皆様初めまして。
この度、オランダからのレポーターを務めさせていただきます 外海 洋平(そとみ ようへい) と申します。
私は大阪大学を2008年に卒業後、大阪警察病院、桜橋渡辺病院での研修を経て、2015年2月よりオランダのThoraxCenter, Erasmus Medical Center / Academic Medical Center, University of Amsterdamに留学しております。このレポートが、これから留学される方にとって少しでも参考になれば幸いです。
“留学の動機および留学までの道のり”
1) なぜ留学しようと思ったのか
桜橋渡辺病院で循環器内科の専門研修を始めた頃、身近にいた先輩からのアドバイスのおかげで、早くから臨床研究に興味をもち、見よう見まねでスタディに取り組んでいました。旅行に行ける!という不純な動機で日本国内や海外の学会に参加したり、上司の先生のご指導のもと論文もいくつか書かせていただきました。そんな中で世界の医療と日本の医療との文化や視点の違いを強く感じるようになりました。日本の医療が悪いと言っているのではありません。日本の医療保険制度は非常に優れており、それが極めて特殊な日本の医療環境をもたらしています。この特殊な環境というものは世界的に見ると非常に素晴らしいものだと思いますが、残念ながら多くのエビデンスが欧米から発信されているというのもまた事実です。そんな中、グローバルな視野を持ちたいというのが、まず留学を考え始めたきっかけでした。
私のいた桜橋渡辺病院は多くの症例に恵まれ、カテーテルインターベンション、カテーテルアブレーション、心不全治療において多くの経験をさせていただきました。比較的多くのことが自分の判断でできるようになってはいましたが、それはただ病院のシステムや仕事というものに慣れていただけで、まだまだ勉強しなければならないことはたくさんある、そう感じるようになった時点で次のステップを真剣に考えるようになりました。
海外学会などに参加して感じた事は、自分も世界と対等に仕事がしたいということでした。そのために自分に圧倒的に足りないものは、臨床研究能力、語学力、ネットワーク等々、挙げればきりがありませんが、それらを学ぶ事ができるのが留学という選択肢でした。
2) なぜ現在の留学先を選んだのか
今回の留学の目的は、
・異文化コミュニケーション☆
・グローバルな視野を得る
・英語を学ぶ
・PhDの取得
・世界とのネットワーク構築
・Studyというものを基礎からきっちり学ぶ
・日本では関わる事のできないようなMega studyに関わる
前半の目的は、留学先に関わらず得られるものかもしれませんが、後半の目的に合致する施設は多くはないと思います。留学先を探していた中、身近な大先輩(当時EMCに留学されていました)からのお誘いをいただき、結局入れ替わりで私が行く事にトントン拍子で決まっていきました。たまたま上記の目的に合致した施設に非常に身近な先輩が先に留学されていて、自分も誘っていただいたというのは私にとって非常に幸運でした。
とても興味深い論文がIJCから出ています。これは世界の研究グループのコラボレーションを示した図ですが、ご覧の通り、Prof. Patrick W Serruysはこの図の中心にいます。(Int J Cardiol. 2013 Aug 10;167(3):631-9.) これを知ったのは、ここに留学することが決まってからなんですけど。ただ、その選択に確信をもたらしてくれるものに違いありませんでした。
3) 留学するにあたって困難であった点、どのように解決したか
最も大きな問題はやはり留学資金の問題でしょうか。PhD studentとして受け入れられ、もちろん給与は出ません。貯金を切り崩しての生活になりますので、気持ちに余裕を持てる程度の潤沢な資金を用意する必要がありました。これについては、福田記念医療技術振興財団様より留学助成金をいただくことができたと共に、このSUNRISE研究会のYoung Investigator Awardに参加し、幸いにもサポートしていただけることとなりました。
実はこのYIAに参加するために留学を予定より一週間ほど遅らせました! 必死!(笑)