しみにしています。
その他Colombo先生の下に下記の4人の中心となる先生がいます。
・Azeem Latib: PCI, SHDの術者の中心の一人で、またstudyについても色々関わる事が多い先生です。
・Alaide Chieffo:女性のInterventionistで、多施設共同研究などを積極的に行っている先生です。
・Matteo Montorfano:PCI、SHDの術者として何でもこなす現場で中心の先生です。
・Mauro Carlino:当施設でCTOを最も多く行っている先生です。
その下に通常のスタッフ、ならびにイタリア人fellow、さらに毎年主に欧州内から来るMaster fellowがいます(今年はイギリス、ポルトガル、エルサルバトルから)。Imperial Collegeから来ているイギリスからのfellowとは、一緒に飲みに行ったり、また論文の面などでも特にお世話になっています。
さらに短期で滞在される先生も多くの国から来ています。(現在イスラエル、トルコからの先生が3ヶ月程度滞在しています。)
色々な国の人と交流できる事は、非常にいい経験になっています。
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田中 哲人(Italy)