病理、動物実験、研究、そして新規デバイス

先日のESCではたまたま道端で2回も遭遇した重城先生を初め、色々な方とお話する事ができました、ありがとうございました。
10月後半はDCでTCTが開催される予定です。4月に来たばかりでDCは詳しくはありませんが、ホーム開催という事で何か分からないこと、やりたい事があればご連絡下さい。
ポケモンGOをやられている方には北米限定ポケモン、ケンタロスの出現場所もご案内できますよ。
 
さて、私の留学している施設、CVPathを紹介させていただきます。
場所はDCと紹介していますが、CVPathはDCの北、Maryland州のGaithersburgという所にある小さなラボです。Maryland州の研究施設といえば、NIHが有名ですが、そこから北に車で30分程走った田舎にあるラボです。
(Figure 1: NIST, National Institute of Standards and Technologyという施設の近くです)

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2012年のTCTに参加する際に、transitついでに寄った時もその知名度と施設の小ささのギャップに非常に驚いたのを覚えています。
(Figure 2: 医療系の会社が混在する雑居ビルです)

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大学等の研究施設と違い、CVPathは私立の小さなラボです。
ボスはDr. Virmani、世界的に有名な心臓系病理学者です。職員は約50名程度。
やっている事は主に3つです。
 
1つ目は、企業から委託される新しいデバイスを含む動物もしくはvivo/vitroでの実験、そしてその評価を行うことにより資金を得る事。
stent、valve、renal denervationなど、超有名デバイスから、その他陽の目を浴びることがなさそうなデバイスまで色々な実験が同時に走っており、1つのprojectでウン千万円近くのお金が動く事もザラです。
新規デバイスがどうやって評価されていくのか、間近で見ることができるのは最高の環境です。
 
2つ目は、OCMEという州内で発生した異状死体が日々集まる施設から、突然死の原因として心臓の関与が否定できない症例、またはstent留置後やバイパス術後、心疾患の既往がある症例等を選りすぐって、CVPathに送るシステムが確立しており、その心臓の病理学的評価を行いレポートを書いています。
特にOCMEがあるBaltimoreは、全米犯罪ランキング7位にランクインする程治安が良くない事で有名、Baltimoreから車で40分程の当施設では幸か不幸か症例が非常に豊富です。
 
3つ目は、そうやって集めた資金を使用してのリサーチです。
中澤先生のneoatherosclerosis、TCFAの定義(65 μm)等、超有名でかつ日常臨床を変えうる論文を日々世に出している所です。
最近はTAVRも含めてvalveに関連する実験、研究も増えており、新しいことを発表する日も遠くないかもしれません。
 
大ボスであるVirmaniは70歳を超えているにも関わらず、非常にパワフルです。
(Figure 3 右)

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信じられないくらい細かいことも良く覚えています。
怒ると怖いですが、基本的には教育熱心で優しいボスです。
他の研究室のボスと同様に、世界各国で講演を行う為に多い時は月に3回アジアに行ったり、6日で日本経由シンガポール→マレーシア→インドと世界一周してきたりと、ラボに居ない事も多いですが、金曜日の夜11時に帰国したのに翌土曜日の朝11時には出勤して僕らと仕事するというのが基本的なスタンスです。
 
詳細は次回、業務紹介で触れるつもりですが、フェローの休みは完全にボスのスケジュールに依存しているのが現状です。
簡単に言うとブラック企業ですね。
 
中ボスとして、Virmaniの実の息子であるAlokeが2016年2月から加わっています。
(Figure 3 左)
今までやや基礎畑にいたAlokeの加入により、違う視点での議論も深まり、pathologyとmolecularの融合を目指して非常に盛り上がってきています。(一から勉強し直さなくてはならないような分からないことも多く、大変ですが。。。)
 
同僚は8月に三井記念病院に帰ってしまった矢作先生、昭和大藤が丘から来ており、日本に居た時から面識があった森先生、イスラエル出身のEmanuelです。
Virmaniの学会で発表するスライドを作るのはフェローの仕事なので、お互い協力しながら仲良くやってます。

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鳥居 翔(Washington D.C., USA)