「くじけそう」でも「くじけない」

ヨーロッパはだんだんと寒くなり、日が短くなってきました。今回のテーマは留学において必ず感じる文化の壁についてです。写真は最近行ったデルフトの新教会。小さいですが綺麗な街でした。
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1. 日本との違い、文化のハードル
留学してすでに半年以上が経過していますが、全体的にみて文化の壁によってものすごく困ったエピソードはありません。以前のレポートでも書いた通り、オランダ人は(他の国と比較して内向的であり、堅物であまりすぐに打ち解けない気質だそうです。とはいうものの、日本人と比較すると知らない人に対してものすごくフレンドリーですし、過度にパーティーに誘われたりすることもないので気を使うこともあまりないです。むしろ現地に住んでいる日本人の方と家族ぐるみでお付き合いさせていただいています。
これだけだとハードルがないようで面白くないのですが、すごく小さなことを言えば、配達物がちゃんと受け取れないことが多いことぐらいでしょうか。←これはオランダに来て最も慣れないことです。配達員のやる気がなさすぎる。同僚から聞いた話では配達物が破損していることも多いようです。日本人の凄いところは仕事にプライドを持っているところだと思います。
留学当初は銀行口座が作れないとか、滞在ビザ取得のための市役所の予約がうまく取れていなかったとかトラブルも結構ありました。一度生活が軌道に乗ってしまえばすごく過ごしやすいところですが、それまでが大変でした。
また、オランダ人同士はオランダ語で話すので、その中に放り込まれるとどうしても何も話せなくなってしまいます。オランダ人フェロー達も結構気を使って英語で話してくれますが、やはり飲み会などでオランダ人が多いテーブルになってしまうと疎外感を感じます。かといって世界でオランダ人(と一部のベルギー人)しか喋らないオランダ語を学ぼう!という気になったことは少なくともまだありません。
でもやっと半年以上経ってだんだん周りの人々の人間関係などに溶け込んできたような気がします。
余談ですが、先日フィラデルフィアで開催されたAHAに参加してきました。LUMCの同僚とご飯を食べに行く機会が多かったので、少しハードルも下がったかなと勝手に感じました。やはり海外でも一緒にご飯を食べるのは大事ですね!
図2図4
2. 上司からの評価ポイント
直接聞いたわけではありませんが、結局評価されるポイントは日本と一緒で、真面目に研究をしていて着実に与えられたことをこなすことができれば一定の評価は得られると思います。日本人の得意分野です。私も留学当初無我夢中で画像の解析をしていたら周りに比べ解析が早かったらしく、それ以来他の同僚の解析の手伝いなどの仕事が回してもらえるようになり、最初に頑張っておいてよかったと思いました。
ただ、自分自身の意見をきちんと表すことも大事です。言語は一つのハードルですが、幸い自分の周りはInternational fellowが多くおり、ボスもスペイン人だし、オランダ人も英語は母国語ではないのでおそらくUSよりは英語のペースは遅く、聞き取りやすく話しやすい環境だと思っています。
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誰かが撮ったうちのボス二人@AHA。なぜか全身でしっかりポーズをとっているところが個人的にツボだったので載せてしまいました。
3. 給料について
現在はLUMCからは無給です。留学のために得た奨学金とSUNRISE lab.からのレポート代(まだもらってませんが)によって生活している毎日です。もともとそのつもりだったのでキツイながらも受け入れていたのですが、なんと…2年目は給料を出してもらえるとのこと!!! 凄く助かります。
どうやって交渉したかというと…という話にしたいのですが、実は特に交渉したわけではありません。留学2年目にお金を得る方法ないかなーと思ってボスに「何かグラント申し込める研究のネタはありませんか」って聞いてみたら、「なんで来年もグラント申し込むの?」とキョトンとされました。よくよく聞いてみると、もともとLUMCに来ているInternational fellowは2年目からは少ないながらも給料をもらえることになっているそうです。今後留学する方々に対してのアドバイスにはならなくて申し訳ありません。でも、意外に給与を出してくれる海外の施設ってあるのかな、と感じました。
4. くじけそうなシチュエーション
幸い、ボスからキツイことを言われたことはまだありません。今後もないといいなあと思っています。ただ、カンファレンスなどで“Do you know what I mean?”と言われるとわかっていないと思われているのかなあと少し悲しく、そして悔しい気持ちになります。本当にわかっていない時もありますが…
様々な国からのfellowがいますし、入れ替わりも激しいので、同僚の英語を聞き取るのも一苦労です。ロシア人とグルジア人は帰国し、新たにイスラエル人とオーストラリア人とイタリア人が来ました。大変国際色豊かです。結構なまりに慣れるまで聞き取れないなんてことも多いです。もちろん自分もあまり話せていないと思うので文句言っている場合ではないです。やはり英語力の面では一般的に日本人は劣っていると思いますし、自分もそうです。ただ、めげずに話しているとしっかり聞いて意図を汲み取ってくれるので、「くじけそう」でも「くじけない」ことが一番大切だと思います。
5. 今の施設に残ることは可能か?
実際に考えたことはありませんし上司に尋ねたこともないですが、最大4年くらいまでならいることはできるのかなと思います。研究環境に不満は全くないですし、住む環境としても悪くないと思います。ただ私は家族とともに渡蘭しているので、給料が出るとしても金銭面の問題で難しいかなと考えています。また、長期にオランダで医者として働くということは、かなり難しいと考えていいと思います。不可能ではないかもしれませんがEUの医師免許がないため、医師として診療することはできません。オランダ語も喋れないし。そして万が一オランダの医師免許が取れたとしても、Cardiologistとして働くには最初からトレーニングをすることが必要になります。
もちろん、留学先としては私にとって素晴らしい環境であることは間違いありませんので、様々なことに挑戦し成果を得るために日々頑張っていこうと思います。
[番外編]
9月より息子が現地のインターナショナルスクールに通い始めました。最初の10日ほどはずっと泣いていたそうで、本人はもちろん大変だっただろうし我々両親も心配しきりでしたが、徐々に友達もでき、慣れてきたようです。子供の方が異文化のハードルを超えるのは早そうです。
送り迎えのバス代が月2万ほどかかっていることに気づき、節約のため自転車につけるシート(Fietscarと言います: 写真)を60€で譲ってもらい、朝往復10 km, 1時間かけて学校に送っています。日本では全く見たことないですが、乗り心地は快適なようで息子はたまに中で寝ております。小径の折り畳み自転車に装着したためペダルが重い…朝から大変良い運動になります。
図6
これに乗りながら子供を学校に送り届けるとなんだかオランダ生活に馴染んできた気がしてくるから不思議です。帰る頃にはこれが恋しくなるんでしょうか。

k_hirasawa
k_hirasawa
平澤 憲祐(Leiden, Netherlands)