小宮山洋子先生・薬師寺忠幸先生から、若手医師への熱いメッセージをいただき、さらに時間を忘れるほどの闊達なディスカッションとともに忘れられない最高の会となりました。
世界一の超少子高齢化社会である日本。
まず最初に、社会保障の現在と今後の展望について、超少子高齢化社会が進む中で、その費用はこの20年余りで2倍以上となり、少子化対策・子育て支援の強化、高齢者・女性がもっと働き続けられる環境整備の必要性やその具体的な取り組みをご紹介いただきました。
続いて、医療イノベーションについて、5ヶ年戦略のもと「日本から世界へ」、ドラックラグ・デバイスラグの解消はもちろん、All JAPANでの横断的な研究連携・創薬/医療機器開発、医療イノベーションを担う人材育成が今後加速していくことをわかりやすくお話いただきました。
留学は人生観のSCRAP&BUILD!客観的視野が広がり、医療に限らず多くのことをフラットな立ち位置で見直したこと。組織にとらわれず幅広い視野をもって多様なチャレンジをしていくべきであること、特に主体性を持って自他双方にポジティブに仕事をしていくことが重要であることが学んだこと。また、日本は今後、本会のような組織の枠を超えた「横のつながりの拡大・強化」が必要であることなど、あつい思いとともに伝えていただきました。
信濃町の独特の雰囲気に気圧されながら、初めて訪れた慶応大学病院の中で迷った末に辿り着いた会議室。実は、「いままでにない」という謳い文句を聞いても半信半疑で、金曜午後の東京日帰りということもあって、ややモチベーションの上がりに欠ける参加でした。しかしながら、この予想は大きく裏切られ、懇親会をお暇しなければならないときには東京泊にしておけばよかった…と後悔するほどでした。終わってみると、冒頭の研究会そのものについての説明で、はやくも「なんだか違うぞ」という印象をうけ、ヤクシーの漫談のような講演を楽しく拝聴し、小宮山サンの滑らかな講演、つづく活発なテーブルディスカッションとある意味衝撃的な研究会でした。この場をお借りして、自分なりに反芻した内容などレポートさせていただきます。私自身、留学して帰ってきた人間で(また今年短期間でかけますが)、ヤクシーの3分類でいくとおそらく「変人」に属します。個人的な意見ではございますが、何卒ご容赦くださいませ。
代表世話人のお名前より最新のインターベンションに関連した演題を想像していたので、フライヤーを拝見した際にちょっと変わった演題と演者だなぁと思っていましたが、当初の研究会の設立の目的が海外留学への資金援助/情報援助にあったこと、そこからの研究会開催←さまざまな会社からの資金提供にあったと聞いて、妙に納得しました。大人の事情で資金調達は保留としても、情報援助についてはすぐに期待できるのではないかと感じました。現在、留学先の情報については、先の留学者や帰国者とメールなどでコンタクトがとれればラッキーといった方が多いかと思います。自己財源で賄うことが多い資金面のみならず、情報面も苦労は絶えません。日常生活面や渡航前の準備についての情報は圧倒的に不足しているうえに、ケースバイケースとなってしまうことも多く、大いなる障壁の一つです。自身の経験でいえば、シングルマザーで子供を連れての留学といった状況だったので、同じような状況の方はおらず、まさに暗中模索でした。過去および現在進行形の留学者からの情報がまとめられているサイトというものや、仲介者(この場合は研究会となりますでしょうか)を介して先人を紹介してもらえるようなシステムは画期的だと思います。お互いがお互いをバネにして、高めあえるような集団となれたら最高ですね。
医師の講演であんなに笑ったのは初めてではないかと思います。「思っていても言わない」人が多い日本の医師のなか、とくにその傾向が強いように感じる関東であの講演は最高でした。きっと、同僚や後輩にヤクシーが日々伝えていることで、あの場にいた人々はコンサバティブではないタイプが比較的多いようでしたので、みなさんも少なからず思っていることだったのではないかと思いますが、それをスライドにまとめて講演してしまったのは凄い。人選した人も凄い。根回しをする、推敲する、段取りをふむ、周りの空気をよむ、器用で丁寧であるetc.の日本人のいいところをもちつつ、欧米のアグレッシブさ、ポジティブさ(なんでそこまで楽天的になれるのか、と不思議になることもあるくらいですが)、恥ずかしがらなさ、素直さ、ダイナミックさetc.をとりいれる要素を持った者が集いしサンライズ研究会のメンバーとして、ポジ出しからの抜きんでた飛躍を生み出したいものです。飲み会での会話を実現する代表世話人の先生方の行動力と、みんなを引き寄せし桁外れの人間的魅力が原動力となった研究会の初回の講演として素晴らしいものであったと思いました。
気品漂うアグレッシブさに満ちた方で「政治家をもっと利用しなさい、ただしイイ政治家を」というのが印象的です。おそらくサンライズ研究会の面々は、勝手な推測かもしれませんが、イチバンになりたい/臨床をバリバリやりたい/インターベンション大好き/日本でも海外でもどこでも腕を磨きたい/高みを目指したい、でも教授や院長職にはあまり興味ないという方が多いのではないでしょうか。そして、そのようなタイプの方は出世やいわゆる政治に興味もあまりないし、得意でもない。デバイスラグやPMDAの牛歩戦術には辟易しているけれど、じゃあそれに対してどう対処すべきかはわからない(…勝手なイメージかもしれませんが)。今回のアドバイスを生かして、今後の医療の発展とくに我々の興味の中心であるデバイスラグの軽減につなげられればと思いました。
個人的には、これまでの人生でお会いしたことのないような方、そしてこれからも直接お話しさせていただく機会はないのではないかと思い、テーブルディスカッションでは失礼を承知で、さらには研究会の趣旨にふさわしくないかも、と思いつつも質問をさせていただきました。高齢者医療や日本の国民皆保険制度の話に時間を割いてしまい、もっと先進医療技術やPMDA改革の話などをディスカッションしようと考えていた先生方、申し訳ございませんでした。この場でお詫びとさせてください。ただ、ほかの先生方の発言を鑑みても、やはり医療の現場にいる者としては「皆が等しく最高水準の医療を受けられる」というのは、違和感を覚えているのでしょう。医療は万能ではなく、人は必ず死にます。これに例外はありません。しかし、自分が死ぬ、自分の家族が死ぬということに対して、多くの日本人はあまりにも準備不足です。年齢や社会的レベルで一概に線引きはできないかもしれませんが、現場の医師は超高齢者や認知機能が衰えはじめた患者に対して、高額な医療をつぎ込むのに疑問を抱きつつ、「治療を行わない」判断をする責任を負うことはできないため(実際には訴訟を危惧せざるをえないため)、現実的には家族が希望すればどんなに納得がいっていなくても、治療を行わざるをえません。しかしながら、非医療従事者で、なおかつそれまで家族間でもそのような終末期のことを考えたこともない人たちがBetter choiceを選択できるでしょうか。医師は神でも宗教家でもなく、ただの職業です。個人の生命倫理に踏み込むことはやはり憚られますので、保険の種類や年齢、支払い能力といったことで明確な基準を示せるようなシステムが構築されなければ、医療の先進化と高齢化だけが先行してしまい、どんなに医療財源を増やそうが、医師を増やそうが、医療は崩壊してしまいます。残念ながら、政治家の方との間にはまだ相当の距離があることを痛感したのですが、小宮山さんも仰ったように政治家としてそのような提案はできかねるのでしょう。我々医師も社会的に恵まれた立場の者でありこの事実を発信していくためには段取りと覚悟、なによりも社会の成熟が必要だと感じていますが、広義の終末期医療を考えるべき時期はすでに訪れています。高齢者の先進医療、最先端の最良の医療を追及する我々こそ、実は避けては通れない、避けてはならないテーマだと思います。もし、サンライズ研究会でこういったことも発信できたら、それこそ「不可能と考えられていたことも可能にする」研究会ではないでしょうか。
長くなったうえに話が逸れてしまいましたが、ほんとうに素晴らしい、いままでにない研究会だと思います。飛躍的発展に貢献しつつ、自らも突き抜けられるようになれたらなぁ、と思います。どうぞよろしくおねがいします。
日本国内で我々が日々行っている医療、特に日本の循環器医療は何処へ向かうのか。それは私自身が常々感じている疑問である。国内ではあまり自覚する事は無いが、日本の医療を取り巻く環境は極めて閉鎖的である。それはまるで江戸時代の鎖国に近い。その理由は2つ挙げられる。1つは国民皆保険制度という素晴らしい制度に守られているが故の、医療に対するコスト意識、必要性・妥当性の検討の欠如であり、もう1つは諸外国で使用できる多くの薬剤や医療機器の国内承認、導入が遅れる「Device lag」、「Drug lag」と呼ばれる問題の存在である。この大きな問題のために、日本の医療(我々が日々従事する日本の循環器医療)は極めて限定された環境で、特異的な進化を遂げてきている。それはまさにガラパゴス諸島に置ける生物達の特異的な進化同様であり、医療の「ガラパゴス化」と表現できる。その「ガラパゴス化」によって国際競争力を失った先に何があるのかという事は、あまり明るい話題でない。
第1回SUNRISE研究会に参加させて頂き感じたのは、この会は、留学希望者留学支援のみならず、「ガラパゴス化」した日本の医療を開国へ導く歩みとなる会である、という事である。大志を抱く若き医師にとって、留学とは人生を変える大きなチャンスであるが、現在の日本の医師を取り巻く状況では、金銭面を含めた多くの問題がある。留学を希望しても現実的にはどうすれば良いのか、誰に相談するべきなのか不透明で、たとえその壁を突破し留学というチャンスを得ても、その経験や知識を後進に伝える環境は非常に少なく、その貴重な情報は残念な事に個人の財産となるのみ、という何とも非効率的な環境が続いている。SUNRISE研究会を通じて、留学希望者を支援し、そしてその留学者の経験や知識を皆で共有する事ができれば、その価値は非常に大きい。日本の医療の「ガラパゴス化」の真の原因は、医師、行政、企業側の、「Mind lag」とも表現すべき内向的な思考、そして外向きに発信する思考や能力(もちろん語学力を含む)の欠如である。留学はその様な「Mind lag」からの脱却の為の1つの手段であり、目的ではない。この会に参加する全ての医師が留学する事は不可能であっても、会を通じて、留学者からの発信に触れる事で外向きの思考を得る、つまり「Mind lag」から脱却する事は十分に可能であろう。そうやって日本の医療の「ガラパゴス化」に問題意識をもつ者が、医師、企業、行政側に増加する事で、問題解決のための大きな動きに繋がる事が期待される。
今後、この会を通じて沢山の若い医師が留学というチャンスを掴む事、そして彼らと繋がる事で、より多くの医師が外向きの思考や発信する力を得る事を期待したい。そして、今後私自身もその様なチャンスを得て、それを生かしていきたい、と強く感じた。
発起人の先生方、お誘い頂きありがとうございました。
去る4月12日、発起人の中澤先生、林田先生、重城先生にお声をお掛けいただき、SUNRISE研究会に参加させていただきました。この研究会のコンセプトは今までの研究会のものと全く異なるもので、大きな目的としては海外留学を希望している、もしくは海外留学中の若手医師を支援し、日本から世界への発信力を高めるというものです。僭越ながら自身の経験からSUNRISE研究会への期待と提案を述べさせていただきたいと思います。
自分は林田先生のご厚意で、先生が留学されていたフランスのICPSに2011年10月から2年間留学させていただきました。大きな目的はTAVIについて学ぶことでしたが、仕事内容はClinical fellowで、カテ室に一日中張り付いてCAGやPCIに従事しTAVIがあれば参加するという形態でした。身分は学生であり、当然給料は発生しませんでした。渡欧する前からそのことは聞いていたのでまず資金を集めることから始めました。公的な各種助成機関へ応募したり、直接カテーテル関連の企業にアプローチしました。ところが、自分は勤務していた病院は大学病院ではなく、また学位を持っていなかったので研究者とはみなされず公的機関への応募はほとんど断られてしまう状況でした。直接カテーテル関連の企業にもお願いしましたが、昨今の個人への寄付という形が困難でありそちらもほとんどうまくいきませんでした。というわけで、留学資金はほとんど自腹で負担し2年間終わるころには貯金も底をついておりました。
今回、SUNRISE研究会の趣旨である留学する若手医師の支援という観点はそういった資金不足の助けにもなります。留学した先生が新しい機器や医療システムでも何でも、日本にはない点、日本より素晴らしい点、逆に日本のほうが良い点、そのような観点からレポートすることは企業のみなさんにとっても非常に価値があることだと思います。
以上を踏まえて提案ですが、留学中の先生のみならず日本にいる若手の先生が、SUNRISE研究会で僕たちの分野での新しいアイデアやコンセプト、臨床研究の案などを発表し共有する、それに対し企業の方も何らかの形で支援する、そういった今までなかったWIN-WINのプロジェクトがどんどん具体化できるのではないでしょうか?特に日本が立ち遅れている臨床研究の分野で若手の先生方がどんどん活躍することは、日本の医療に対してもプラスになると思います。すばらしいRCTの案などが共有できればその場で海外と日本の施設で行う臨床研究が組めるかもしれません。
また、若手有望医師の海外の主要学会の参加をSUNRISE研究会で支援するのはいかがでしょうか。企業側も、SUNRISE研究会に参加する有望な若手の先生の学会参加を公的に支援し、その対価をきちんとしたレポートで得るということはいろいろな点でプラスになるのではないでしょうか。
SUNRISE研究会の可能性は広がっていくと思います。