人生を全力で楽しむ

皆さんこんにちは。
1月の全豪オープン、日本人選手の活躍が目立ちましたね。当地でも話題になっていました。とても誇らしく思います。
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全豪オープン(Australian Open)初観戦。大坂なおみ選手、優勝および世界ランキング1位おめでとうございます!
今回のテーマは「帰国後のビジョン」です。渡豪当初は日々の生活に精一杯でとても将来について考える余裕がありませんでしたが、最近は少しずつ帰国後のことを考えることが出来るようになってきました。もちろん帰国は1年以上先のことであり未確定なことばかりですが、現在の気持ちをありのままに書かせていただきます。
【ひとりの臨床医として】
確実なことがひとつ。それは「臨床医に復帰する」ことです。留学を契機に完全に臨床を離れてみて気が付きました。何だかんだ言っても「私は臨床が好きなのだ」と。留学前はあれほど「当直しんどい・・・」「外来やりたくない・・・」とグチグチ言っていたのですが・・・。「隣の芝生は青い」の典型ですね(苦笑)。おかげで医者になった当時の新鮮な気持ちを取り戻せたように思います。また、臨床から離れてしまうと研究のアイデアが枯渇してきたり、モチベーションが低下してくるように感じます。臨床研究者はどんな形であっても臨床に接し続けるべきなのでしょう。ボスはBaker InstituteのDirectorであり超絶多忙な身であるにも関わらず、現在も臨床業務に従事しています。先日エコー技師が休暇で不在の際、直々に運動負荷エコーをかけている姿を見て衝撃を受けました!「お前ごときがぼやくのなんて20年早い」とその背中に叱られている気分になりました(笑)。精進致します。
【ひとりの研究者として】
私の留学の最大の目的は「臨床研究のレベルアップ」です。ボスの指導のもと、数多くの臨床研究に従事させてもらいながら統計や疫学を学んでいます。また、過去に経験したことの無い新しい研究(Meta-analysisやCost-effectiveness analysis)に挑戦させてもらうことで確実に経験値を積み重ねることができており、留学前に思い描いていた通りの充実ぶりです。留学して良かったなとしみじみ感じています。しかしながら、本当の勝負は帰国後であることは明白です。留学で得た知識や経験を持ち帰り、ボスの庇護を離れて自分で研究をマネジメントできるようになって初めて留学の成果を語れるのだろうと思っています。帰国後には、これまで力足らずでなし得なかったアイデアを現実のものにしていきたいです。また、ご縁があってSUNRISE labの皆さんとお知り合いになれたのですから、是非皆さんと研究をご一緒させて頂きたいと思っています。
「留学で得た知識や経験をSUNRISEネットワークを用いた多施設研究に還元し、SUNRISE labの新たな推進力のひとつになる」
これこそが私の留学をサポートして下さったSUNRISE labへの最大の恩返しになると確信しています。帰国した暁にはSUNRISE labのホームページにある「TRIALS」のページに、愛媛発の多施設研究を必ず掲載せさせて頂きます! (書いてしまった・・・汗)
【ひとりの留学経験者として】
私が先輩にサポートしてもらったように、留学を志す後輩達のサポートをしたいです。また、自分の体験を若手医師だけでなく、医学生、出来れば高校生にも伝えたいと考えています。早い時期に海外を意識した方が、人生の選択肢が増えるのは医学の世界に限りませんので。私は「海外に出なさい」と言うつもりは毛頭ありません。ただ、「日本を出るという選択肢がある」ことを伝えたいのです。地方の狭いコミュニティだけで暮らしていると「日本を出る」ことを意識することは皆無です。そういう生き方もあるのだと知ってもらいたい、志次第で選択肢は無限に広がることを伝えたい。そう思っています。
【ひとりの家庭人として】
家族との時間が増えた分、確実に父親として夫として成長したと思います。「そう書いて良い!」との妻のお許しを頂けました(笑)。かつての私は仕事と家庭の両立を少し難しく考え過ぎていたようです。子供との接し方にしても、休日全てを使って特別なことをしなくても、家や公園で30分くらい一緒に遊ぶだけで子供はすごく満足してくれます。家事に関しても、「毎日必ずこれをしなければならない」ではなく、「出来るときに出来ること」をすれば良かったのです。循環器内科医が多忙であることを家族は既に十分理解してくれています。小さな気持ちの積み重ねが大切なのだと気が付きました。臨床復帰すれば今ほどの時間を共有することは出来ませんが、この気持ちを忘れず家庭人としての役割をしっかり果たしていきたいと思います。
【ひとりの人間として】
人生を楽しみたいです。オーストラリアに来てから「たった一度の自分の人生」という当たり前のことを意識するようになりました。オージーは日本人よりも人生を楽しむことに長けていると感じます。若者はエネルギッシュに、年配の方はのんびりとそれぞれの人生を楽しんでいます。お金があっても無くても皆が自分にあった楽しみ方をしっかり持っています。「あなたは自分の人生を楽しんでいますか?」という質問に、かつての私は明確に「はい」と答えられる自信はありませんでした。これからは自信を持って「はい!」と答えられるように、しっかり働き、しっかり家族と時間を共有し、しっかり人生を楽しみたいと思います。
そして、いつか人生の終わりを迎えるときには、名作「北斗の拳」に登場する拳王ラオウの様に力強く言い切りたいものです。
「我が生涯に一片の悔い無し」と。
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写真:アラフォーの誓い。ラオウの様に気合いを入れてみましたが全くオーラがありません・・・苦笑。まだまだ経験値が足りないようです。
 
番外編:夫もしくは父のわがままに振り回された家族の留学奮闘記
第9話「学校選び」
子連れの移住者が必ず遭遇する問題があります。それは子供の学校選びです。ざっくり言えば現地校か日本人学校かの2択です。
現地校のメリットは何と言っても英語の飛躍です。子供の吸収スピードは本当に驚異的です!また、幼い頃に異なる人種・文化に触れることは人格形成にプラスだと思います。デメリットは日本のカリキュラムに遅れることです。当地の学校には系統だったカリキュラムはなく、教科書すらありません!親が徹底的に勉強をサポートしなければ帰国時に相当苦労するようです。帰国後の小学校再入学時にテストが課せられ、成績が悪ければ一学年下のクラスに編入と言われたご家族もいらっしゃいます。
一方、日本人学校は良くも悪くも日本です。教師も生徒も全員日本人であり、日本と同じ教科書、カリキュラムで勉強しますので遅れの心配はありません。その代わり英語の飛躍は望めません。いくら子供でも使わなければ上達しないのは大人と同じです。
当家の場合は幼稚園でしたので迷うこと無く現地校でしたが、小学校高学年くらいのお子さんがいらっしゃる場合はすごく迷うようです。帰国後に受験を控えていればなおさらです。留学前は盲信的に「英語が上達するから留学は子供にも良いだろう」と単純に考えていましたが、そう簡単にはいかないようです。
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写真: 長男の幼稚園卒園パーティー。元気にいろんなことを吸収してくれています。
つづく

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川上 大志(Melbourne, Australia)