『アメリカの医者になり、お給料をもらい、アメリカ人を教育する』

”お給料について。” “今のラボに残るには何が必要か?” が今月のテーマですが、この話題に対する答えは、今回のタイトルに集約されています。
① まずは、私のお給料について。
 私は、ハワイ大学のsimulation center  ”SimTiki” に留学し、simulationを中心に医学教育の勉強・研究・実践を行ってます。教育を受ける立場であり、給料をもらえる立場ではありません。よって、給料交渉をすることはありません。ただ、私がこの施設に対してお給料がもらえそうな貢献が、実は1つだけあります。それは、しばしば訪れる日本人visitorの通訳です。彼らは、数日のシミュレーション教育コースの受講から、数週間から数か月単位の短期留学まで様々な形で、simulation centerの門を叩きにやってきます。ここで、日本人の私の活躍する瞬間がやってきます。多くの場合、日本人visitorは英語のコミュニケーションに慣れていません。また、アメリカ人のボスたちは日本に造詣が深いものの、日本語が堪能であるわけではありません。そこで、日本人Fellowの私は、シミュレーション教育の通訳という大役を担うことができるのです。『医学教育の通訳』、これが、私が誇る、私にしかできない、シミュレーションセンターでの『仕事』です。
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② 次は、”今のラボに残るには何が必要か?” ですね。
『今のラボに残るのに必要なもの』=『医学教育の腕前』+『お給料』
 もし私が今のラボに残るには、私がアメリカでお給料をもらえるようにならなくてはなりません。そのためには、医学教育の腕前をあげないといけませんが、その1つの方法は、アメリカの医師免許をとりsimulation以外のアメリカの医学教育を熟知することだと考えます。そうすれば、日本とアメリカの医学教育に精通した、日米両国の言葉を使いこなす逸材として、今のラボがお給料を払ってでも、私を受け入れてくれる可能性はググっと上がるような気がします。
③ そもそも、”アメリカに居続ける必要があるのか?”
 私のボスのDr. Benjaminは、ハワイの集中治療医として他の病院で働きながら、ハワイ大学のSimulation Centerの責任者として、給料をもらって医学教育を行こなっています。日本では私の知る限り、医学教育単体でお給料をもらっている医師はいません。私のボスは、医学教育者の理想的な労働環境の1つのロールモデルを体現していると思います。私がアメリカの医師になり、アメリカの医学教育を熟知し、アメリカを拠点として医学教育の発展に貢献するということは1つの理想かもしれません。ただ、日本人である私の役割は、日本で医学教育者のロールモデルを体現し、日本の医学教育の発展に貢献することだと思います。しかも私は、日本の教育・文化・歴史を知っており、日本語が流暢なので、日本の方がより効果的に私の力を発揮できるのではないかとも思います。
④ 追記: ”ボスはfellowのどこを評価するのか。”
今までの私の印象ですが、結局、アメリカでも日本でも変わらず、仕事に真摯に取り組む姿勢が評価の対象だと思われます。例を挙げます。以前私が、ボスのsimulation教育の現場の動画を撮って、その動画を最初から最後まで見直し、ボスが英語で何を学生に話しているのかを書きとって、全く同じことが英語で言えるように練習していたことがあります。この私の学習態度は、とても高評価だった気がします。
 

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重城 聡(Hawaii, US)