『お医者さんのシンボルが、聴診器からポケットエコーに変わる日に備えて』

 日本の医学教育が、教壇に立った先生が一方的に生徒に情報をあたえる形式から、Problem Based Learningへ徐々に移行しつつある昨今ですが、教える形式もさることながら、教える内容も少しずづつ変わりつつあります。私の中でそのトップバッターと言えるものが、エコーです。なんと今年、Butterfly社から ”iQ” と呼ばれる、携帯型エコープローブがアメリカで医療従事者対象に発売されました。価格も約20万円前後とリーズナブルな設定です。iQのエコープローベをi-phoneにつなげるだげで、心エコーを含めた各種エコー検査ができてしまう優れモノです。首にかけていた聴診器が医者のシンボルであった時代から、白衣のポケットに入っているエコープローベが医者のシンボルになる時代が到来しつつあります。以下、Butterfly社 “iQ”のホームページです。ぜひご覧ください。
https://www.butterflynetwork.com/
携帯型のエコーを誰でも手に入れられる時代が来た場合、容易に想像できることは、医学生全員が白衣のポケットにエコープローべを入れてポリクリにやってくるということです。我々教育者は、学生にエコーの画像の見方だけでなくプローブの使い方まで教える必要が出てくる可能性があるという事です。近い将来、日本の医学生の教育のカリキュラムにエコーのマニュアルスキルが入ってくることは間違いないと私は考えています。その場合、以下のようなことは少なくとも考えなくてはなりません。
1: どの臓器のエコーを教えるのか。正常・異常のどこまで教えるのか。ドップラーは教えるのか?
2: エコーの授業に何時間費やすのか?
3: 誰が指導者となるのか?
4: 携帯型エコーと非携帯型の従来型エコーとの使い分けはどうするのか?
5: エコーの練習は、simulatorを使うべきか? 患者で行うべきか? 学生同士でやるべきか?
6: 最終評価は筆記テストにするか実技テストにするか、両方か?    課題は山積みです。。。
私は今アメリカにいるため、今年発売されたButterfly社 “iQ” を扱うことができ、さらにハワイ大学医学部の学生に声をかければ、ボランティアでポケットエコーの教育の研究ができる環境にあります。
今回のテーマは、今後の注目しているトピックと、自分の論文になりそうなネタの公開ですが、包み隠さず申し上げます。
注目しているトピックは、携帯型エコープローベ Butterfly社製 ”iQ”の発売開始。
自分の論文になりそうなネタは、ハワイ大学の医学生の協力の下、携帯型エコーの効率的な学習方法・学習内容・学習時間の算出です。
1月中に、Simulation Centerのボスに、研究計画のプレゼンテーションを行い、ハワイ大学の倫理委員会に研究計画書を提出する予定です。この研究が実行された暁には、サンライズの皆様に報告したいと思います。
 

s_jujo
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重城 聡(Hawaii, US)