CABG vs PCI:内服アドヒアランスが予後に与える影響

Coronary Artery Bypass Graft Versus Percutaneous Coronary Intervention Meds Matter: Impact of Adherence to Medical Therapy on Comparative Outcomes Kurlansky P et al. Circulation 2016 25;134:1238-1246.
昨年はCABGとPCIを比較した論文がたくさんpublishされたように思いますが、血行再建方法の選択の際には、「その患者さんがきちんと内服を続けることができるかどうか」という視点を持つことの大切さをあらためて実感します。内服アドヒアランスの重要性については、J Am Coll Cardiol 2016;68:789-801.にも報告がありますが、この論文は、医療者サイドがより主体的に個々の患者にとって最適の治療法を選択できる可能性を示唆していて、大変興味深いと思います。
〔背景/方法〕 内服アドヒアランスは臨床転帰にきわめて重大な影響を及ぼすことは過去の研究からよく知られており、特に冠動脈血行再建後の患者の長期予後に大きくかかわることが示されている。しかしながら、内服加療の患者予後に及ぼす影響に関して、CABG/PCIを施行された患者による比較は行われていない。 本研究は、ガイドラインに基づいた内服加療のアドヒアランスがCABG/PCI施行患者のアウトカムに与える影響に関して検討したものである。 登録期間:2004年2月から2004年7月 追跡期間:CABG群の中央値84ヶ月、PCI群の中央値79ヶ月 対象患者:CABG群 973例、PCI群 2,255例 エンドポイント:死亡、心筋梗塞、再血行再建(PCIもしくはCABG)の複合エンドポイント
〔結果〕 ① 血行再建の方法(CABG/PCI)にかかわらず、適切な内服加療が行われた患者では、有意にMACE-free survivalが改善した。 ② プロペンシティスコアマッチングを行った内服アドヒアランス(OMT=アスピリンと脂質低下薬の服用)良好な患者群における比較では、血行再建方法の違い(CABG/PCI)によるアウトカムの差は認められなかった。 ③ プロペンシティスコアマッチングを行った内服アドヒアランス不良な患者群における比較では、CABGのほうがPCIと比較してアウトカムが良好であった。
〔結論〕 適切な内服加療に対するアドヒアランスは死亡率や主要心血管イベントに大きく影響する。この影響はCABG施行患者と比較してPCI施行患者においてより大きいが、内服加療のアドヒアランスは血行再建方法の選択よりも予後に大きな影響を与える。
 
 

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藤野 明子(New York, USA)