It would be exciting!!!

これは留学前から常に考えていました。
結局、自分はなぜ留学したいのか、それはこの先の自分の人生の目的にどのように作用するのか。考えた結論は、「いつか日本で『臨床心不全=Clinical Heart Failure』のフェローコースのような、そこで2-3年フェローをすれば、正しい心不全の知識が一通りつけられて、ある程度自信をもって『自分は循環器内科医で、心不全がサブスペシャリティーです』といえるような場所を作りたい。そしてその為には自分をもっと鍛えないとだめだ」という事でした。だいぶ話がでかくなっていて、できるかどうかですら怪しいのですが(笑)
でも、本気で考えています。日本には素晴らしい心不全治療をしている病院はたくさんありますが、どこも一部に秀でていますがcomprehensiveとなるとなかなか難しいと思います。大学病院には移植をも見越すべき若年の重症心不全が多く集まると思いますが、その一方で80-90歳代の再入院を繰り返す、様々な合併症を持つ心不全患者さんは多くないでしょう。市中病院は逆だとおもいます。もちろんそれはいいことでもありますが、自分にとっては、「もし心不全に2-3年専従でき、臨床も研究も合わさったcomprehensiveなコースがあれば、ぜひまず自分がそのフェローになりたいなあ」と思っていました。結果、なかなか見つけられず、それが1つの留学する大きなきっかけでした。また、留学する前の数年間、私はありがたいことに色々な場所で心不全について講演する機会を頂きました。ただ、その中で何度も「ところで先生は何が専門ですか?」「いやー、実は心不全なのです」「ええ。それはわかるのですが、もともとは虚血か不整脈かどっちなのですか?」と聞かれることが多々ありました。心不全の講演の演者として招聘いただいているはずなので当然自分は心不全の人、という認識されていると思っていたのですが、やはり現実はまだまだ循環器は「虚血 or 不整脈」であり、心不全はあまりサブスペシャリティーとして認識されていなんだなあ、と思っていつも寂しく思っていました。
ただ、もう今は違います。2013年に40歳以下の循環器内科医で、心不全診療に従事し興味を持つメンバーを中心として「U-40 HF Network」が発足し、現在200名を超えるメンバーが登録されています。2014年には名古屋で「第一回 Heart Failure Fellow Course」を1泊2日で企画し、日本中の多くの有名な先生方にお願いし、ご厚意でレクチャーしていただきました(たぶん、学会でもなかなかこれだけの先生が一堂にそろうセッションはないだろう、と思われるような贅沢なメンバーでした)。参加申し込みも、すべて自腹にもかかわらず、あっという間に定員に達しお断りしないといけないほど盛況でした。また、同時にこのようなグループはアウトプットがないとなかなか他から認められないだろう、という思いから、自分が主任研究者を務めさせていただいて、U-40 HF Networkのメンバーが所属する20以上の全国の施設で去年の10月から急性心不全の前向き多施設レジストリを始めました(REALITY-AHF / UMIN-CTR: 000014105)。この研究もつい最近公募の競争的資金を獲得し、症例もこの4か月で600例を超える症例登録があり順調に走っています。参加施設のうち約半数ずつが大学病院と市中病院であり、まさに所属の垣根を越えた研究だといえると思います。
つまり、もう1人じゃないんです。
5年後に何してるかって?もちろん、このままこの仲間たちとひたすら走り続けようと思います。きっと挫折もするし、そんなに甘いものじゃないのもわかっていますが、それでももう自分は寂しく1人で悩み考えてなくていいんです。助けてくれる仲間も、助けてあげられる仲間も日本に多くいるわけです。このアドバンテージを生かしながら、多くのこれまでに日本の心不全治療の発展に尽力してきていただいた先生方の意思を引き継ぎ、作り上げてきていただいたものの上に少しでも私たちにしか加えられない事を加えて日本の心不全診療の前進に貢献できることが、帰国後の、というか生涯の目標です。
U-40 HF logo_gray2
※第2回 HF Fellow Courseは今年の6月東京で開催予定です。U-40 HF NetworkやHF Fellow courseにご興味がある方でFacebookをされている方はhttps://www.facebook.com/groups/214579045382206/にアクセスして参加申請を頂けると幸いです。Facebookのアカウントをお持ちでない方は、https://u40-hf-network.jimdo.comから参加登録をして頂けると折り返しメールで確認させていただきます。REALITY-AHFもまだまだ参加受付中です!

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末永 祐哉(Groningen, Netherland)