海だけではないハワイの魅力

今回のテーマは土地の文化やおすすめスポットなどを紹介、ということで、小休止的なお話となります。

ハワイの文化として日系人の存在というのは非常に重要で興味深いテーマですが、すでに2年前の重城先生がすばらしいレポートをされており、なかなかこれを超えるものは難しいと思いますので、ストレートに観光的な内容にしようと思います。

ハワイは人気がある観光地だけに、楽しみ方も様々です。観光客のための、お金を払って楽しむアクティビティもたくさんありますが、現地に住むとそういったものよりはお金がかからずに楽しめる場所を探すようになります。代表的なのがボディボードやサーフィンで、初期投資で道具さえ揃えてしまえば海の利用にはお金がかからないのでガソリン代くらいで楽しめるコスパの良いレジャーです。自分は波酔いをしてしまうので積極的にはできておらず将来的な課題となっています。

第2回レポートで少し触れましたが、自分は休日には主に山歩きをしています。ということで、ハワイ=海というイメージのせいで見過ごされがちな「ハワイでの山歩き」というテーマで、いくつかのおすすめトレイルを紹介したいと思います。

<ホノルルの海と山>

ホノルルで方角を指す時、よく使われるのが「山側」「海側」という表現です。アラモアナセンターでの待ち合わせで海側の駐車場にいるよ、とか、キャンパスから山側に1ブロック歩くとレストランが沢山あるよ、などの場面で使います。余談ですが、山側向きの部屋と海側向きの部屋では、海側からの日光が強すぎてエアコンが必要となるため、電気代がまったく異なるそうです。それゆえ住むとなったら山側向きの部屋のほうが人気なんだとか。それはさておき、そんなわけでコオラウ山脈をすぐ背後に海に面しているホノルルは、日本で言えば神戸や横須賀に近い地形をしており、実は山のレジャーもアクセス良く楽しめる地形なのです。

有名なダイヤモンドヘッドもコオラウ山脈の一部ですが、ダイヤモンドヘッド以外にも、頂上の景色が良くて楽しいトレイルがたくさんあります。私が実際に登ってみたトレイルをいくつか紹介してみますので、もしオアフ島にお越しの際、海にも飽きたなあ、と思ったらトライしてみてください。

いずれも本格的な登山の装備は必要なく、半袖、半ズボンでも問題はありませんが、サンダルではなくスニーカーを履き、帽子と日焼け止めを塗って、500−1,000 mlくらいの水分は持っていきましょう。

<おすすめトレイル>
  1. ココクレーター

ホノルルから車で東に30−40分程度です。無料駐車場があります。ハナウマ湾の隣に巨大な丸い山があり、ココクレーターと呼ばれています。この山の頂上には第2次世界大戦中に電波基地が置かれていたため、物資運搬のためのレールが残っています。このレールに沿ってひたすら真っすぐ登っていきます。

レールに沿ってまっすぐ登るなんてつまらない、とお思いの方もいらっしゃると思いますが、レールの枕木の間隔は歩いて飛び移るにはやや遠いため、枕木→地面→枕木→地面と足を運ばねばならず、「ナチュラル踏み台昇降(傾斜付き)」とも言うべき仕様となっています。

そんなわけで頂上まで40−60分と短いにも関わらず、それなりに負荷の強い道です。頂上付近では特に傾斜が強く、「これ垂直なんじゃないの!?」と思ってしまうくらいきついですが、頂上に到着して振り返れば、そこには最高の眺めが待っていることでしょう!

この山は東側に海が拓けているので、山頂から日の出を見ることもできます。もちろん暗いうちから登り始めなければならないので、日の出前の暗いうちにこの山を見ると、ヘッドライトをつけた登山者が線上に動いている様を見ることもできます。

小学生低学年までの子供には難しいかもしれません(乳児を抱えて登っている人はいました)。

図1: このレールに沿って登ります。日除けは最初から最後までありません。

図2: 頂上からハナウマ湾方向への眺め

図3: 左の山が夜のココクレーターです。中腹の白い点がヘッドライトで登る人たちです。

  1. カイルア・ピルボックス・トレイル

ここはワイキキから車で40-50分かかります。オアフ島の東側にあるカイルア・ビーチ/ラニカイ・ビーチのすぐ近くにある小高い丘です。このラニカイ・ビーチは「世界でもっとも美しいビーチ」に選ばれたこともあるほどのビーチです。真っ白な砂浜とエメラルドグリーンのコントラストがたまりません。

ビーチパーク10分ほど歩くとトレイルの入り口が見えます。トレイルの入り口には「毎年このトレイルで犬が熱中症で死んでいるから気をつけろ」と書いてあります。そういった対策は各自立てていただくとして…砂地の場所はやや滑りやすいものの、比較的簡単に頂上まで辿り着けます。30分くらいでしょうか。そして頂上からの、世界一美しいビーチを高所から眺める景色は、美しいの一言です。海に気を取られがちですが、振り返るとコオラウ山脈がアコーディオン状にそびえ立っており、こちらもなかなか壮観です。

カイルアをもう少し北上すると『ジュラシックパーク』撮影の聖地であるクアロア・ランチ (https://www.kualoa.com)、干潮時にしか現れない砂浜であるカネオヘ・サンドバー(https://www.hawaiimagazine.com/a-day-at-oahus-kaneohe-sandbar/)などもあるため、ワイキキで物足りなくなったら、是非こちら方面で1泊以上していただきたい魅力的なエリアです。

図4: 目的地のピルボックスとラニカイ・ビーチ

図5: 振り向けばコオラウ山脈

  1. クリオウオウ・リッジ・トレイル

ワイキキから車で東に20分、クリオウオウ・ロードに沿った住宅街の、脇道(カラアウ・プレイス)の突き当たりに入り口があります。

このトレイルはいろいろ「ちょうど良い」ので人気があります。整備された登山道なので比較的安全です。そして傾斜はそこまできつくありませんので、普段山歩きをしない人でも十分頂上まで辿り着けるレベルです。途中までは林の中を歩くので直射日光に晒されるのは頂上付近だけです。頂上までは約90分、と往復すれば2−3時間は歩いたことになり、結構な達成感を得ることができ、確かなカロリー消費もついてきますので運動としても「ちょうど良いレベル」。朝早く出かければ、昼頃ホテルに帰ってきて疲れた体をプールやビーチでリカバリーしたり、カハラモールに寄ってみたり、別のアクティビティをする余裕があるのも「ちょうど良い」と思います。

頂上から南を見下ろすと、ホノルルのベッドタウンであるハワイカイ地区が見えます。ハワイカイは入り江に沿って自家用船を舫う桟橋がついているような一戸建てやマリーナが並んでいるので、高いところからみるこのエリアは壮観です。

また、東側にも拓けており、先程のカイルア地区をさらに高いところから見下ろすことができます。

時間的には午後に行くと東側が山の影になってしまうので、午前中に行くのがおすすめです。このトレイルの注意点は、雨季には多くの日でガスが掛かってしまうため、せっかく頂上まで登っても何も見えない可能性があるということです。できれば乾季、ゴールデンウイークから夏休みまでの期間で訪れた際に挑戦してみてください。

今回紹介したトレイルは、頂上からの景色や達成感、難易度という意味で誰にでもおすすめできる場所です。もっとマニアックに攻めたい!という場合、Alltrail(https://www.alltrails.com/hawaii/oahu/honolulu)というサイトでトレイルを探すという方法があります。オフィシャルではないトレイルも含まれていますので、安全性については自分で情報を吟味して選ぶ必要があります。

図6: (左)曇天の頂上  (右)晴天の頂上

図7: 東側に絶景が広がります。つまりここからサンライズを見ることもできる!

<平地も歩こう>

ハワイの陸のイベントとして有名なものがホノルルマラソンです。毎年12月に開催されるこのマラソンは、制限時間がないのでほとんど歩くような人でも完走が目指せるということで初心者にも敷居の低いイベントです。ローカルの人たちもこのイベントが大好きで、まったく走る習慣がない人でも10Kレースに出てみたり、勢いでフルマラソンに登録して練習を初めてみたり、とりあえず会場での飲み食いを楽しみにしてみたり、など島全体がウキウキしているのがわかります。ホノルルマラソンでマラソンを初体験した人は、その楽しさが忘れられずにマラソンイベントのリピーターになる割合が多い、という話もあるそうです。残念ながら2020年は中止になってしまいましたし、2021年以降も従来の形での開催が可能かはわかりませんが、滞在中に是非体験してみたいイベントの一つです。

ということで、陸のハワイの魅力を紹介してみました。観光産業で成り立っているハワイはパンデミックの状況下ではつらい生活を強いられている人も多くいます。以前の状況に戻れるのかも予断を許しませんが、再び活気のあるホノルルが戻ってくることを願っております。

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原 昭壽(Hawaii, USA)