① 国内での書類の準備
これは思ったよりもあまり大変ではありませんでした。必要だったのは「MVVビザ」というビザの申請で、この為に自分たちが用意したのは①英訳された戸籍謄本にアポスティーユされたもの②英訳された大学の卒業証明書③大学の卒業証明書原本のコピー④パスポートの写しでした。これと所属予定部署(自分の場合はDepartment of Cardiology)からのinvitation letterを大学のInternational Service Desk(ISD)に提出するとオランダ政府に申請してもらえます。その後「MVVビザができたから在日オランダ大使館に取りに行け」と言われ、行ったのですが、ここで大学のISDとオランダ大使館の方と実際の理解のずれがあり若干の混乱が生じました。在日オランダ大使館側の理解では本来、日本とオランダにはシェンゲン協定という協定があるため、日本国籍の人間はMVVビザの申請は不要だ(というか、正確にいうと日本人にMVVビザを発行できない)、といわれたのですが、実際には自分は「フローニンゲン大学の職員(Employee)」となるため、事実上の就労ビザでもあるMVVビザが必要でした。それを再度大学に確認し、大使館に説明したところその後無事MVVビザを頂け(日本のパスポートに張り付けるような感じです)、同時に長期滞在ビザの申請も大学を通して行い、書類上の準備は終了しました。
② 引っ越しについて
留学することになり、大学のISDとの最初のメールで言われたのは「オランダで家を見つけるのはかなり困難だから、とにかく家を探すことを最初にするように」でした。これは留学後に現地のオランダ人と話してもそうだ、というので間違いないと思います。
この点に関して自分は実はラッキーで、Pubmedでたまたまフローニンゲン大学の外科に臨床留学されている日本の先生を見つけ、メールしたところお返事をいただけ、その先生がお住まいになっていた家に入れていただけることになりました(たまたまその家の大家が大学の外科のフェローでした)。そうでなければ大学のhousing officeに頼んで家を斡旋してもらう事になります(斡旋料は大体200-300€で2つまで斡旋してもらえますが、それで気に入らなかったら自分で探せ、というシステムの様です)。引っ越しの時には極力物は捨て、本当にとっておきたいものは自分か妻の実家に送りました。結局スーツケース3つを持って渡欧し、残りの持っていきたいものは航空便と船便で送りました。家が家具付きだったので本当に助かりました。
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③ 入国後の書類関連
まず入国後にオランダの移民局(INDといいます)に自分と家族の長期滞在ビザ(Residence Permit Card)を申請しに行きました。MVVビザ含め自分と家族が許可されているオランダへの滞在期間は3か月なので、長期滞在ビザに切り替える必要があります。アムステルダムとフローニンゲンの真ん中くらいにあるZwolleという街にあるINDに行き、申請しました。家族3人の写真、指紋を記録され、2週間くらいでできるといわれましたが実際は3週間くらいかかりました。その後に大学のISDに一度は来い、とメールに書いてあったので行ったところ、大学の登録書類と銀行口座開設に必要な証明書をもらえました。
④ 生活のセットアップ
まず一番大事な「お金」です。銀行口座開設ですが、これは前述の大学からの証明書とパスポートがあればあっけなく即日可能でした。オランダはおそらくみなさんが想像しているよりもクレジットカードが普及しておらず、一番メジャーなスーパーマーケットですら支払いにクレジットカードが使えません。主に使われるのはバンクカードというデビットカードの一種で、そのカードを使用すると直接口座からお金が落ちるシステムになっていて基本オランダ人はこれで生活の支出のほとんどを支払います。大学の食堂に至っては現金での支払いも困難で、自身の大学のIDにこのバンクカードでチャージして支払います。バンクカードが届くまで1週間くらいかかりますので、それまでは日本から持って行ったユーロでどうにか凌ぎました。
WiFi・電気・ガス・水道料金は家賃に含まれているので大家さんが開通してくれており問題なしでした。携帯電話はINDに申請したResidence Permit Cardと銀行口座があれば契約できました(オランダではプリペイド携帯ならResidence Permit Card/銀行口座どちらもなしで即日簡単に手に入れられのですが、自分はiPhoneにしたかったのでちょっと我慢してプリペイドではなく契約しました)。
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この他にもいろいろあるのですが、如何せん量が多くて書ききれません。詳細を聞きたい方という方はFacebookで連絡いただければと思います。自分のFBのタイムラインでも留学中の事についてつらつらと書いています。
次回はこちらでの仕事の一部を含めご紹介したいと思います。
写真1. フローニンゲン大学メインの建物の正面。大学の建物が独立して建っているというよりか、町自体に大学の建物が埋まっている、といった感じです。
写真2. フローニンゲン中心ど真ん中にあるSt. Martin’s教会。高い塔なので、遠くからでもどちらが中心地方向なのかが確認できます。