第4回はオランダの文化について紹介いたします。
オランダはヨーロッパの中では観光名所は少なく、酪農大国として知られています。要するに、ヨーロッパ内では田舎っぽい国です。私の住むライデンはその中でも小さい田舎町です。
1. 生活環境
オランダ全体に関してはわかりませんが、少なくとも私の住むライデンという街はとても住みやすい街だと思います。ライデン大学を中心とした都市ですので、学生や比較的若い家族などが多く住んでいて、治安も良く女性の一人歩きも深夜でなければ全く問題ありません。
オランダ人は95%程度の人が英語を話せるので、日常会話には特に不自由はありません。ただ標識や案内などはオランダ語なので困るときもありますが、誰かに聞けば教えてくれるのでどうにかなっています。
私は家族3人での生活ですが、家賃は東京よりもやや安いくらいです。自宅はライデンの中心部から少し外れた新し目のマンションタイプです。中心部の邸宅は古い木造や煉瓦造りの家が多く道路も石畳です。オランダではマンションより古い戸建の家が好まれるらしく、家賃もそちらの方が高かったりします。
多くの家には冷房はなく、暖房はセントラルヒーティング方式が一般的です。光熱費は高めで、基本料だけで年間2,000€ (25万円)くらい払っています。最終的に使った分を再請求されるようで、今から請求額が怖くてたまりません。
街中はオランダの特徴である運河が張り巡らされており、地元の人々や観光ボートなどが行き交っています。
さて、オランダで外せない生活の話といえば、自転車です。オランダは知る人ぞ知る自転車大国であり、人口より自転車の数が多いとか。自転車所有台数1.1台/人ですって。シチュエーション別に乗り分けたりするのか??
オランダ人の自転車好きにはかなりディープな歴史があるようです。BBCで特集記事がありましたので、興味があればどうぞ。
https://www.bbc.com/news/magazine-23587916
大きな道路では必ず自転車専用レーンが用意されており、大人も子供も老人も自転車乗っています。ただすげー速い。よく小学生に追い抜かされます。駅には必ず自転車駐輪場があり、大量の自転車が停まっています。写真はLUMCの駐輪場。ごちゃごちゃ。
自転車を持ったまま電車に乗ることもでき、やる気があれば自転車+電車でオランダ全土をくまなく観光することも可能です。
そんなオランダですが、オランダ人の乗っている自転車は大体ボロボロです。自転車は長く乗る文化があるようで、何度も修理し愛着を持って乗るんだそうです。ただ、盗難は多いらしくごっついチェーンタイプの鍵(写真)をしている自転車が多いです。
2. 食習慣
オランダ人は一般的にあまり食事に興味がないと言われています。外食は比較的お値段高めで、美味しいレストランなどは他の国に比べると少ないようです。
オランダ特有の美味しいものといえば、ハーリングと呼ばれるニシンの塩漬け、フライドポテト、ビール、薄焼きのパンケーキかなと思います。
ハーリングに関しては過去の投稿を見てみたら2014-2015シーズンで末永先生が紹介していたので割愛します。
ポテトはオランダ人の主食として愛されています。街中ではフライドポテト屋台や専門店が多く、独特のマヨネーズ的なソースで食べています。所詮フライドポテトはフライドポテトですが、ビールとの相性は抜群であり、食べ歩きに最高です。
そのビールですが、Heinekenを始め様々なビールが楽しめます。お店では3-5€ぐらいと日本と大差ありませんが、スーパーで買うと1本0.5-1€程度と激安です。夏場はビアフェスティバルなどもよく催されています。
薄焼きのパンケーキも名物です。クレープのような薄い生地にベーコンや卵、もしくはリンゴ、バナナとクリームなどをトッピングしたパンケーキです。大きめなので一枚食べたらお腹いっぱいですが、なかなか美味しいです。
全体的に事前に調べたよりもご飯は美味しいです。レストランや凝った料理は確かに多くはありませんが、味にそれほど不満はありません。むしろ新鮮な素材の味が生きていて、うまい。特に乳製品は全て美味しいし、安い。他の国からの留学生の同僚に言わせると、オランダ料理以外はそれなりに美味しいとのこと。寿司は美味しくないけどね。この辺は個人差もありそうです。
3. 家族の生活あれこれ
4月に単身渡航し、7月に家族もこちらに到着し生活しています。住んでいるところの近くに大きなスーパーがあり、食材はそちらでほぼ揃います。また、オランダは硬水ではあるものの日本と同様に水道水がそのまま料理、飲用に使用できるため、普段の食事には困りません。
休みの日には公園に行ったり、市内を観光したりして過ごしています。街中には小さな公園がたくさんあり、見つけるたびに息子の遊びに付き合う羽目になります。
(近所の公園)
夏場は気候が良いので現地の人々も庭でバーベキューをしたりプールに行ったりなどしているようです。我々も知人の家でBBQしたり、現地で知り合った方々の誕生日パーティーに参加したりしています。
最近悩まされたことは、窓に網戸が付いていないこと。暑い日などは小バエが家の中に入ってきてしまい悪戦苦闘し、ホームセンターで網を買い自作で取り付けました。やたら生活感のある話ですみません。
子供についてですが、オランダは4歳(正確には5歳になる月)から小学校に入学が義務付けられています。現地校の場合は無料ですが、インターナショナルスクールだとお金がかかります。うちの息子も9月からインターナショナルスクールに通う予定です。このレポートを書いている時点ではまだ入学していませんが、子供がちゃんと学校に溶け込めるかは心配の種の一つです。
4. おすすめ観光スポット
ライデンに限って言えば観光スポットは風車といくつかの博物館くらいでしょうか。風車は住んでいると観光スポットというより風景の一部になってしまいますが、近くで見るとなかなかの迫力です。
写真の風車は内部が博物館となっており、風車とオランダ人の生活の関係などについて知ることができます。
また、天気の良い日は運河をボートでツーリングするのも面白いと思います。アムステルダムにも同じような周遊ボートがありますので、オランダ各都市でボートに乗るのも楽しいかもしれません。
5. おみやげ
オランダで有名なものといえば、風車とチューリップですがお土産には適していません(チューリップは球根であればお土産にできるらしい)。
お土産の定番一番手は、ストロープワッフルというお菓子です。甘いカラメルソースを挟んだクリスピーワッフルです。オランダのスーパーではどこでも売っています。
(山積みのストロープワッフル)
チーズも種類が豊富です。ゴーダ、エダムなどのハードタイプのチーズがオランダでは有名です。
食べ物以外ではデルフト名産の陶器(デルフト・ブルー)とミッフィーグッズがオススメです。デルフト陶器は白地に青の模様が美しい陶器です。私自身はまだ行ったことはありませんが、陶器作成の体験教室などもあるみたいです。ミッフィーはオランダ生まれで、お土産として空港などでも様々なグッズが売られています。オランダ語ではNijntje (ナインチェ)と言うようです。作者であるDick Brunaさんの出身地であるユトレヒトにはミッフィーミュージアムがあります。世界に一つだけのミッフィー型歩行者用信号もユトレヒトで見ることができます。
6. 人々の価値観
オランダの人々の価値観はかなり日本人と異なっていると感じる時があります。
まず、基本的に個人主義です。日本だとスタッフの夏休みは調整することが多いと思いますが、オランダはそんなことしません。みんな一度に夏休みになっちゃってもそれは労働者の権利ですから!といった感じ。どうやって穴埋めしているのか不明です。病院外でも色々と異文化を感じることがあります。例えば、大麻、カジノ、売春、同性婚、安楽死が合法です。この辺は全部自己責任ってことで!
なかなか日本人には馴染みがない部分であり、あやしい国という印象を持たれがちですが大都市の一部を除けば治安は良いです。
あと、子供にとても優しいです。家族で歩いていると大体子供に笑顔で話しかけてくれます。ユニセフのランキングでは世界で最も子供が幸せな国と言われているそうです。その理由として、子供の自主性を重んじた教育がされていることがあります。日本と比較し親や学校からの干渉が少なく、自由に育てることが重視されているようです。
私自身は多くの時間を病院で過ごすためあまり実感していないのですが、オランダの国民性としては自己主張が強く頑固、合理的、堅実なんだそうです。確かに住んでいる人も国も料理もお店もあまり飾りっ気がないです。悪い意味ではないですが。
生活しているうちにもっと色々な良い点、悪い点が見えてくるかもしれません。またアップデートされたものがあれば機会を見てレポートしたいと思います。