①施設紹介
私が留学しているInstitut Cardiovasculaire Paris Sud(ICPS)という施設は2つのグループ病院が含まれています。一つはMassyという所にあるInstitut Hospitalier Jacques Cartierという病院、もう一つはQuincyという所にあるHôpital Claude Galienという病院含まれます。ともにCardiology、特にinterventionがメインの病院で、各々年間3000件ほどのCAGおよび1500件前後のPCIを施行しているhigh volume centerです。Coronary interventionだけでなく、MassyにおいてはTAVI、MitraClip、LAA closureといったstructural heart disease (SHD)に対するinterventionもさかんに行われております。またQuincyにおいては年間400例ほどのperipheral interventionも行われています。TAVIに関しては、フランス国内で最も症例数が多く、週5〜6件、年間200件以上の症例を施行しております。2006年から開始し、合計で1000例以上すでに施行しており、世界でも有数の症例数を施行している病院となっています。また最近では不整脈に対するablationもさかんに行われており、年間1000件以上施行されています。これ以外に小児のカテも行われています。小児のカテでは通常の診断カテ以外に、ASDに対するamplatzer septal occludrやPAに対するintervention、VSD閉鎖やparavalvular leakに対するamplatzer vascular plugを用いた経皮的閉鎖術など、様々なinterventionが行われています。Massyにはカテ室は3室、Quincyにはカテ室は2室ありますが、朝8時から夕方6時過ぎまで、ほぼフル稼働している状況です。
②ボスや同僚の紹介
当施設にはcoronary専門のフランス人staffが9人在籍しており、我々はstaffの指導のもとfellowという立場で勤務しています。Fellowは基本的にフランス人staffの指示通りに手技をする必要があり、デバイスも選択権は基本的にありません。使用するものが自由に選択できない分、技術でカバーするしかないため、こちらに来て技術はかなり上達したような気がします。Fellowは毎年6人おり、国籍も様々です。昨年はイタリア人2人、スペイン人、アイルランド人、フランス人が各々1人ずつ在籍していました。基本的に2年間在籍します。昨年は2年目が3人、1年目が3人という割合でした。皆様々な環境の中から来ているので、話をすると大変おもしろく勉強になることも多々ありました。例えば、イタリアから来たfellowの一人は心移植を数多く施行している施設から来たということでした。そして移植後の人に全例心カテをし、さらにOCTも施行し、炎症細胞浸潤を見るんだと言っていました。このような発想は日本では考えられませんし、非常に印象に残っています。
以下にフランス人staffの一部を紹介します。
・Marie-Claude Morice : 世界的に有名な女性interventionalistで、65歳を超えてますが、今でも大変activeな先生です。通常のカテをこなしながら、世界中の学会から招待され、しょっちゅう海外出張されています。またライブでのoperatorも難なくこなし、今年のTCTで表彰されています。
・Bernard Chevalier : 日本にもよく来られる先生で、TOPIC、CCT、湘鎌ライブなどには毎年招待されています。Coronaryもvalveもこなす先生で、TAVIに関してはCoreValveを中心に扱っています。
・Yves Louvard : Coronaryを中心にこなす先生で、bifurcationやCTOこだわりがあり、Euro bifurcation clubやEuro CTO clubなどで中心的な役割を担っている先生です。
・Thierry Lefevre : CoronaryからPTSMA、TAVIからMitraClipvalveまで何でもこなす先生です。TAVIに関しては我々日本人の師匠であり、いつも熱く指導してくれます。イノウエバルーンを用いてPTMCも行うのですが、septal punctureも含め20分位で手技を完了してしまいます。
上記以外のフランス人staffも皆カテのスペシャリストで、一緒に働いているととても尊敬でき、本当に勉強になります。