今年を終えて

一年間を終えて

四月に渡米し、一年間が経ちます。一年の間に最低一本論文をサブミットしたいと思っていましたが、それにはもう少しかかりそうです。しかしながら、昨年はビザの取得、渡米、チームへの合流、データへのアクセス権取得、進捗状況のプレゼン、大学院の開始、学会発表などを考えると、地道ではありますが、確実に一歩ずつ前に進んでいるように思います。
渡米時もっとも大きな不安は、自分が行いたい研究内容がチームの興味とどれくらい近いかでした。また、帰国後の目標に、留学中確実に近づいていけているかも重要なことだと思っていました。現在の研究室は渡米前に想像していた内容に非常に近く、これ以上の環境は自分にとってなかったと今の段階で感じています。
 

留学前の目標と、実際に留学してからの目標の違い

留学前に立てた帰国後の目標は変わりません。しかし、帰国後にチームを作り、データを集め、臨床研究を開始するという大目標を達成するには、留学前に考えていた留学中の目標は不十分であることに気が付きました。ただ勉強するだけ、既存のコホートを使用して研究するだけでは、臨床研究やコホートを立ち上げるのには不十分で、もっと様々なプロジェクトに参加しなくてはならないと感じます。もっともっと具体的に目標を立てていかねばならないと感じます。それは来年一年の課題です。
 

これから留学を志す先生へ

偉そうに伝えられることはありませんが、なぜ自分が、なぜ今、なぜその施設に行く必要があるのかを自問自答し、動機と留学中の目的が具体的であること、帰ってからの展望が動機と留学中の目的に結びついていること、それを裏付ける研究計画が行く先の施設で実施可能なことを確認する作業が最も重要だと思います。それはSUNRISE YIAに参加する際に、また採用前に研究室で自分自身についてプレゼンする際に非常に重要なことであり、留学の第一歩だと私は考えています。私は留学後、自分の計画の具体性がまだ足りなかったことに気が付きました。釈迦に説法ですが、とにかく少しでも具体的に自分のやりたいこと、自分の行きたい研究室、留学したい時期などを考えて留学先にアプローチすることが大切だと思います。
また、留学先の研究室をこれから探される方は、早く動かれることにこしたことはないと思います。私が渡米前に連絡した研究室の一つは、ポスドクを教育できる枠は非常に限られており、自己資金で渡米したとしても採用できないといわれました。興味を持ったラボには早い段階でアプローチをされるのが良いと思います。また、大統領や政府が変われば、ビザ発行の速度も変わるかもしれません。私がビザを申請する直前、米国政府は暫定予算失効に伴い、政府機関が一時閉鎖していました。幸いビザ発給に影響はありませんでしたが、入国まで非常に弱い立場にあるため、小さな行政上の変化が個人に与える影響は大きいと感じました。
希望するラボにメールをする際には、コネクションを最大限に生かされると良いと思います。もちろん医局に所属されていて、上級医の先生が自分の所属したい研究室とつながっていればよいですが、周りに自分の行きたい研究室の関係者がいない場合、まだ行きたい研究室が定まってない場合などは知人の知人でも間に入ってもらえると、相手先から返信をもらえる確率が上がると思います。私の場合、後期研修の時に一緒に働いていた研修医が留学から帰国しており、その先生の留学中の元同僚を介して、希望先の研究室の先生にメールをしました。また、別の研究室は、私の希望した研究がその研究室と合わないため、親切にも同施設内の別の研究室を紹介してくださりました。さらに、ボストンを訪れた際には、そこでツアーを組んでくださった日本人の先生が私の行いたい研究を聞いて、その先生宛に届いていたポスドク募集の案内を教えてくださりました。とにかく、無いと思っていたコネクションも小さなつながりから無限に広がりうることを感じました。
最後に、希望する研究室の上司と直接会うことが非常に重要だと思います。メールだけで築いた関係は非常に不安定です。メールの返事をもらえたなら、できるだけ早い段階で学会などを利用して直接ラボの関係者に一度でも会うと良いかと思います。数ある留学希望のメールの中から、返事をもらうことは簡単なことではないようにも思いますが、米国には少なくともチャンスはたくさん転がっているのも事実だと思います。
 

終わりに (今後の抱負)

私の留学は3年計画ですが、その1/3が終了しました。初めの半年は慣れることに費やし、その後、自分のプロジェクトを持ち、任されるプロジェクトの数も増えてきました。来年一年間は、とにかくホプキンスでしかできないことを追究したいと思います。日本の他病院で研修し自施設に戻った際に、研修先でできた多くのことは自施設で達成困難でした。その失敗を生かし、最後の一年間は、とにかく自施設に経験を持って帰れるよう、臨床研究の方法論や、データ構築方法など具体的に実践を学びたいと思います。
気が付いたら一年が終わり、レポートは10回目になっていました。節目に客観的に留学生活を振り返る非常に良い機会をいただきました。少なくとも王道ではない自分の立ち位置とレポートが、少しでも特殊な環境から留学を志している先生方の助けになればよいと思います。留学前に何人かの先生に留学中の話を聞きましたが、多くの人が苦労はあったけれど楽しかったと語っておられました。2年後帰国時に同じような境地に達していることを望むとともに、この一年間貴重なチャンスを与えてくださったサンライズ管理者の先生方、サポーターの方々、そして読者の方々に厚く御礼申し上げます。またどこかでお会いできることを楽しみにしております。
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米国 ジョンズホプキンス大学 本田泰之 拝   Twitter: @yasuhonda4