留学初期の悪戦苦闘

日常業務スケジュール、業務、研究内容
他のレポーターの先生方から遅れること約半年、私はようやく10月に日本を飛び立ちました。渡英してから基本的な生活のセットアップに2週間を要し、職場に通いだして3週間が過ぎたところです。本来このレポートは10月中に掲載されるべきものでしたが、留学のタイミングの関係からしばらく時間的猶予をいただきました。そのためこの原稿を書くにあたって今回は後出しできるので他のレポーターの先生方の記事を参考にして書こうと拝見すると、皆さんそれぞれの職場でポジションを得て精力的に仕事に取り組まれている様子がひしひしと伝わってきました。私も負けないような留学体験をアピールする記事を書こうと書き始めましたが、留学開始3週間の段階では何も業務を開始できていないのが正直なところです。そのためお伝えできることが本当に限られるのですが、留学開始早々の現状はどう言ったものであるか、フィルターをかけることなくお伝えするのもレポーター業務の一つかと現状をありのままにレポートさせていただきます。
私の日常業務スケジュールですが、Hammersmith Hospitalのカテラボに月曜日から金曜日まで出入りしています。そこで私は何をしているかと言うと、、、ただただ見学です。イギリスではここの医師免許がなければ医療行為はできません。現在、病院と職員としての契約手続き中ですが契約書に記載されている役職はobserverです。Observerは患者さんの検査、治療に関わることはもちろん、スタッフにアドバイスすることも禁止すると記載されています。実際にはhonorary research fellow という扱いになり臨床研究はできるようになるようですが、これも自分でデータを取るのでなく他のスタッフにお願いしてデータをもらう必要があるみたいです。また開始3週間の現段階では研究テーマもありません。そのような状況なので早くカテ室の一員として溶け込めるようにとカテ室に通ってはいますが、見学だけで何も手伝うことができないとスタッフと打ち解けるのにはまだまだ時間を要しそうです。カテ室にいるスタッフは人当たりがいい人ばかりなのでこの状況は留学先の環境の問題ではなく医療行為をしないポジションで臨床研究を目的に留学することに要因があると考えられます。日本では医療行為を介してスタッフとチームに溶け込んでいきましたがこれができないことの大変さを言語の壁以上に実感しています。
医療行為ができない以上、研究面で活動するしかないので早く研究テーマがえられるようにと、ボスのJustin Davies先生となるべくコミュニケーションをとるように試みています。ただよく話を聞くと、イギリスでは仕事はもちろん大切ですが、家庭が安定しないと本格的に仕事はできないみたいです。特に子どもの教育は重要視されています。私は今回の留学に家族を連れてきました。4歳の娘はイギリスの教育制度上Receptionと呼ばれる小学校のプレスクールに通いますが、中途入学の申し込み中でまだ決まっていません(決定まで3ヶ月くらいかかることもあるみたいです)。そこが安定すれば仕事で忙しくなるとのことでした。冷静に考えれば子どもの教育が重要視されるのは当然のことですが、仕事が優先されがちな日本(特に医療において)の感覚とは大きく異なるところでした。早く本格的に仕事を開始したいところですが、これまで日本では十分にとれなかった家族との時間をとるいい機会だと考えて時間を見つけて博物館などへ出かけて家庭教育しています。
とは言え長年日本で働いてきた感覚が染み付いているのか仕事がないのは苦しく、時に罪悪感すら感じます。幸いにもこちらではintervention関係の会が頻繁に催されます。直近では11月9〜10日にAdvances in Coronary PhysiologyというCoronary Physiologyのエキスパートが集まるSymposium、11月25〜27日にはImperial Valve and Cardiovascular Course (IVCC)とこうStructural や Coronary interventionのエキスパートが集まる会が開催されます。新しい知識を得ることもさることながら、こういった会で普段忙しそうにしているボスや同僚たちとコミュニケーションをとって研究活動を開始できるきっかけをつかめるようにしたいものです。

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塩野 泰紹(UK)