異文化のハードルは様々ありますが、やはり一番は英語です。昨年、堀内先生が、’’It’s all about English’’ と書いてらっしゃったのに、完全に同意します。言語の壁は非常に高く、日々苦労しております。英語は一日にして成らずですし、英語圏で生活しているだけでは全く上達しません。こればかりは勉強あるのみです。
言語の壁に通じるところですが、英国人達は皮肉めいたジョークが好きな様に思います。聞き取り力の問題もあり、ジョークなのか、真剣なのか判断に困ることがあります。また、そんなジョークに対して、即座に気の利いたツッコミを返す英語力も、発想力も無く、タイミングが遅れたり、聞き返してしまったりで、ボケ潰しをしたことに毎日落ち込む日々です。これは留学中にぜひ克服したいです。
The city of Londonを取り囲むように、3世紀にローマ人によって建てられたLondon wallと呼ばれる壁が現存しています。
給与面は、当初から無給での受け入れ申請をしているので、給料交渉の余地はほぼ無いものと思っています。現在、同僚のフェローが2人いますが、1人は英国内で採用のフェロー(有給)、もう1人はドイツからのフェロー(無給)です。ドイツからのフェローは、フェローと言ってもドイツではコンサルタントを務めていた医師で経験年数も私より多い上に無給で来ており、自分の立場で交渉は困難かと思います。ただ、英国の物価は日本の約1.5倍、家賃は2倍以上であり、生活自体がかなりの負担になっています。不憫に思ってか、一番近しい上司が、今後状況が整えばボスに給与に関して進言できるかもしれないと言ってくれているのでわずかながら期待しています。
また、ハードルではありませんが、新任した際に歓迎会が開催されず、ちょっと落ち込んだりしていましたが、その後に新規のフェローやコンサルタントが就任しても、特に会は催されないので慣習なのだと今は納得しています。またクリスマスパーティーはちゃんと予定されています。
職場で、ひどい言葉を直接受けたことはありませんが、カテラボでは、ボスが手技に対してマイク越しに辛辣なコメントを送ることが多々あります。まともに受けたら傷つきそうですが、フェロー達も状況によっては笑ってやり過ごしているので、そんな文化なのかなと考えています。
その他、私生活では、移住当初の銀行口座の開設の困難さでしょうか。口座開設に住居の証明書を必要としますが、ほとんどの銀行で賃貸契約書では不十分と言われ、他銀行からの書類(bank statement)や公共料金支払い証を求められます。当然、渡航直後でそれらの書類がある訳が無く、人によっては5,6カ所の銀行に複数回通いやっと認めてもらえるなど、留学当初の悪名高きハードルです。私も渡英直後に数回銀行をまわりました。家族とだらしない私服で行ったらダメで、次に職場帰りにスーツで行ったら、アポイントを許可されました。人は見た目が100%?
次に、病院受診です。英国の医療保険は国民皆保険制度(NHS)と、プライベート保険に分かれます。NHSによりビザ発給時に4万円程度の支払いのみで、2年間の保険が全てカバーされ、基本的に医療費は無料です。しかし、NHSのGP病院受診は予約が中々とれないことや、サービスの質が問題視されています。また歯科治療は自費となるため、10万円を超える高額な治療費になり得ることなどが問題点として挙げられます。企業派遣の駐在の方々は、会社がプライベート保険の加入をサポートしているため、日本語の通じる日系医療機関に受診したり、サービスの良いプライベートクリニックに受診します。残念ながら貧乏留学生はNHSに頼る事となり、出来るだけ病気にかからぬよう、自己管理に努めるのみです。
また今夏はイングランド史上、最も暑かった様です(それでも平均気温17.2℃)。基本的にクーラーは、バス、地下鉄などの公共機関や、一般的な住居には配備されておりません。日中25℃を超える日もあったため、特に地下鉄などは蒸し風呂化してきつかったです。一方、10月からは最高気温が10℃を下回るようになり、マフラー、分厚いコートが欠かせません。日照時間も短くなり、雨が多く、ほとんど毎日、空はどんより曇っています。保育園で風邪をもらった息子に引き続き、今まさに風邪と戦っています。
最後に、他の先生方もおっしゃっていますが、この様な異文化のハードルに立ち向かうことも留学の醍醐味の1つだと思います。特に家族がいる場合は、乗り越えた壁の数だけ絆が強くなるように感じます。
「英語能力の低さが職場でも問題なんだよ」と、隣の家のおばちゃん(中華系移住者)に愚痴ると彼女は答えました。それは「問題」じゃない、やれば (努力すれば) 良いだけだと。どうにもならない運命もあるかもしれませんが、多くは自分次第でなんとかなるものです。
落ち込むこともあるけれど、私は元気です!
Rugby International Match, England vs Japan
伝統国の壁は厚かった。