最近注目の論文: SHDにおける右心機能評価とその有用性

今回は自分の携わっている分野での論文を紹介するということで、次の論文を紹介させていただきます。
Asami M, et al. Prognostic Value of Right Ventricular Dysfunction on Clinical Outcomes After Transcatheter Aortic Valve Replacement. JACC Cardiovasc Imaging. 2019;12:577-587.
SUNRISE lab. YIAの第一回に参加されていた阿佐美匡彦先生の論文です。SUNRISEの先輩(勝手にそう呼ばせていただきます)がこのような素晴らしい結果を出され、ご活躍されていることは大変励みになります。
今回ご紹介する論文はTAVRにおけるRV functionの予後に対する有用性を報告しております。
前向きにSwiss TAVI Registryに登録された1,116例のTVAR患者について後ろ向きの解析を行い右心機能(FAC: Fractional area change, TAPSE, RV free wall strain)と1年予後の関連を報告した論文です。施設は現在奥野先生が留学されているBern University Hospitalです。次の図が研究の概要です。
Figure 2
TAVI前後のエコーで右心機能を評価、右心機能障害(RVD: right ventricular dysfunction)の有無で分類し、その予後を比較、解析しています。RVDの有無はそれらのパラメーターの半数以上がcut off以下であった場合、RVD+と定義しています。
Primary endpointは1年以内の心臓死、secondary endpointは全死亡、心血管事故(MACCE: major adverse cardiac and cerebrovascular events)、後遺症を伴う脳梗塞(disabling stroke)、周術期心筋梗塞となっています。
詳細な患者背景などは割愛しますが、RVD+群ではTAVR後のイベント発生が多く(Table 4, Figure 3)、多変量解析を行うとRVD+が最も強いcardiovascular deathの予測因子であったという結果でした。(Table 5)
Table 4Figure 3Table 5
これらの結果から、TAVR前の右心機能評価はその後のrisk層別化に重要である可能性が示唆された、というのがこの論文の結論となっています。
これまでにも右心機能とASの予後を報告した論文は多くありますが、本論文ではTAVR後の患者についても影響することを示唆しています。SHD領域でも右心機能の関与は注目されており、今後も様々な論文が出てくると思います。
一方で右心系の評価(本論文ではFAC, TAPSE, RV free wall strainを用いています)に関してはエコー評価が困難なことも多く、今回の論文でも多くの患者が除外されています。
 
さて、現在私はTAVR患者のMDCTとエコー画像を利用し右心機能の評価を行っております。これらの論文の根本となる右心機能評価は何を用いるのが適当か?というのが現在の私の研究のテーマです。Gold standardは現在のところMRIなどの3Dイメージングモダリティとなっているのですが、果たして有意なTRがあるときもRVEFをgold standardとして用いて良いのでしょうか?
今回ご紹介した論文と比べて、私の研究は右心機能イメージングの使用法により重きをおいていますが、この辺りの疑問に答えるような研究結果をみなさまにお伝えすることが現在の私の目標です。