今取り組んでいる研究とその思い

皆様、こんにちはCRFの清家です。
米国の年末は本当に楽しい時期で、パーティーも数多く催されます。写真はクリスマスパーティーのもので、総勢40名ほどが集まって楽しみました。
図1
実はこのあと、家族全員嘔吐下痢になり、苦しみましたが過ぎてしまうといい思い出です。
①自身の論文になりそうなネタを公開できる範囲でまとめてください。
SUNRISE YIA 2019での宣言通り、Intracoronary Imaging-derived FFRと予後に関する研究を行っています。実際にCRF留学前より前原先生が構想を組んでくださっており、来てからすぐに研究を開始しております。そして、幸い当初期待していた結果が出てきております。
詳細に関しては、投稿前であり詳細には記載できませんが、なるべくはやく投稿したいと思っております。
ACC2020にSubmitする段階でAbstractを皆に送り、この分野をリードする先生方(Gregg Stone, Bernard de Bruyne, Ziad Ali, Akiko Maehara先生方!!!)とDiscussionをしました。Lesion levelのPhysiologyの捉え方など、今までにない評価方法になり解釈が難しい分野で、活発な議論が行われました。CRFに留学したことで日本のみでなく世界で認知させていく事ができるのではと実感してきております。
②今後の注目しているトピック。
これからも、Intracoronary Imaging-derived FFRに関しての研究を行っていく予定です。CRFでは、現在も前向き大規模臨床試験の解析が行われており、予後との比較をすることで有用性を発信したいと思っています。特に、NIRSのデータなどとの組み合わせに個人的には期待しております。
そして、In-stentの評価に関しては、新たな式の設計が必要なのですが、その式が完成しましたので、post-stent implantationにおけるIntracoronary-imaging derived FFRの有用性も今後報告していきたいと思います。
投稿前の内容であり、やや今回は記事が短くなってしまいました。そのため今回は、現在私の考えている構想を記載させていただきたいと思います。
ISCHEMIA試験(1-2)が先日AHAで報告され、PCIに関してはさらに厳しい状況になってきていると思います。その一方で、FAME試験(3-5)ではPCIの優位性が証明されています。Primary Endpointを何にするのか、peri-procedural MIとSpontaneous MIの取り扱い、open label試験での緊急血行再建術の意義など、それぞれ議論の余地があり、その解釈に関しては結果の詳細を見極めなければならないと思います。また、state-of-the-art PCIもなされていません。
私自身は重篤な狭窄・虚血がある患者さんは、血行再建をした方が良いと考えており、FFRは値がシンプルであり有用であったと考えています。また、FAME2試験での平均のFFR値は0.68であり、確実に重篤な虚血の症例に対してランダマイズされているということもポイントだと思います。従って、さらに今後はいかにPCIをする症例を見極めるかということが重要であると思います。
厳しい情勢ではありますが、この中でIntracoronary imaging derived FFRが果たすことの出来る役割があると思い、日々の研究を行っています。また、Imaging derived FFRはプラークの質と組み合わせることが出来るので、この可能性の広がりに日々期待で心が弾んでいます。
SUNRISE YIA2019でプレゼンをさせていただきましてちょうど一年が経過しました。また、アメリカに来て半年になります。初めの研究に関しては、当初思っていたより時間がかかってしまいましたが、現在最終の統計結果待ちの段階で論文を完成させるのを楽しみにしております。家族の生活に関しては、周りの方々に協力いただき、順調に適応できました。これから留学される先生は、周りの状況に左右されると思いますが、出国前が一番大変です。来てしまえば、出国前より手続きは少ないと思いますので、安心して下さい。
サンライズの記事も残り2回になってしまいました。記事の内容がだんだん難しくなっていく気がしますが、毎月記事を書かせていただくことが終わると考えると寂しくもあります。残る期間はわずかとなってしましましたが、引き続きよろしくお願いします。
(1) Hochman JS, et al. Baseline Characteristics and Risk Profiles of Participants in the ISCHEMIA Randomized Clinical Trial. JAMA Cardiol. 2019;4:273-286.
(2) https://www.acc.org/latest-in-cardiology/clinical-trials/2019/11/15/17/27/ischemia
(3) De Bruyne B, et al. Fractional flow reserve-guided PCI versus medical therapy in stable coronary disease. N Engl J Med. 2012;367:991-1001.
(4) De Bruyne B, et al. Fractional flow reserve-guided PCI for stable coronary artery disease. N Engl J Med. 2014;371:1208-17.
(5) Xaplanteris P, et al. Five-Year Outcomes with PCI Guided by Fractional Flow Reserve. N Engl J Med. 2018;379:250-259.

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清家 史靖(New York, USA)