あらゆる角度からの弁膜症、心筋症に対するアプローチ

今回は留学先であるLeiden University Medical Center (LUMC)の業績に関してまとめる、ということですが、無数に論文があるのでどこからまとめて良いのか。。。
というわけで最近の論文を分野別にまとめることにしました。
 
・大動脈弁
大動脈弁領域からは2つほどpick upしました。
まず一つ目の論文は、ASの生命予後に関してglobal longitudinal strain (GLS)の有用性を報告した論文です。
文献1: Ng ACT et al. Eur Heart J Cardiovasc Imaging 2018;19:859-867.
Speckle tracking echo法によるストレイン解析はLUMCの十八番ともいうべき領域で様々な研究を行なっていますが、生命予後についてのデータというのはやはりインパクトがありますね。
Figure 1(図1: 文献1より引用)
 
二つ目はMDCTとTEEのsoftwareでの大動脈弁輪径と大動脈基部径の比較をした論文です。
文献2: Prihadi EA et al. J Am Soc Echocardiogr 2018;31:505-14.
現時点ではMDCTによる測定がgold standardとなっていますが、3D echoソフトウェアの進歩によってより非侵襲的な手技を目指すことができるかもしれません。
Table 1(表1: 文献2より引用)
 
・僧帽弁
こちらも2つ論文紹介します。
文献3: Hiemstra YA, et al. J Am Coll Cardiol 2019;
こちらもGLSの有用性を示した論文です。Primary MR術後の予後に対するGLSの影響を示しています。MRは確かにEFなどを過大評価しがちなのでGLSは有用かもしれません。
Figure 2(図2: 文献3より引用)
 
二つ目も似たような分野の論文です。
文献4: Kamperidis V, et al. Eur Heart J 2016;37:811-816.
2016年で少し古めですが、secondary MR患者においてEFをmatchingさせたコホートでのGLSの比較をしています。GLSの悪化している群ではEF同等でもMRが多く、よりLVのforward flowを反映しているのではないかと主張しています。
Figure 3(図3: 文献4より引用)
 
・三尖弁、右心
近年右心室/三尖弁は注目を集める分野となりつつあります。LUMCでも様々な切り口でこれらの解析を行なっています。
一つ目はCirculationに掲載された最近の論文です。
文献5: Dietz MF, et al. Circulation 2019 doi: 10.1161/CIRCULATIONAHA.119.039630.
二次性TR(secondary TR)における右室remodelingのパターンとその予後について解析しています。RV functionの定義にTAPSEが使われていることは改善の余地があるとDelgadoは考えているみたいですが、それでもCirculationに掲載されるのは素晴らしいですね。
Figure 4(図4: 文献5より引用)
Figure 5(図5: 文献5より引用)
 
二つ目は前回も紹介した私の論文のsupportをしてくれているPhilippeの論文です。
文献6: van Rosendeal PJ, et al. Eur Heart J Cardiovasc Imaging 2016;17:96-105.
CTによるTricuspid valve remodelingの解析とTRに対する影響に関して述べています。3年前の論文ですが、私がMultimodality imagingの重要性を学んだ論文の一つでもあります。
Figure 6(図6: 文献6より引用)
Table 2(表2: 文献6より引用)
右心系は経胸壁、経食道エコーとも描出が難しく、CT、MRIといったmodalityの真価が発揮できる分野であり、これからも発展していくと思います。
 
・その他
ここまで弁膜症分野の業績を紹介してきましたが、心筋症などでも様々な論文がLUMCから発表されています。
まず紹介するのはGlobal LV myocardial work efficacy (GLVMWE)というエコー指標を用いた論文です。
文献7: van der Bijl et al. Eur Heart J Cardiovasc Imaging 2019;00:1-7.
この新しい左室評価指標のCRT治療の予後に対する有用性に関して報告しています。勉強不足でこの指標の詳細に関しては私もよくわかっておりませんが、いまだにCRT responderの予測についてはイメージングで解明されていない分野であり、興味の尽きないところです。
Figure 7(図7: 文献7より引用)
Figure 8(図8: 文献7より引用)
 
さて最後にMRI分野についても触れておきたいと思います。LUMCはMultimodality imagingに強い、と度々書いておいてなんですが、実はMRIはなかなか症例も集まらず放射線科との分野の壁もあり研究も一苦労あるようです。それでも他施設と共同研究を行い、論文を出しているところがすごいなと思います。
文献8: Höke U, et al. Am J Cardiol 2017;119:1456-62.
ユトレヒトの施設との共同研究となっています。非虚血性心筋症患者におけるT1 mappingによる心筋繊維化評価がCRT反応性の予測に有用であることを示唆する内容となっています。Nは40と少なく単変量解析のみ行われており、MRIの研究の難しさも垣間見えます。
Figure 9(図9: 文献8より引用)
Table 3(表3: 文献8より引用)
 
少々長くなってしまいましたが、LUMCからの近年の論文を紹介しました。他にも多くの報告があり紹介しきれませんが、少しでもLUMCの研究内容について伝われば幸いです。