理想と現実のあいだ

先日初めて友人(アメリカ人)の誕生日を祝うべくホームパーティーに行ってきました。アメリカの映画やドラマでたまに見ていた<主役が到着する前に室内の電気を消し、主役がドアを開けた瞬間に「さぷらぁいずぅ」と叫ぶ>アレ、体験してきました。本当にやるんですね…。
さて、今回のテーマである帰国後のビジョンについて。これはSunrise YIAの時にも似たような討論テーマがあったわけなのですが、今も気持ちは変わらず今の研究分野を自施設に戻ってからも継続していくことが目標です。その為にもこの分野における基礎的知識を身につけることと、その知識を用いて生まれた自分のアイデアを検証、実現するための環境作りが必要となるので非常に険しい道だということは認識しております。今の留学先について改めて思うのはアイデアを検証、実現する為の設備、そして研究資金が豊富にあるということです。数多くの実績の積み重ねで今のラボがあるんだなぁということを実感しています。少しでも日本の臨床に有益となるものを持ち帰れるように日々邁進しなくてはなりません。
留学帰国後、具体的にどう目標を実現していくのか…、実は私の周りには非常に良いロールモデルがおり、その方は留学帰国後に自分のラボを一から立ち上げております。まさにラボができ、ラボがラボとして機能するまでを見ている私にとってこのロールモデルは留学後の理想的な形ではないかと考えています。
ところで、最近特に思うのは基礎研究のアイデアも実臨床、及び臨床研究のフィードバックから生まれることが本当に多いなぁということです。私のボスは私が所属するHeart Instituteのトップであり、PhDはもとよりMDでもあることからトランスレーショナルリサーチとなるようなテーマについては非常に興味を持っています。常に“実臨床につながる基礎研究”というマインドは帰国後も大切にしていきたいです。
話は戻りますが、前述した私の理想とするロールモデルの先生は研究と並行して臨床もバリバリこなしております。もし日本でも継続して研究が続けられるとして、私の分野では動物モデルを用いた実験をすることが多く、果たして臨床をしながら実験も行うことなんてできるのでしょうか。これについても日本にいた当時から臨床の傍ら小動物を用いた実験を行っていた経験があるので、明確な方向性と情熱があれば可能なことだと信じています。また、この経験から思うのは一緒に同じアイデアを共有、実現していける仲間を作ることが大切だと考えます。自施設においては偶然にも私の同期のドクターが同じ研究分野で東海岸に留学しており、これはある意味運命と捉えまずは2人で仕事ができれば良いなぁと妄想中です(笑)。日本での研究の継続、臨床と研究の両立、いずれも多くの壁があることでしょう。その壁を乗り越えるヒントが今まさにこの留学生活の中にあるのではないでしょうか。
カリフォルニアの素晴らしい青空の下、より良い治療法を提供するべく一つ一つ経験を積み上げていきたいと思います。
Roma wasn’t built in a day.
9-1
Sunrise! (2017年1月1日Griffith observatoryにて)
 

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伊地知 健(Los Angeles, USA)