Asan Medical Center(AMC)のCV fellow (Cardiovascular department)の朝は早い。
毎朝、6時半にカテ業務が開始する。4つのカテ室が並列でCAG, PCI, PTA, VSD closureをこなす。特徴的なのは各カテ室には専属の技師が常駐していて、1名のsenior technician, 1名のjunior technicianの2名で業務をサポートする。Cardiology fellow (general fellow なので、カテ室、心エコー、CCU、EPをローテーションする)は各学年5, 6人で、最終学年である3年目には専攻が決まるので、基本的にカテ室には1,2年目のcardiology general fellow が2,3人、3年目のIntervention fellowが自分を含めて3人の合計5, 6人のFellowでこれらの業務をこなすことになる。1年目のfellowはカテ室に入るのがはじめてという状態であるから、2年目とともに教わりながら少しずつ学んでいくことになる。このあたりは日本とほとんど同じであるが、High volume centerたる所以はfellowではなく、Technicianにある。Senior technicianはAMC創設時からいるメンバーであり、これはPTCAの歴史の証人といっても過言ではないだろう。POBA, Palmaz-Schatz stent, DESとデバイスの発展、ストラテジーの変遷を無数の症例とともに経験してきた彼らは、デバイス選択における有効なアドバイスだけでなく、PCI時の(特にComplex 症例)アシスト、驚くことにfellowがエンゲージ困難なカテ操作で見事にカテをエンゲージさせる(いつ、覚えたのですか?と思わず訊いてしまう程!)などその役割はmultiである。
脱線してしまったが、6時半にCAG, PCI等の業務が開始、午後1,2時には合計30件前後のCAG, PCIを終えることになる。CAGといっても、Researchで名を馳せるAMCだけあって、有意狭窄がなければ終了というわけにはいかない。現在進行形で40程のRCT, レジストリーが走っているため、時にはIVUS (Boston), FFR, OCT, VH IVUS (VOLCANO)といった、まさにfull studyの憂き目に遭うこともある。こういった invasive imaging studyの際には、当然合併症が発生しないよう、疲労困憊であろうとも安全にスムーズに手技が完遂されなければならない。これは通常のPCIとは異なる、時にPCIより難しい手技となる。実際にこれらの業務を通して、guiding catheterのエンゲージ操作をfellowは習得していく。4ヶ月程度のカテ室業務を終える頃には、自分が経験した様な日本の中規模病院での1, 2年間に匹敵する経験を積むことができる。やはり数は力なりと実感する。
全てのカテ室業務が終了し、昼食後にfellowは各々のTaskに戻る。Dr. Parkの担当医は彼の患者を(常時10名前後)ケアしなければならない。同時に当日のCAG所見、FFR, IVUSのParameter、Thallium所見、Tredmil所見などを、PCI施行患者はその結果を把握し、午後5時から始まる回診において、滞りなくプレゼンできるように準備しなければならない。Park先生は基本的にStaged PCIの方針であり、回診時にCAG所見を元にDiscussionし、治療方針を決定、翌日にPCIが行われる。この回診がfellowにとって学びの場となるのである。
私の場合、患者のケアには直接は関わらないので、午後の時間の過ごし方は変わってくる。留学当初はそれこそ決まったDutyもなかったが、現在では仕事に追われる毎日である。(「仕事を追え。仕事に追われるな。 ベンジャミン・フランクリン」)。具体的にはTAVI候補患者のCT分析、患者情報を基に回診時にTAVI治療の可否、デバイス選択、サイズ選択まで含めたプレゼンの準備を行う。Hybrid室に一旦患者が入室すれば、治療選択がstraight forwardになるべく、数々の選択枝の中からsimpleかつ成功へ直結するようなstrategyを構築できるよう、事前の回診時に十分Discussionできるよう、準備を進めなければならない。
その他のfellowの業務は、日本のfellowには降ってこないような、韓国ならではの明確な上下関係から成り立つような仕事もある。新たなStudyに必要なIRB申請書類の作成、Grant申請書類の(下書きの)作成、Attending stuffの学会発表用のスライド作成などである。NEJMを多数掲載している華麗なAMCであるが、水面下では必死に足を掻いている白鳥と同じである。夜12時頃に病院を出れば早いほうで、平均深夜1時頃に病院を出る生活である。